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用語解説ありがてぇ() ほほう...シオンたん人気者だねえぇ...いいなぁ((? うちもはよ混ざりてぇ!!!!
──燃えるような夕陽が、瓦礫の街を照らしていた。
かつての都市の外れ、今は誰にも顧みられないスラム街。
組織の監視が緩いこの場所は、行き場を失ったギフターたちが集まる「ならず者の楽園」と呼ばれていた。
シオン・ヴェルナーは石畳の上を歩いていた。背中には黒いロングコートを羽織り、貴族が庭を散策するかのような足取りだ。
「逃亡貴族様のおな~りってか?」
乾いた声が響く。周囲にいたギフターたちがシオンを値踏みするような目で見つめていた。
片目に眼帯をした男、無数の傷跡を持つ女、長い爪を持つ青年──どれも組織には属さず生き抜いてきた者たちだ。
「ご挨拶ありがとう。私を歓迎してくれるのか?」シオンは軽く笑いながら言った。
「歓迎ねぇ。組織の犬がここに紛れ込んでねぇか、って話だよ」
男たちがシオンを囲む。だが、彼は微動だにせず、ポケットに手を突っ込んだまま彼らを見渡す。
「私が誰か知っているだろう?」
一瞬、静寂が流れた。
「……『背信者』シオン・ヴェルナー」
「組織を裏切り、好き勝手やってるって噂の男だ」
「そう、私は組織の犬じゃない。お前たちと同じ”ならず者”さ」シオンはゆっくりとワインの瓶を取り出し、グラスに注ぐ。
「それとも、お前たちは裏切り者が嫌いか?」
ざわめきが広がる。ならず者たちは顔を見合わせた。そして、数秒後──
「……面白ぇ!」
誰かが笑い、場の空気が一変する。
「なんだ、酒持ってるなら最初から出しやがれよ!」
「ハッ、たまには”貴族”と飲むのも悪くねぇな」
シオンはグラスを掲げた。「なら、乾杯といこうか。自由に生きる我々にな」
グラスがぶつかり合い、酒が注がれる。統括組織の圧政から逃れた者たちが集うこの場所で、シオンは静かに微笑んだ。
──ならず者の楽園。その夜、シオンの名はさらに広がっていった。
作者より
「用語解説するね!
Gift:神々から与えられた特殊能力
ギフター(頂戴人):Giftを宿した人々」