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その森は深く、道しるべはおろか獣道さえ見当たらない。一歩足を踏み入れれば最後、迷うことは確実だ。
そのはずだが、最悪の事態だけは免れる。あてもなく歩こうと、気づけば森の外へたどり着けてしまう。
腐葉土の匂いが満ちるここは、迷いの森。ミファレト荒野の南西に位置しており、火傷のような火災が痛ましいも、全体で見れば微々たる被害だ。
傭兵ですら立ち寄らない僻地ながらも、実は無人ではない。
この地の奥には、魔女達の集落が存在している。実態としてはその多くが魔眼を宿していないのだが、起源が魔女であることは変わりない。
「俺の勝ちじゃ! ガハハ!」
半裸の巨体が勝どきを上げる。茶色いショートパンツしか履いていないが、露出狂というわけではない。
その肉体は、全身くまなく筋肉の塊だ。天を衝く右腕だけでなく、左腕や両脚さえも丸太のように太い。
男の名前はモーフィス。れっきとした老人であり、毛根は半数以上が死に絶えている。白髪や顔の皺からは老いを感じさせるも、全身を眺めればそのような感想は払拭されてしまう。
彼の足元には、女性が一人倒れている。
ここは集落の最奥にある鍛錬場だ。ただの空き地ながらも、連日のように地面が汗を吸っていることは間違いない。
突発的な模擬戦は、モーフィスの勝利だ。敗者は眠るように横たわっており、ピクリとも動かない。
その一部始終を眺めていた二人組。野次馬は彼らだけではないのだが、この二人はとりわけ目立つ。
「さすがモーフィスさん。次はアゲハさんでしたっけ?」
少年は右足に重心を傾けながら、左隣へ視線を移す。
隣には黒髪の女性が並んでおり、蠱惑的な色香はもはや暴力だ。
グレーの衣服はリネンチュニック。本来はゆったりとした衣服ながらも、腰のベルトと大き過ぎる胸が原因で体のラインが強調されている。
黒い長ズボンもピチピチに膨れており、健康的な肉付きだ。
坂口あげは。この世界に転生を果たした日本人女性。隣の少年よりも年上ながらも、お姉さんらしさは影を潜める。
「うん。準備、始めようかな……」
彼女の髪は背中まで届く。
ただ長いだけでなく、綺麗な濡れ羽色だ。
一方で、毛先だけが光るように青い。毛染めの類ではなく、転生時にこうなった。
その青色が、黒髪を侵食するように広がる。
ワスレナグサ。アゲハが使える天技であり、変化は髪の変色に留まらない。
彼女の闘気がグンと高まる。身体能力の向上こそが本命であり、黒髪が先端側から半分だけ青くなる現象は、副産物に他ならない。
やる気については不確かながらも、アゲハの用意は整った。
その姿を眺めながら、少年が白い歯を見せる。
「応援してます。昨日はラッキーパンチさえもらわなければ勝てたかもですし、今日こそはいけますよ」
「き、気合、入れないと……」
声援を力に変えて、アゲハが一歩を踏み出す。
モーフィスは一戦交えた直後ながらも、鼻息荒く元気だ。警戒班の班長は強敵のはずだが、子供のようにあしらって今に至る。
敗者の姿は見当たらない。彼女は既に運ばれており、部下によって介抱されている。
間髪入れずの二回戦だ。
シャリ、シャリ。
挑戦者が地面を踏みしめる。二色の長髪を揺らしながら、アゲハは決して振り返らない。
その後ろ姿を見つめながら、少年はしみじみと思いをはせる。
(今のアゲハさんならあるいは……。僕が言うのもあれだけど、モーフィスさんはめちゃくちゃ強い。大変だと思うけど、がんばって)
エウィン・ナービス。十八歳の傭兵だ。
実態としては浮浪者なのだが、アゲハと出会って以降は羽振りが良い。
もっとも、二人分の宿代を払えるほどではないため、城下町に戻れば廃墟暮らしは変わらない。
