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放課後。
俺は校舎裏に立っていた。目の前には瑞希。
「……で? なんの用?」
瑞希は腕を組み、ちょっとめんどくさそうに俺を見てくる。
「お前さぁ、もうちょい緊張感持てよ! 俺、今から告るんだから!」
「……は?」
「俺はお前が好きだ!! 付き合ってくれ!!」
俺は真正面から瑞希を見つめ、大声で告白した。
……よし、完璧だ!! これだけストレートに言えば、さすがの瑞希も――
「え、無理」
「即答!?」
「即答」
「いやいや、もうちょい考えろよ!? 俺、めっちゃ真剣に――」
「真剣ならなんなの?」
瑞希の声が少し冷たくなる。
「翔って、私が好きなんじゃなくて、“誰かと付き合うこと”が目的になってない?」
「……は?」
「付き合うことがゴール、みたいな」
「そんなわけねぇだろ!! 俺は本気で――」
「じゃあ、なんで私なの?」
「えっ、それは……可愛いし、一緒にいたら楽しいし……」
「……それって、“付き合ったら楽しいだろうな”っていう妄想でしょ?」
「……」
「翔は、私の何が好きなの?」
「……えっと……」
「私の趣味は?」
「……え?」
「好きな食べ物は?」
「え、いや、それは……」
「ほらね」
瑞希は溜め息をつきながら、腕を解いた。
「翔は、私のこと好きなんじゃなくて、ただ“彼女がほしい”だけなんだよ」
「……!」
「だから、無理」
そう言って、瑞希はくるっと背を向けた。
「……じゃあね」
そう言い残して、瑞希は去っていった。
俺はその場に立ち尽くしたまま、ただ彼女の背中を見送るしかなかった。
……これが、俺の“本気”の結果?
**久坂翔、人生最大の敗北――。**