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2 - 第2話 ならず者の楽園

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2025年03月30日

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──燃えるような夕陽が、瓦礫の街を照らしていた。


かつての都市の外れ、今は誰にも顧みられないスラム街。


組織の監視が緩いこの場所は、行き場を失ったギフターたちが集まる「ならず者の楽園」と呼ばれていた。


シオン・ヴェルナーは石畳の上を歩いていた。背中には黒いロングコートを羽織り、貴族が庭を散策するかのような足取りだ。


「逃亡貴族様のおな~りってか?」


乾いた声が響く。周囲にいたギフターたちがシオンを値踏みするような目で見つめていた。


片目に眼帯をした男、無数の傷跡を持つ女、長い爪を持つ青年──どれも組織には属さず生き抜いてきた者たちだ。


「ご挨拶ありがとう。私を歓迎してくれるのか?」シオンは軽く笑いながら言った。


「歓迎ねぇ。組織の犬がここに紛れ込んでねぇか、って話だよ」


男たちがシオンを囲む。だが、彼は微動だにせず、ポケットに手を突っ込んだまま彼らを見渡す。


「私が誰か知っているだろう?」


一瞬、静寂が流れた。


「……『背信者』シオン・ヴェルナー」


「組織を裏切り、好き勝手やってるって噂の男だ」


「そう、私は組織の犬じゃない。お前たちと同じ”ならず者”さ」シオンはゆっくりとワインの瓶を取り出し、グラスに注ぐ。


「それとも、お前たちは裏切り者が嫌いか?」


ざわめきが広がる。ならず者たちは顔を見合わせた。そして、数秒後──


「……面白ぇ!」


誰かが笑い、場の空気が一変する。


「なんだ、酒持ってるなら最初から出しやがれよ!」


「ハッ、たまには”貴族”と飲むのも悪くねぇな」


シオンはグラスを掲げた。「なら、乾杯といこうか。自由に生きる我々にな」


グラスがぶつかり合い、酒が注がれる。統括組織の圧政から逃れた者たちが集うこの場所で、シオンは静かに微笑んだ。


──ならず者の楽園。その夜、シオンの名はさらに広がっていった。


作者より

「用語解説するね!

Gift:神々から与えられた特殊能力

ギフター(頂戴人):Giftを宿した人々」

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