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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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五条side


「うわ、まじか…」

手に体温計を持った僕はまだ朝日の登り始めていない暗い自室でつぶやいた。

薬を飲んでおけば大丈夫だろうか。ズキズキと痛む頭で考えていた。

「大丈夫、、、まだ、大丈夫。」と、自分に言い聞かせ、部屋を出た。



虎杖side

「な〜五条先生遅くね?」

いつも8分ほどの遅刻をしてくる先生が、15分以上経っても教室にやって来ない。

「確かに、いつもよりも遅いわね。」

釘崎も不審そうな顔で言った。伏黒も怪訝な顔をしている。

「上層部に呼び出されたのかもな。」

「でも、そうだったらなんか言って自習にしとくんじゃない?」

任務で手こずっているのだろうか。最強の五条先生が?

その時、勢いよくドアが開いた。

「おっはー!遅れてごめんね!伊地知がうるさくてさぁ〜」

テンション高めで入ってきた先生に安堵した。

ーー30分経過ーー

「あ、ちょっと用事思い出した、、、」

といって、術式を使ってとんでどこかへ行ってしまった。

教室に入ってきた時の顔つきとは全く違う、焦ったような、切羽詰まったような表情だった。

「あっ、先生!」

俺は咄嗟に声をかけたが、先生には届かなかった。

「五条先生、どうしたんだろ」

呟くと、

「さぁな。あの人は昔からよくわからないところがあるからな。」

と、伏黒。

「まあ、自習でいいんじゃない?」

釘崎が言った。そして、俺たちはそれぞれ自習を始めた。が、何もやることのない俺たちは、自由なことをした。

釘崎はスマホ、伏黒は読書。俺は,とくにやることが思いつかなかった。

「俺トイレ行ってくるわ」

何もやることがなく、暇だった俺は席を立って教室を出た。

廊下を歩いていると、窓の外に先輩たちの姿が見えた。パンダ先輩、相変わらず見た目、パンダだなぁ。とか思いながら眺めていた。そこで俺は思い立った。というか、先ほどからずっと思っていたことがあった。

ー五条先生は体調が悪いのかもしれない。だってさっきは、切羽詰まった顔してたし、顔色が悪かった。ちょっと息も荒かったような気がする。ほんとに些細な違和感だったが、頭を巡り始めると、次第に本当にそう思えてきてしまった。

確か先生は、面倒だからと、高専に住んでいると言っていた。ノックして、いなかったら、戻ろう。そう思って職員寮に向かった。


五条side

・・・あれから何分経っただろうか。なんだか懐かしい夢を見た。

「すぐ、、、る、ゲホッゲホッ」

この時期だった。なんで僕は殺したんだろう。仕方なかった。なんで。 傑はもういない。高専で風邪引いたとき、いつも看病してくれてた。「悟。」親友だったのに。バカだね、僕は。

あ、授業・・・しないと。放り出してきちゃったもんな。

部屋に入った瞬間にベッドに放り込むように横たわった身体をゆっくり持ち上げる。

「んん゛・・・・・」

力も入らない。頭も痛い。ねつ、上がっただろうなぁ。ポタポタ、、、涙が溢れた。ダメだ,熱でおかしいんだ。昔のことを思い出すし、授業サボっちゃうし。傑だったら、うまくやるんだろうなぁ。

眩暈がして、再びベッドに逆戻り。荒い息をしながら、天井を見た。

「ハァッ…ハッ…ケホッ…」

その時、控えめにコンコン、とドアが叩かれた。

力を振り絞って六眼で呪力を確認した。

悠仁だ。……やばい、このままではバレてしまう。込み上げる吐き気を我慢して起き上がった。顔色が悪いと思われないよう、目隠しをしようとした。しかし、眩暈でバランスを崩し、床に倒れ込んだ。膝をついてうずくまったような体勢。

「ハッハッんぐっ……」

吐きそう。そう思った時はもう、遅かった。咄嗟に手を口に当てがう。

「ゲホッゲホッ…オ゛エ゛ッ」

手の隙間からポタポタ漏れてしまう。食欲がないせいで昨日の夜から何も食べていないのに、どこから湧いたのだろうか、大量のナニカが身体の奥底から込み上げてくる。

やだ。吐きたくない。苦しい。助けて。たすけて。

「大丈夫。落ち着いて、先生。」

そっと背中に手を添えられ、目の前にゴミ箱が添えられた。咄嗟にゴミ箱を掴んで込み上げたナニカを出そうとするが、出て来なかった。

「エ゛ッ…ゲホッゲホッ……!」

生理的な涙が溢れる。

「大丈夫、大丈夫、家入先生のとこ、落ち着いたら行こ?」

優しくさすられた。優しさに触れたのは久しぶりだなぁ。

しばらくすると落ち着いた。

「立てる?寒いし、床の座ってたら、体冷えちゃうよ」

悠仁に支えられてなんとか立ち上がった。



虎杖side

五条先生を連れてゆっくり廊下を歩いた。

「先生、熱は?」

「38くらい、朝は、」

朝は、ということは、多分今はもっとあるだろう。無理をしてたのか。最強に縛られているような、寂しそうな表情も時々する時もある。今だけは、寄り添ってあげたい。そう思った。


治った数日後、先生は多少、無理はしなくなった。


五条side

「体調悪い時は人を頼りなさいよ!教師失格じゃない!」

「野薔薇サン、、、」

「釘崎の言う通りです。もっと頼ることを覚えてください。無理とか、馬鹿ですかあなたは。」

「釘崎、伏黒、先生病み上がりなんだから、もうちょっと、、、」

「あはは、ありがと、みんな」

いい生徒たちをもったなぁと思いながら、なんだか笑ってしまった。

「何笑ってんすか」

恵も、野薔薇も、悠仁も、

「なんでもないよ、ありがとね笑」

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初めまして(=・ω・)ノ白雪彩花と言います(❁´ω`❁)フォローさせて頂きます🙇‍♀️

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