テラーノベル
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※ご本人様とは一切関係ありません
※qnmnです、要素少なめ
※視点主は『』で話しています
「おーい、めん」
遠くから、おんりーの呼ぶ声がする。
周りを見渡しても誰もいない。
気のせいだったかと首を傾げれば、今度はさっきよりもハッキリと俺を呼ぶ声。
振り返ればそこにおんりーがいた。
『おんりー 』
名前を呼べば嬉しそうに笑う。
そっとその手に触れようと手を伸ばしたつもりだった。
するり
すり抜けた手は、何を掴むことなく空を切る。
『……は?』
そこにいる。でも触れない。
脳がバグを起こして思考が止まる。
俺が間抜け面を晒しているうちに、おんりーが少しずつ俺から遠ざかっていく。
『……っあ、待って、待てって』
追いかけたいのに足が動かない。
まるで地面に縫い付けられたかのようだ。
『おい!おんりー行くな!っいやだ』
……!……ん!
『俺を一人にしないでくれ……!』
おんりーside
「……!……!」
うるさいなぁ……今何時だと思ってんの……
眠い目を擦りながら横を見遣れば、眉間に皺を寄せ唸るめんがいた。
まぁた寝言かぁともう一眠りつこうとしたが、いつもと違う雰囲気に考えを改める。
あまりにも酷い寝言なら叩き起してやろうと手に力を込めた。
「…んりー、……やだ」
俺の名前?俺の夢でも見てるのか、ヤダって何?
「ひとりにしないで……」
弱々しく呟かれたそれに目を見開く。
彼の目尻を伝う涙にハッとして肩を揺する。
「めん!」
名前を呼べば、ぱちりと目を開いてこちらを見る。
その目はまるで迷子になった子供のように不安に揺れていた。
「俺はここにいるよ」
俺よりはるかに大きい身体を抱きしめる。
縮こまって震えているめんは、いつもより収まりがいい。
背中を撫でていれば少しずつ落ち着いてきたのか、すまん、と一言だけ声が届く。
いつもなら恥ずかしがって直ぐに離れるめんが引っ付いたまま離れないのは、相当堪えた証拠だろう。
『なに、俺がいなくなるのそんなに怖かった?』
揶揄うように言えば、少し間を置いたあと『うるせぇな』とくぐもった声が聞こえた。
それはもう肯定しているようなものだと思ったが、気づいていないめんも可愛いので良しとしよう。
悪態が付けるほど落ち着いてきたことに安心したら、どこかに消えていた眠気が再び顔を出す。
あふ、と欠伸をすると、続けて大きな欠伸が聞こえ、顔を見合せ笑う。
『…寝ようか』
どちらからともなく唇を寄せ、目を閉じる。
今度は面白い夢でも見なよ。
ハムスターの続きとかいいんじゃない?
聞こえてきた穏やかな寝息につられ、俺の意識も緩やかに落ちていく。
おやすみ、どうかいい夢を。
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