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ばくりっこ

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ばくりっこ

3 - 第3話 最終話

♥

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2022年10月16日

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「あにきっ!」

「……っ!」

悠佑がないこの振りをしているなにかから逃れようともがく。普段から鍛えている悠佑だ、すぐにふり解けるはずだったのにないこの振りをしているなにかの力は見た目に反してかなり強いようで、逆に頭を鏡に押さえつけられてしまう。

「______じゃあ、お前が交代するか。」

ぐっ、と鏡に押し付けられる。やがて、悠佑の頭が鏡をすり抜け鏡の向こう側へとめり込んできた。

「あにき!!」

「!ないこ……!」

鏡の中に入ってきたため、ないこと悠佑の目が合った。

「ないこ!手を!」

悠佑が空いていた手をないこの方へ伸ばした。咄嗟にその手を掴むないこ。そのまま力任せに引っ張られないこの体は鏡の外へと放り出された。

「!」

すぐさま起き上がり振り返る。悠佑の体は胸の辺りまで鏡に入り込んでおり元々小柄な体はすでに足が床から離れてしまっている。

「悠佑を離せ!」

ないこはないこの振りをしている何かの足を振り払うと同時に悠佑の足にしがみついた。

尻もちを着くないこの振りをしている何か。その間に必死で悠佑を鏡から引き剥がした。その瞬間。

ないこの振りをしている何かが驚いたような顔をしたまま音もなく消えていった。

静寂。

「た、助かった……?」

「何、今の音?」

「ないちゃん、悠くん、どしたん?」

騒ぎが聞こえたらしい、ホトケと初兎が洗面所にやって来た。

その声を聞いてビクッと体を震わせるないこ。

「い、いや、ちょっと……。」

「2人とも、なんかないこが調子悪いみたいや。悪いけど今日はやめてまた後日集まるんでもええか?」

口ごもるないこを見て、悠佑がないこの肩に手を添えて言った。

「あにき…。」

「え、ないちゃん調子悪いの?大丈夫?」

「……うん……。」

「ないちゃん、働きすぎや。わかった。他のメンバーには連絡しとくわ。今日はゆっくり休んでな。」

心配そうな表情をうかべながら、ホトケと初兎は帰って行った。

リビングへと移動したないこと悠佑。

「大丈夫か?」

ないこをソファに座らせ、悠佑がしゃがんで覗き込んできた。

「……うん。ありがとう、あにき。」

答えはしたが、今更恐怖を感じて震えを抑えることが出来なかった。

「…でも、あいつ俺にそっくりだったでしょ?何であにきには偽物だってわかったの?」

「そんなん、」

ふっ、と悠佑は柔らかく笑った。

「だってあいつ、ないこじゃなかったもん。」

「え…?」

「沢山いる歌い手の中から俺を見つけてここまで引っ張ってきてくれたないこを、俺が見つけられないわけないやん。」

自信たっぷりに言い切る悠佑。

ぽかんとしたないこだったが、やがてゆっくりと笑顔が浮かんだ。

うん、さすが俺が惚れ込んた悠佑だ。

「それより、さっきあいつら見て様子が変やったけど、どうした?」

「……。あの時…。」

膝に置かれた手の温かさに安心したないこは鏡の中でのことをゆっくりと話す。

他のメンバーは、自分のことを迷惑と思っているのではないか……。

話していくうちに声が震えていく。悠佑は黙って話を聞いていた。

「……ないこ。鏡ってさ、逆にうつるやん?ということはさ、言葉も逆になるんちゃうかな?」

話し終わると、静かに口を開いた。

「……逆?」

「おん。右手上げても、鏡の自分は左手をあげる。絶対同じことはしないんや。」

「……。」

「言葉も、同じなんかもしれんよ。鏡なんて所詮、見た目を写してるだけのもんやし。」

逆……

「ないこは、ただそこに写っただけのコピー品と2年間一緒に頑張ってきた仲間たち、どっちが信じられる?」

にかっと笑う悠佑。

そうだ、俺は絶対の信頼を持てる仲間たちと2年間頑張ってきてんだ。俺がアイツらを信じないでどうする。

じわり、と視界が潤んだ。

「そう、そうだよね…!あにきい……!」

ないこは悠佑に抱きつき、泣いた。悠佑の手が優しく頭を撫でてくれる。

そうだ、信じるべきはこの手だよな。


後日、改めて設けられた会議の日。

いつもより少し優しいないこに、子供組が嵐の前の静けさかと恐怖を覚えていたのはまた別の話。





終わりです。

アレ、読み切りのつもりで書いてたんだけどオカシイナ?

駄作、失礼しました。コメントお待ちしてますクレームもお受けしますm(_ _)m

この作品はいかがでしたか?

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コメント

4

ユーザー

とんでもない時差コメ失礼しますm(_ _)m あっここに神がいらっしゃった... 最高の作品ありがとうございますッ!

ユーザー

最高でした・・・!あなたが神か

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