長袖のカーディガンは髪とお揃いの緑色。黒いズボンはあちこちが破れており、ダメージ加工ではなく戦闘の傷跡だ。
エウィンとアゲハ。この二人は本来ならば部外者でしかない。
ここは秘匿された集落であり、招かれない限りはたどり着けない場所だ。
それでも今は、里長の客人としてこの地に居ついている。一時的な滞在ながらも、かれこれ五か月は過ぎ去った。
その甲斐あって、二人の成長は著しい。
強い弱いは相対評価ゆえ、ものさしが必要だ。その役目をモーフィスが担っている。この老人は里長に次ぐ実力者であり、エウィンがこの地に初めて訪れた際は、手加減なしには食らいつくことさえままならなかった。
しかし、今は違う。
リードアクターという切り札無しに勝ててしまう。
この成長は、長期的なスパンならばあり得た。十年、二十年、あるいはそれ以上か。
そのような常識は、エウィンに適用されない。
この少年は半年もかからずにモーフィスを越えてみせた。
非常識な成長だ。
何が功を成したのか、本人さえもわかっていない。
それでもこの力に偽りはなく、驕ることなくトレーニングに励んでいる。
午前の鍛錬もその一環だ。今はアゲハを応援する観客かもしれないが、これをさぼりだと指摘する者はここにいない。
本日の空模様は、雲がかすかに浮かぶ晴天。
朝陽が全力で降り注ぐ中、アゲハとモーフィスが向かい合う。
「よろしく、お願い、します」
「おう! かかってこい」
何十回と繰り返したやり取りだ。もはやルールの確認すら必要ない。
壁の様に立ちはだかるモーフィスは、満面の笑顔で仁王立ちだ。宣言通り、先手を譲るつもりでいる。
対するアゲハだが、怯まないばかりかボクシングのように構える。脇を締め、右足をわずかに下げた理由は、この姿勢が馴染むから。
審判の類がいないため、ゴングも無しに試合は開始される。
二色の髪を躍らせながら、距離を詰めると同時に細かな打撃。その全てが巨大な手のひらに止められるも、アゲハはやはり臆さない。
小技が通用しないなら、威力を高めるまで。そう主張するように、彼女は半歩下がる。
腰を捻れば、準備は完了。緩めていた右手で握り拳を作りながら、モーフィスの腹筋目掛け右腕を突き出す。
シンプルながらも強烈な一撃だ。
同時に、その狙いは非常にわかりやすい。
この老兵ならば防ぐことも出来たのだろう。
それでも、真正面から食らった理由は、アゲハの成長を見極めるためか。
空気が震えるほどの轟音は、拳と腹筋が激突した衝撃によってもたらされた。
その結果、鍛錬場が静まるも、モーフィスの声が静寂が破る。
「ぐぅ、ドシンと響いたのう。力まんと意識が飛びそうじゃ」
この老人は倒れない。
腹部の鈍痛は致命傷には至らず、口角を釣り上げられる程度には元気だ。
モーフィスは二メートルを上回る巨体ゆえ、アゲハは見上げるしかない。
ここまでは挨拶代わりの小手調べだ。
そうだとわかっているのか、二人は一歩も引かずに殴り合う。
激しい応酬は、傍から見たら五分五分だ。
拳を避け、自身の打撃を当てる。
リズムをずらし、相手の虚を突いて殴り返す。
互いの手の内はわかっているため、創意工夫は最低限だ。
殺し合いではなく鍛錬も兼ねた闘争だからか、彼らの姿は美しい。
その結果、観客全員が魅了される。
唯一の例外は、エウィンくらいか。偉そうに腕を組むも、心境は複雑だ。
(パワーはモーフィスさんが上だけど、スピードはアゲハさん。だから勝てそうなんだけど、今日も無理っぽいか。出会った頃と比べれば十分戦えてるけど、アゲハさんにこういうのを強いるのはやっぱり酷なんだろうな。そういう世界じゃ、なかったみたいだし……)
地球。その惑星には魔物のような化け物はいない。野生動物は人間の活動域から排除されており、誰もが平和な日常生活を送れた。
