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かぴばら
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【とある日】
カラン、カラン…
「…私の画廊へようこそ、お客様」
コッ、コッ…
「Bonjour、イギリス」
「お久しぶりですね。巨匠」
「いや、そこまで久しくもないし巨匠でもないでしょ」
「そもそも生きているうちに巨匠と呼ばれるなんて、枯れ木に花が咲くようにあり得ないことだよ」
「だから画家…芸術家達は、成り上がることではなく、世に生きる誰かに届くことを願う。でしたっけ?」
「僕の持論はね」
「まあいいじゃありませんか。天才や巨匠と呼ばれる為の転換点や基準なんてものはないんですし」
「届くのは女性か男性か、老人か子供か、市民か皇族か、はたまた表現者自身なのか…」
「そんな不安定なものに矜持を持って身を投じるとある絵描きのことを、私が巨匠と思うだけです」
「…所詮その絵描きは、誰かに何かを届けたい、有象無象のうちの一欠片でしかないよ」
「ええ」
「絵が届くなら、誰でもいいんだ」
「そうですね」
「どんなふうに受け取ってくれたって構わない」
「存じています」
「だからこそ、」
「ほう?」
「…最初に僕の絵から何かを受け取ったのが君で、本当に良かったと思う」
「ここだけは君がいい。誰にも譲ってほしくない」
「…今日は口説きに来てくれたんですか?」
「顔を見に来たの!大仕事が終わったから」
「というかよく言うよね、先に落ちたのはそっちのくせに」
「否定のしづらいことを言うのは卑怯ですよ」
…
「ふはっ、何も変わらないね。僕のパトロンさんは」
「おや、私の絵描きもお変わりないようで」
「そんな専属みたいな」
「こちらの台詞です」
「はぁーあ、それじゃあもう行くよ。帰り際に寄ってみただけだからさ」
「そこは冗談でもわざわざ来たと言ってくれてよいのでは」
「時間作ったんだから勘弁してよ〜」
「まぁそれもそうですね」
コッ、コッ…
「では、また近いうちに」
「わかった。仕事は片付けるようにするよ」
「À bientôtイギリス」
「えぇ。See you soonフランス」
カラン、カラン…
…
「(今日は良い日になりましたね)」
日常のほんのスポットライト