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BLじゃないよ!!!!
みんな「そうかそうか」の所でエーミールを思い出すんだね。 私も思ったわ(( とりあえず兄目線最高
???「そうかそうか、つまり君はそんな奴なんだな。」
「うぅ…さみぃ」
雪を見ながら楽しそうに歩く、洒落たロングコートを着こなした弟の隣で、手を擦り合わせながら呟く。
年を越して間もない頃。
いつも酷く寒いのに、追い討ちをかけるように雪が降り始めた。
子供ははしゃぎ、公園で雪を転がして遊ぶ。
それと反対に大人達は、雪掻きに追われる日々だ。
事故が起きぬようにと、屋根から道まで雪を掻くのだ。
一方俺はというと、実の弟とショッピング。
いい歳になって何をしているんだろうか。
しかも雪掻き関連の物は一切買っていない。
本当に俺たちは大人なのだろうか。
「何も今日行かなくても良かっただろ…」
そう愚痴を吐くと共に、白い息をフワ…と吐いた。
愚痴と共に白い息を吐いたせいか、それに気づいた彼はこちらを少し見下しながら、
「でも、折角雪が降ってるんだから出かけなきゃ損だろ?」
と、多少笑みを浮かばせながら言った。
あぁ憎い、その余裕染みた笑みが憎い。
そのメガネの度無しレンズを割ってやろうかと思ったが、流石に自分が惨めに思えたので諦めた。
「下見んのやめろ、別に背低くないのに身長差感じる」
スーパーのキムチくらいの怒りに乗せて言ってみた。
また余裕染みた笑みをお見舞いされた。
そうかそうか、と心の中で頷いた。
どうやら知らぬ間に実の弟の腹へ拳を入れていたらしい。
よく覚えていない…けど、どうせこいつが悪い。
「何も腹に決めなくても…」
腹をさすりながら頼りなさそうに言う弟の姿は飯が進みますね。
最低な兄貴ですね。
「兄貴を絶対零度の冬の外に連れ出した罰だよ。これでおあいこな。」
自分なりの悪い笑顔をしながらそう返すと、弟は少し俺を睨んだ。
「・・・お?」
家まで後少し、辺りで” 何か “を見つけた。
それはめちゃくちゃ小さいので、思わず凝視する。
少しすると上の方から
「…俺の服がどうした?」
と、妙に低い弟の声が降ってきた。
「いや、正確にはコートじゃなくて・・・」
「これだよ。これ。」
と、弟のコートの袖を軽く引っ張ると、弟もジィーっと目を凝らした。
「・・・・・・雪の結晶・・・か?」
「そうそ。」
そう、豆より小さい雪の結晶。
こうやって肉眼で綺麗に見れるのも珍しいのに、形が凄く整っている。
そして、儚くて、小さくて…
「・・・すぐに消えちゃいそうだなぁ」
思っていた言葉が不意に口から出て、少し驚く。
小声だったので恐らく気づかれては────
「・・・・・・。」
・・・どうやら、気づかれていたようだ。
その印に、ほんの少しだけ顔が歪んでいる。
変なことを口に出したな、という罪悪感と一緒に、
自分の感情に素直で嬉しい
と、曖昧な顔をする弟に対して思ってしまう俺は、やはり薄情者なのだろうか。
「─────ほら、寒いからもう帰るぞ!」
そう弟に言葉をかけて、さっきよりも早く歩いた。
少しでも、俺に何か感じてくれたのかな。
なんて、弟の成長を喜ぶ思いは、
冬の天に掻き混ぜた。