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月島↪︎『』
影山↪︎「」
その他↪︎[]
「月島はさ~」
影山は何かにつけ僕に質問した。
興味がある、というよりも、この古書店内で興味の対象になり得るのが僕という存在だけという感じだ
こんなにも素敵な古本に囲まれているのに、
それには見向きもせず。
じゃあどうして彼は古書店に来ているのだろうか。
という出会ってまず抱いた根本的な疑問に回帰しそうだ
でも悪い気はしなかった。
いいや、少し、少しだけ嬉しいと感じてしまっていた。
「なぁ、聞いてる?」
『えっと、影山はどうして雨の日にしか現れないのか、でしたっけ』
「何ふざけたこと言ってんだ。虹ってどうやってできるのかなって聞いたんだよ、!!」
こう、僕が気になることを会話に挟んでも一切取り合おうとはしなかった。
だからこの名前のない関係性の僕が彼女の領域に踏み入ろうとすることは憚られた。
向こうが話を展開しなのなら、僕から深追いはしなかった。
『虹って確か、空気中の水分に光が反射したからできるものですよね』
「それはよく聞くけどさぁ、7色に見える理由が分からないんだよー」
『反射した時、屈折する角度が色によって違うから、っ言う理由だったと思います』
「ほぉ、月島って博識だなぁ。書店員は物読みの物知りってことなのか?」
『そんなんじゃないですよ。偶然知っていただけです。』
そうこう話しているうちにアルバイトの終わりと同時刻の夕方の市内放送が聞こえてきた。
今日もほとんど仕事した気がしなかった。軽い掃除と、あとはレジ前に立っているだけ。
今日のうちに店に入った客は4人で、レジに商品を持ってきたのはたったのひとりだった。
[月島くん、もう上がっていいよ。雨なのにありがとうね]
『あ、はい。おつかれさまです』
裏方から顔を出したのは店長
アルバイトは僕しか雇っていないみたいで、基本は1人でお店わ回せるらしい。
僕を雇っているの理由が見当たらない。
影山は僕が働く前から通い詰めていたのか、店長とは顔馴染みだった。
『じゃあ、影山もお疲れ様。気をつけて帰ってくださいね。雨なので足元は特に。』
「月島こそ転ばないようにな!」
なんともない1日。
早朝から満員電車に揉まれて、大学の講義を受け、そのままの足でアルバイトしに古書店に向かう。
帰りは軽い買い物でもしてまた来る明日に備えると。
そんな特筆すべき点のない、でも平和な毎日が何となく続くのだろうと思っていた。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡50