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テラー初投稿なんで不備あったらスマソ
急に下げるかもしれんぬ
ーーー
「ケホッケホッ」
二人きりしかない牢屋に咳が響く。
街で最速の男こと、アドミゲス・ハンは仲間と共にリグへ行き、金持ちを逃した引き換えに捕まっていた。そんな彼に切符を切っているのは空の悪魔こと青井らだおである。
「ハンさん大丈夫?」
「ケホッ、おん大丈夫よ」
「風邪?」
「かな〜」
「熱とかあるん?」
「いや、測ってない」
「ちょっと失礼しまーす」
ガチャ
「え、何何何」
突然何も言わずに近づいてくるらだおに若干身構える。
「あー、熱あるね」
どうやら熱を測る為だったようだ。そういえば体熱いな〜、ぐらいには思っていた。添えられた手が冷たく感じる。
「マジ?じゃあプリズンから帰ったら寝るわ」
「え、プリズン行く?」
さも当たり前のことを不思議そうに聞き返してくるGrade5の警官。
「いや、行かないと帰れないだろ」
「別に体調悪いなら帰すけど。熱あるのに刑務作業できないでしょ」
「あんま体調不良っていう実感ないんよね。今抗争行ってこいとか言われたら行けるレベル」
「犯罪はやっちゃダメだよ〜」
「例だって。ていうかワンチャン汚職になるだろ、らだおが」
「あー…まぁそれはそうやね」
「わかった、じゃあ元が60分なんだろ?30分にしてくれ」
「20分で。心配だし」
「マ?まぁらだおがいいならいいや」
「ヤバそうだったらプリズンブレイクして。迎えに行くから」
「おーw了解」
ガシャン
「……優しいな、らだおは」
(にしても熱あんのか〜…。どうしよっかな。悪化させたくないし、座ってボーっとしてるか)
海に潜って逃げていたところを撃たれて沈んでしまい、回収に時間がかかった分プリズンに来るのは自分が一番遅く、他に捕まった仲間はみんな帰ったようだ。なら20分ぐらい帰らなくても何も言われないだろう。
「…んー、寒」
熱のせいか。薄いとも厚いとも言えない囚人服だけでは少し肌寒い。
(こんなことになるなら海に飛び込んで逃げようとしなければよかったな…)
「てか風邪引いたのなんていつぶり?マジで」
記憶にはないが、別に遡るほど昔でもないの
だろう。そんなことを考えていると後ろから足音がした。
「おや、ハンさんじゃないですか」
「あらヴァンさん」
振り返るとそこにはまさかのヴァンダーマー。軽く雑談をしたところMOZUは客船していたようでヴァンさんだけが捕まったらしい。
「そういえば作業しないんですか?」
「え?あぁ、ちょっと休憩してただけっす」
バレているらだおはともかく、むやみやたらに風邪を引いたのを言いふらすのは良くないだろう。「休憩」と、言ったからには作業をしないと怪しまれる。仕方なく立ち上がり、調理場へ向かうとヴァンさんも着いてきた。
(にしても、外は余計に寒いな)
季節の変わり目、気温も安定していないのだろう。調理場に着き、ドアノブに手をかけて捻るが返ってきたのはガチャ、という鍵が閉まっている音だった。
「え?開かないんだけど」
(なんで刑務作業場が閉まってるん?)
「張り紙ありますね」
“ロケランによる誘爆発によって調理場が使用不可になっております。申し訳ありませんが修理完了まで別の刑務作業場の使用をお願い致します。 特殊刑事課対応課”
「あー……」
(らだお、頑張れ。俺は出来る限りお前を応援するぞ)
特に意味はないが心の中でエールを送っておいた。
「また特殊刑事課か………」
あのヴァンさんに頭抱えさせるって普段何してんだよ特殊は。まぁそれはそれとして。
ということは、残ってる刑務作業場は……
(いや無理無理無理。この状態でやったら絶対体調悪化するじゃん)
「しょうがないですね。戻りましょうか」
「そっすね……」
少し長い間寒い外にいたせいか、頭が痛くなってきた。やっぱりらだおに連絡した方がいいだろうか。だがプリズンに長くいるのは慣れてるし、ぶっちゃけあと12分だ。ヴァンさんには……、もう終わったけどヴァンさんと話してたいから居るって言おう。
(よし完璧)
比較的暖かい屋内に入ると違和感のないように話題を振り、二人で話し始めた。しばらく最近のMOZUメンズの様子を聞いていたが話に区切りがつき、自然と時計に目をやった。あと7分。軽い目眩を覚えながら小さくため息をついた。結構ヤバいのかもしれない。
「…ハンさん」
「ん?あ、はい」
「顔色悪いですけど、大丈夫ですか?」
「あぁ……。大丈夫っす」
「聞いといてなんですがそうは見えないんですよね。体調悪いんですか?」
(よく見てるな…この人)
