【ci視点】
ci「俺は…ッ」
[こっちについていく。]
そう言いたかった。
…言えなかった。俺の本心。
言おうとした瞬間に息が詰まってしまった。
体が拒否をしているんだとわかる。
…俺の心はこんな俺から本当の俺を解放してほしいと思う。
でも脳裏にこびりついて離れない。
あの記憶。
苦しい、辛い、助けて。
いくら願っても助けてくれる人は現れなくて、ここにいたら自分で自分の首を締めているような感じ。
_また、自分を苦しめるの?
_誰も味方はいないんだよ?
恐怖からはこんなことしか考えられなくて。
_この劣等生が。俺らに見合ってないんや。
_無能やな。俺らに必要ないわ。
そんな事を言われているようで。
信用しても裏切られてしまうんじゃないかって。
…だから信用しきれなくて。
俺はそんな俺が嫌いだ。
こんな俺、もう嫌だ。
もう…
いいよね
おれ、
がんばったよね
そして俺はこう口に出す。
「俺はどっちにも行かない。」
そうすれば残るのはずーっと自分だけ。
自分と自分だけの世界。
誰も俺を傷つける者はいなくて。
誰も俺を不幸にする者はいなくて。
それと同時に
誰も俺を笑わせてくれる者はいなくて。
誰も俺を救ってくれる者はいなくて。
なんて楽な世界なんやろ。
そう思って襲ってきた眠気に抗うことなく長い眠りについた。
最期にはみんなの顔がよく見えた。
走り寄ってくれて、チーノって呼んでくれた。
…いや、あれは泣き叫んでいたに近いかな笑
ごめん。みんな。また俺のこと見つけてな。
大好き。
【???視点】
チーノは言った。
「俺はどっちにも行かない」
と。
彼らは絶望した顔を。
また一方の彼らは相変わらずハイライトのない目でにやりと笑う。
まるで彼らを嘲笑っているように。
そして塵が風に吹かれるように消えた。
残されたチーノと彼らの間には沈黙が流れる。
チーノは俯き、彼らは信じられない、という顔でチーノを見つめる。
するとチーノはバタリ、と音を立てて倒れる。
tn「ッチーノ!」ダッ
彼らは駆け寄る。
kn「チーノ!目ぇ閉じんな!!」ポロ
ut「ッチーノ…」ポロポロ
rbr「ち、のッ」グスッ
ぼろぼろと涙を流し、懸命に声をかけ続ける。
sho「だめだめッ!チーノ!!」
zm「チーノ、?ッ嘘やんな?嘘って言えやッ!」
em「…チーノくんッ!!」
gr「…ッ」
そして口を開く。
ci「ごめん。みんな。また俺のこと見つけてな。」
tn「チーノッ…だめ、だめやってッッ!!」
ci「…だ、ぃすき…」ポロ
そう言うと彼は眠るように消えた。
彼がいたところにはガラスの破片が残った。
gr「チーノ…
これは…記憶か?」
一人の男がそれを拾う。
皆はそれぞれ手に取り、穴が開くほど見つめる。
その破片一つ一つには確かに彼らとの思い出が映し出されていた。
【syp視点】
やはり、チーノの側にいたいと思って、ベットを降り、彼の手を握る。
その手は次第に力が抜け、温かさも消え、俺の手からも消えていった。
俺の頭に響く、無慈悲な機械音。
ツー、ツー
それは確実に一人の男の死を意味していた。
なんて無力なのだ。
遠にこんな結末、覚悟していたのに
やはり辛い。
どれだけ時間が経ったのだろう。
俺はただ、体育座りをしてチーノのベッドに寄りかかり、天井を見上げることしかできなかった。
次第に皆はこちらの世界に帰ってきた。
皆はもう動くはずない彼を見るなり、温かさのない体に抱きついたり、まだ死が受け止められない、と気持ちを訴えかけたりしていた。
俺はただそれを見るだけであった。
その日の晩
皆は俺にガラスの破片を渡してきた。
これがチーノに残ったものらしい。
見ると、どれも俺らとの大事な思い出であった。
そして総統が一番大きなガラスを手に渡した。
紫に輝く、また橙色に輝いても見えるガラスである。
gr「やはり、お前とチーノは切っても切り離せないゾ。記憶には一番大きく残っている。
…連れ戻せなくてすまなかった。
今日は存分に泣いてくれ。」
shp「…ッグスッ、ぅ゙…ぁ゙ぁ゙ぁ゙ッ 」ボロボロ
我慢していたものが溢れだす。
その様子を見て皆ももう一度、彼を囲うようにして抱きつき、涙を流していた。
『第二の俺』_Bad end
?????????????????????
隠された結末が解禁されました。
読みますか?
≫Yes
≫No
▷Yes
?????????????????????
【???】
「ここは…どこや」
すごくきれいなところや
俺は心残りがあるまま死んだ。
願うならば、もう一度あいつらに会いたい。
【syp視点】
3年後
今日はアイツの命日である。
そしてどういう訳か窓際を見れば、見覚えのある橙色の鳥が見れた。
鳥はカタコトな日本語を喋り、俺にこう語りかけた。
「ショウネン、モリニ、ウマレタ。オマエ、イマスグ、ムカエ」
少年が森に生まれた?
それをなぜ俺に伝えたんだ。
そう思うが、足は森に進む。
…俺には分かるんや。
だって。
チーノと俺は切っても切り離せないからな。
森には見たことのある服装で、これまた見たことのある猫と戯れる少年がいた。
背が高く、髪の毛は水色でふわっとしていて、大きな時計を首からぶら下げている。
syp「ッッ!!!」
ひと目でわかる。
アイツだ。
声を張り上げれば、彼もこちらを向いてこう言う。
どういうわけか、
同じ年齢で、しかも記憶も残ったままで戻ってきてくれた。
軍に戻った俺はすぐにインカムで会議を開く。
【gr視点】
会議室では驚く声、歓声、泣く声が響いている。
一言でいえば騒がしい。
なぜかって?決まってるだろ。
彼が帰ってきたんだから。
「ふふ。」
そんな彼らを俺は微笑んで眺める。
そして、総統室に戻りガラスをしまっていた棚を引いてみる。
「あぁ。やはりな。」
ガラスは消えていた。
どこへ行ったのかって?
答えは簡単さ。
チーノの元へ戻ったのだろう。
だって、あのガラスはチーノそのものなんだから。
だって、ショッピとチーノは…。
いや、
俺達は互いに結ばれあっていて、切っても切れない関係だからな。
【ci視点】
「ふふ。みんな、また俺のこと見つけてくれてありがと。」
『ガラスと記憶』_Happy end
これにて『劣等生と優等生』完結です。
最後まで見ていただき、ありがとうございました。
次は短編で色々出したいなと考えてます。
(長編疲れたなんて口が裂けても言えない🫢)
ネタないので、誰のストーリーみたい、だけでも良いのでリクエスト来ていただけると助かります😭😭
そういえば、皆さん地震大丈夫でしたか??
皆さんの無事をお祈り申し上げます。
それでは。
コメント
12件
いや〜何回も泣くわ〜 素敵なお話をありがとうございました!(´▽`)
いやぁ、神様って存在するですね、あ、初コメ失礼します ガチで最高でした!視点が片方によるわけでもなく両視点で綺麗に進んでいって読みやすかったです! これからも応援してます! 無理せず頑張ってください!
さいっこぉ…✨マジ神