アゲハはただの日本人だ。極度に人見知りな上、大学中退後は引きこもる。
だからこそ、戦えるはずがない。
この世界への転生は、神の偽善そのものだ。
それでも生き残れた理由は、エウィンと出会えたから。
その恩義に報いるためにも。
隣に並び続けるためにも。
強くなりたかった。
そのための手段が、魔物の討伐だ。数えきれないほどの草原ウサギを屠り、その後も各地を転々としながら狩りに励んだ。
その結果、彼女の身体能力は地球人のそれを大きく上回る。もしも日本に戻れた際は、スポーツの分野で花開くだろう。
そうであろうと、モーフィスには苦戦を強いられる。
彼女がこの老人に勝てない理由。
エウィンはそれを理解している。
(パンチ、パンチ、お、すごい連打。でも、モーフィスさんは倒せない、と。そりゃそうか、見え見えだもん。悪くはないと思うけど、アゲハさんは戦い方が上品過ぎる。やっぱり……)
この分析はほぼほぼ正解だ。
アゲハの戦闘スタイルはボクサーに近い。拳しか使わず、頭突きはおろか蹴りさえ控える。
その理由は、彼女がただの日本人だからだ。格闘技の経験がない以上、どうしてもこうなってしまう。
ゆえに、エウィンはアドバイスを兼ねた声援を送る。
「アゲハさーん! その太い脚で、おもいっきり蹴りまグハッ!」
「え⁉ キャッ!」
大惨事だ。
エウィンが杭のように地面へ埋まった理由は、背後から頭頂部を殴られたから。
アゲハが地面に伏した理由は、足払いで尻餅をついたから。
こうなってしまっては、模擬戦どころではない。
この状況が、周囲の観客を驚かせる。
モーフィスは冷静に呆れており、ため息を我慢出来ない。
エウィンは首まで地面に埋まったままながらも、かろうじて頭だけを動かす。
「げ、ハクアさん……」
背後には見知った女性が立っていた。
その髪は誰よりも長く、血の様に赤い。
真っ黒なブラウスとベージュのズボンを着こなしつつも、その上に白衣をまとっている。
その風貌は、怒る寸前の医者だ。両手を腰に添えており、表情は穏やかではない。
彼女の名前はハクア。その瞳は、黒目部分の内側に赤い線で円が描かれている。
これこそが魔眼だ。
そして、これを宿す女性が魔女と定義されている。
「あんたねー、何度言ったらわかるの? 女の子に向かって、脚が太いとか言わないの」
「え、でも、僕としては褒めてて……」
まるで大根のように埋没しながらも、エウィンは本心を述べている。
言い訳のような反論に対し、ハクアは仁王立ちを崩さない。
「世の女の子は細いって言われたいの。太いは誉め言葉にならないって学びなさい」
「り、理不尽過ぎる……。ムッチリしてる方が健康的で素敵じゃないですか」
「だーかーらー、あんたがどう思うかは勝手だけど、本人にはそういうこと言わないの。ほら、見てみなさい。あの子、恥ずかしさのあまり地面を掘り始めたわよ」
「あ、ほんとだ。それでもまぁ、僕の方が埋まってますけどね」
ハクアの登場によって、この場は一旦収まる。
モーフィスとの模擬戦はこれにておしまいだ。ここからはこの老人が適宜指導する形で、鍛錬が再開される。
アゲハは残念ながら今日も敗北だ。
エウィンは体中が土まみれながらも、慰めるように声をかける。
「結果はさておき、内容は悪くなかったと思いますよ」
しかし、この発言についても年長者は気に入らない。
「あんたが変なこと言ったからでしょう」
「う、褒めたのに……」
吐き捨てるハクアに対し、エウィンは萎縮するしかない。
誉め言葉であろうと、アゲハを驚かせたのは事実だ。
その結果、彼女に土がついた以上、この少年に非がある。
うじうじと反論するエウィンに対し、ハクアは呆れながらも説教を止めない。
