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無口、無表情、私のイメージはそんなものだろう。普段から表情を変えず何も語らずな女だ
吃音症を患っていて話すこと自体好きじゃないし、家族ですらあんまり喋りたくない
……そんな私を好きだなんて古森くんは変わってる。彼の1つ年上である私、部活でしか関わりがない関係だ。まぁ、、マネージャーだから結構関わりある…
「🌸先輩だー、どこ行くんですか?」
「……」
「荷物的に職員室!お、当たってます?俺、荷物運ぶの手伝いますよ」
ヒョイっと私の手にあったプリントを半分取り上げる古森くん
明らかに1人でもっていける量なんだけど甘えておこう。彼と過ごす時間は嫌いじゃないから
沢山話してくれる彼は喋るのが苦手な私にはありがたい。職員室に着くまでの間に今日あったことをいっぱい教えてくれた
職員室に入る前に、古森くんに会釈して職員室にはいる。職員室から出た時には古森くんが居なくて少しがっかりした
部活—
「……肩の調子が悪い、気がする」
「またー?ストレッチもっかいやろー」
佐久早くんと古森くんが体育館の端でストレッチしているのを見て仲良いなと微笑む
「…🌸って古森のこと好きなの?」
「……、、?!」
飯綱に聞かれて驚く
好きとか、ない、、多分
「告白の返事返してないんだろ?早く返してやれよ〜」
「……わかってる」
頭の中でそう言ったつもりが口に出ていたようで飯綱にニヤッと笑われた後、頭をわしゃわしゃされた
「早くしないと他のやつに取られるぞ」
「…」
告白の返事、難しい
古森くんに「好きです。付き合ってください」って言われたのは2ヶ月前、流石にそろそろ返事返さなきゃだよね
古森くんと居るのは楽しい。でも異性として好きかと言われたら分からない
そこから部活が終わるまでの3時間半ほど古森くんに話しかけようとしたが、1回も話しかけられなかった
「…、」
普段は古森くんから来てくれてたから、私からどうやって行ったらいいのか分からない
更衣室で制服に着替え学校を出るべく下駄箱に向かっていた途中、古森くんの背中を見つけた
チャンスだ。一緒に帰ろうって誘って、帰り道の途中で告白の返事しよう
自分の気持ちよく分からないし、ごめんなさい付き合えないってちゃんと伝えy
「……ぁ、」
角を曲がった古森くんの背中を追いかけたら、女の子に告白されてる現場を見てしまった。
とっさに壁に隠れて、最低だが聞き耳を立てていた
「……元也くんのことずっと好きで、付き合って欲しい、の」
「ごめんね。俺好きな人いるんだ」
「…そうだよね。こんな時間にごめん。ありがとう」
壁に隠れていた私の前を泣いている女の子が走って通り過ぎて行った
古森くんが女の子を振ったことに少し安心を覚えている私の胸がよく分からなかった
「🌸先輩は何してるんですかー?」
「……っ、?!」
「俺、最初から気づいてましたよ笑」
しゃがんでいる私の目の前に来て同じくしゃがむ古森くん。大きな瞳が私を惹き付けて離さない
「……告白の返事そろそろもらえませんか」
「…、……」
「やっぱ俺なんかじゃダメですよね笑」
笑っているような目だが全く笑っていない悲しそうな古森くんの表情にヒュっとする
「今までありがとうございました、……すみません、俺先帰ります」
私の前にあった瞳は今目の前になくて、代わりに歩き出す足だけが目に映る
「……ぁ、…ぇっ、」
喉に言葉が詰まる
今ここで古森くんを振ったらいけない気がした
ここ2ヶ月で私にとって大切な人になっていた
それは多分、好きということなんだろう
言葉を口から出そうとすると咳が出そうになる
その咳を頑張って飲み込んだ頃には古森くんの姿が、どこにも見えなくて、
急いで下駄箱にいって靴を履き替え古森くんを追いかける
この前こっちの方向から帰ってた
もう夜だ、街の街灯が酷くぼやけて見える
久しぶりに本気で走って足が痛い
私もう古森くんと話せないのかな
話すって言っても私今まで一言も喋ったことないや
足が止まりボロボロと涙が出る
私は、古森くんが居なくなって大切さに気づいて焦ってる。こんな私だ、絶対嫌われてる
「…🌸先輩?なんでここに、」
「っ、」
古森くんだ、私の目の前にいるの古森くん
隣にギョッとした顔の佐久早くんもいる
古森くんの顔を見たら涙がもっとでてきちゃって止まらない
「……お前が泣かせた?」
「え?!まさか!ぇ、🌸先輩、何、どうしたんですか、、俺が先帰ったあと何かありました?」
「……違、ちが、っ、告、白の返事、」
「俺先帰る」
「?!、わかった。気をつけて!」
古森くんが背中をさすってくれてるから落ち着いてきて涙も少しおさまってきた
「…古森く、ん」
「はい」
「ぁの、、…ぇっと、私のこと嫌いになった?」
「……なるわけないじゃないですか」
「私、古森くんのこと好き、だから、こんなので良ければお付き合い、…し、てほし、い」
「……抱きしめていいですか」
「う、ん」
ぎゅうっと抱きしめられて古森くんの匂いでいっぱいになる。あぁ、安心出来る匂いだ
「やばい、嬉しくて泣きそう。絶対に手放さないし幸せにします」
「もう、幸せ、だよ」
「俺🌸先輩のこと好きです。大好きです」
「…私、も」