やはりギャンボスなだけあって無意識に人のことを観察するクセがついているのかもしれない。
「まぁ、なんかちょっと風邪気味なだけなんで大丈夫です」
「本当に?」
「な、何ですか?」
「無理してるのでは?」
「いやいやそんな」
やんわりと否定し続けていたその時。
「ん、?」
さっきよりも大きい目眩がして、思わずよろ
ける。
(あー…?これちょっと……、ヤバいな)
「ハンさん?」
ヴァンさんが怪訝そうに名前を呼んでいるのがわかるが頭痛が激しくなってきて返事をできない。
あ、ダメだこれ。
(倒れる…っ)
「っと…だから言ったんですよ」
「……すみません………」
必死に耐えたものの結局平行感覚を失い倒れかけたところをヴァンさんが抱き止めてくれた。そのまま額に手を当てられる。
「随分と熱いですね。高熱じゃないですか?」
「ちょっと前までは微熱くらいだったと思うんですけど……」
「ほう…、自覚あったんですね」
「あっ…」
まずい。余計なことを言った。
「これは一旦無馬さんに報告かぁ」
「マジすか」
「マジです」
「うわぁ、怒られる〜」
「無理するあなたが悪いと思いますよ」
「何も言えないっすね」
「救急隊呼ぶので、寝ていてください」
「救急隊?別に、個人医を呼んでもらえればいいんですけど…」
「ん?」
「お願いしまぁす……」
一音の圧がえぐい。有無を言わさせない気迫に押され、諦めて救急隊を待つ。
(あ〜〜、しんど)
「大丈夫ですか?」
「っす…」
「横になっててもらって大丈夫ですよ」
「すみません…」
言われるがまま横になると眠気はすぐに来た。案外疲れていたのかもしれない。
「スー……」
寝息が聞こえてきて振り向くと、ハンさんがテーブルに突っ伏していた。起こさないよう改めてそっと額に手を当てる。
「あっつ…」
こんな状態で刑務作業をやろうとしてたのか、と内心引きながらゆっくり抱えて出口へ行く。
出るとすぐに荷物が返ってきた。その荷物の中スマホを取り出す。
ARC|無馬 かな
「起きてるかな…」
まぁ、起きてなかったらねね達幹部でも構わ
ない。これは一度身内に叱ってもらった方がいいだろう。
仕向けたのは他でもない自分なんだが、少し気の毒に感じる。
(まぁ、しょうがないか)
無馬さんの名前を押すとコールがかかった。
──────────────
───────────
────────
─────
──
「……ん………」
(…?)
目を開けると視界に入ったのは見覚えのある天井。
「い…っ」
起き上がろうとした途端、頭に激痛が走って逆戻りする。その声で起きたことに気づいたのかねねが部屋入ってきた。
「あ、ハンさん起きました?」
「うわ、…ねね?」
「大丈夫ですか?良かった、目が覚めて」
そう言うとねねは無線で「ハンさん起きました」と報告する。
「ここ…」
「アジトです。ヴァンさんが無馬さんに「ハンさんが体調悪いみたいだから迎えにきてあげてほしい」電話くれて、ヘリでヴァンさんごとアジト付近まで運んだんですよ」
そういえば寝る前にそんなことを言っていた気がする。悪いことしたなぁ。
(……待てよ?)
「ねね、それ、ARCANA全体に伝わってる?」
「え?はい」
バンッ
「ア〜ド〜ミ〜?」
「来るんだよね、知ってた」
「らだおとヴァンさんから聞いたぞ〜?お前クソ熱高いらしいなぁ?」
「はぁい、その通りでございます〜」
「なんでそんな状態でミッション行ったんだよ、お?」
「いや、あのですね。切符切られてる時まで気づいてなかったんですよ。むしろピンピンしてましたし」
「らだおは「別に体調悪いなら帰ってもいい」って確かに言ったって聞いたけど?」
「いやいやいや…言ってましたけどね?」
「言ってたんじゃねぇかよ。ま、かなくんもお怒りだから」
「え?」
「ハンさ〜ん」
「無馬起きてたんかーい」
「なーに他所のギャンボスに迷惑かけてんの〜?」
「それに関しては誠に反省しておりますはい」
「聞いた話によると、倒れかけたらしいじゃん」
「うん、まぁはい。倒れかけたっていうか倒れたっていうか」
「僕らにはいくらでも迷惑かけていいけど他所に迷惑かけちゃダメ。いい?」
「はーい」
「うん。じゃあいいや」
「え?終わり?」
「なに、叱ってほしいの?」
「いや……。もうちょっと…なんかこう、小峯と共に長時間説教を覚悟してたんだけど……」
「多分ハンさん自覚ないだろうから言っとくけど、顔色死人かってぐらい悪いし、超熱高いから」
「アドミ、聞いて驚け。脅威の39.8」
「え、マ?」
「マ」
「だからもう寝ようね?」
「はぁーい」
目が覚めたら、ヴァンさんに謝りに行って…らだおにはお詫びチェイスを仕掛けてやろう。
そんなことを考えながら目を閉じた。