この光景はもはや風物詩だ。鍛錬に打ち込む若者達も、気にも留めずに汗を流す。
しかし、和やかな雰囲気はここまでだ。
見慣れぬ二人組の登場に、里の空気が凍り付く。
長身の女と、小さな女の子。
姉妹か。
親子か。
判断に迷う程度には、年齢も身長もかけ離れている。
よそ者でありながら堂々と歩く姿は、まるでこの地を知っているようだ。
「やっほー、連れて来たよー」
長身の女が、能天気に右手を振っている。
茶色い髪は、小顔に見せるようなミディアムボブ。
衣服の上に胸部アーマーを装備しており、背中には大剣と巨大なリュックサックを背負っている。
オレンジ色のロングスカートに切れ目が入っている理由は、動きやすさを重視した結果だ。
その風貌は傭兵そのものながらも、隣の少女がノイズになっている。
迷いの森を抜け、ここまで入り込めたことからも、この二人はれっきとした客人だ。
そうであると主張するように、長身の女は魔眼を宿している。
彼女の名前を知っているからこそ、ハクアは驚きもしなければ慌てもしない。
「いらっしゃい。二人共、待ってたわよ」
彼女の名前はエルディア・リンゼー。傭兵であり、武器屋の娘であり、そして魔女。
この地を訪れた理由は、隣の少女を連れてくるためだ。
つまりは案内人であり、その役目は滞りなく果たされた。
「お土産いっぱい持ってきたよー。誰に渡せばいい?」
エルディアの言う通り、背負い鞄はパンパンだ。人間一人が収まるくらいには大容量ながらも、彼女自身は汗一つかいていない。
このタイミングで、二人の手が離される。
瑠璃色の髪を揺らしながら、トコトコと駆ける女の子。その髪型は両サイドで結ばれたツインテールゆえ、体の振動に呼応してせわしなく暴れている。
「こにちは!」
元気いっぱいの挨拶だ。
大きな瞳はハクアを見上げており、久方ぶりの再会を喜んでいるのか、頬が赤く染まっている。
上品なワンピースと、可愛らしいリュックサック。どちらも平民には買えない高級品であり、彼女の素性がうかがい知れる。
もちろん、ハクアは何もかも把握済みだ。
母親が子供に向ける表情で、少女を迎え入れる。
「こんにちは。久しぶりね、お勉強は終わったの?」
「おわった! えほん、よめるようになった!」
ふわふわなツインテールを上下させながら、少女が笑う。
この時点で鍛錬場は警戒心を解いており、なぜならこの客人達を思い出した。
モーフィスは横目でハクア達を観察しつつも、後進の育成に励む。
一方で、エウィンとアゲハは棒立ちだ。二人の来訪については事前に聞かされていたが、それでも今は説明を求めたい。
「エルディアさーん……」
「ん? おひさー。元気そうじゃん、良かった良かった」
エウィンとエルディアは顔見知りだ。ジレット監視哨での一件で知り合い、その後も一時的に行動を共にした。
アゲハが打ち解けている数少ない一人ながらも、久方ぶりの再会ゆえ、エウィンは矢継ぎ早に問いかける。
「もしかしてあの子が……」
「そだよー、パオラちゃん。あ、二人は初めてか」
パオラ・エヴィ。十二歳の少女ながらも、秘めたる才能は規格外だ。
ここまではエウィンもハクアから聞かされている。
しかし、納得出来るかどうかは別問題だ。
「確か、十二歳でしたっけ?」
「お、正解」
なぞなぞの出題者のように、エルディアだけが笑みをこぼす。
一方で、エウィンの表情は硬いままだ。
「十二歳……、本当に? 僕には、七歳とか八歳、ううん、もっと小さいように見えますけど……」
この指摘は鋭い。
パオラの身長は低く、少なくとも十歳よりも幼く見えてしまう。
背の伸びに個人差があることは当然ながら、それでもやはり小さすぎる。
「あー、パオラちゃんは色々あってねー。そこらへんは、ハクアさんが追々教えてくれると思うよー。私から話してもいいんだけど、でしゃばるのもアレだしねー」
エルディアでさえ、言葉を濁す。
アゲハはこのタイミングである程度察しており、だからこそいつものように無言を通す。
そういう意味では、エウィンだけが除け者だ。納得しつつも、次の質問を投げかける。
「あの子って、どのくらい強いんですか?」
「どのくらい……、私達よりは上かなー」
「え、僕よりも?」
「だと思うよー? そうだなー、あそこの筋肉モリモリおじいちゃんに、エウィン君って勝てる?」
「はい、勝てます」
「え⁉」
空白の期間が、認識にズレを起こさせる。
当然ながら、エルディアに落ち度はない。
モーフィスはこの里随一の強者だ。彼女でさえ、この老人には太刀打ちできない。
ゆえに、エウィンもそうだろうと予想したのだが、短期間での急成長が不正解だと言い渡す。
「つい最近まではリードアクターを使う必要がありましたけど、今は素のままでいけます」
「ま、まじで?」
「まじでまじで」
そして沈黙が訪れる。
もっとも、ここは鍛錬の場ゆえ、騒々しいことに変わりない。
ハクアと少女も仲睦ましく盛り上がっており、静かな場所はここだけだ。
エルディアとしても、開いた口が塞がらない。
「信じられないゼ。どゆことー?」
「そう言われましても……。筋トレとか、筋肉モリモリおじいちゃんとの組手とか、そういうのが功を奏したとしか……。 あぁ、こちらのアゲハさんも、メキメキ成長中です」
二人の視線が、吸い寄せられるように黒髪の日本人へ向けられる。
その結果、アゲハは照れるように視線を落とすも、エルディアはその隙を見逃さない。
「相変わらずデカい! 久しぶりに触らせてー」
「ひゃあ⁉」
過剰なスキンシップはエルディアの十八番だ。これがあるからこそ、アゲハとの距離を詰められた。
公衆の面前で絡み合う二人を眺めながら、エウィンは棒立ちのまま動けない。
(眼福過ぎる。ありがとう、おっぱいの神様)
年上の女性が乳繰り合う光景を、目に焼き付ける。これが今出来る精一杯であり、邪魔されない限りは続けるつもりだ。
その結果、突然の横やりが彼を正気に戻す。
背後から、小さな力で服を引っ張られた。
何事かと、エウィンとしても振り向かずにはいられない。
「ん?」
振り返ろうと、そこには誰もいない。
もちろん、そのようなことはなく、視線を下に落とした瞬間だった。
二人の視線が交わる。
長い髪は深い青色。瑠璃色という表現が相応しい。
両耳付近で束ねており、ふわりと垂れ下がるツインテール。
おめかしで着せられたワンピースは似合っており、長距離移動の影響であちこちが汚れてしまったが、それすらも子供らしくてかわいい。
大きな瞳をパチパチとさせながら見上げるも、初対面ゆえか恥ずかしそうだ。
その手はエウィンの服を引っ張っており、少女は照れながらも口を開く。
「ぱおらです。おにいちゃんは、だれ?」
「あ、ええと、エウィン、エウィンだよ」
新たな物語が幕を上げる。
炎の魔物が選んだ傭兵。
赤髪の魔女に才能を見出された少女。
二人が出会った瞬間だ。
課せられた使命は、セステニアの討伐。
それが重荷であろうと、どちらかが果たさなければならない。
あるいは誰であれ負けてしまうのか? 台本のラストページは白紙ゆえ、今は誰にもわからない。
これは、二人の交錯から始まる物語。
巨人戦争は偽りの終戦で幕を閉じたが、先延ばしはそろそろ限界だ。
エウィン・ナービス。
パオラ・エヴィ。
人間の壁を超える者達。
それほどの資格がなければ、最悪の災厄になど立ち向かえない。
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#ファンタジー