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おいおいおいおいぃぃぃ…!!!!!!!!!!ねぇッ!!!!!!瀕死って……え!?!?!?
ねぇ待って最後!!! カサンドラにも優しい面とか あったんかな…て思ってたのに サラッと最後!!
今回もめちゃくちゃ良かったよ!!!! 初めて青空を見たミュエン達は きっと凄く嬉しかったんだろうなぁ… ってかミュエンママ、小さい頃から ずっと辛い所を見て来たんだなぁ… 本当にもう幸せになって下さい… カサンドラが管理人達を狙って○した って事は過去に同じ様な扱いを 受けてたのかな…? 多分、魔女狩りの様に○されそうになった って言ってたし…あり得そう… 次回も楽しみに待ってるね!!!!
ミュエンママの過去編とか言う劇薬ぶん投げます、今回はおまけでちょーっとだけ私が話してる
私の一番古い記憶は三歳の頃。
汚い服を着て、格子の中に入れられて、時折聞こえる歌とも呼べない音の羅列を聞いていた。身に余る大きな枷と、服の切れ端で作った髪留めで髪を緩く結んだ子供が、私だった。ミュエン、という名はまだ持ち合わせていなくて、適当に呼ばれてた。だけど、そこにいた皆からは揃って「ネータ」って呼ばれてた。そう呼ばれ出したのは、私がそこの最年長になってからだった。お察しの通り、私は人身売買用の奴隷だった。
なんでそこの奴隷になったか、なんて覚えてるわけなかった。でもここの管理人の1人に酔った調子に言われた話だと、「元々奴隷だった女が、どいつとの子かも分からないのをこさえてきやがって。出産の時に女は死んだが、お前は生きてたからついでに売ることにした。」と言われた。 幼いながらに母親には「裏切られた」と感じてしまった。私は管理人たちがいる時、声を出すだけで怒られるのに、母親はあの世でいくらでも声を出してもいいんだ、と考えたから。私は喋れば折檻され、どんどん痣が増えていくのに、母親はそんなことも気にとめないで、のうのうと。それだけで充分傷ついた、そのぐらい私の心は歪んでいた。
そんな気持ちでいた10歳の頃。
アジトの老朽化が目立ってきて、新しく見つけた地下に移動することになった。私達奴隷は列を組んで歩いて移動した。初めて外に出れると知って、私も他の奴隷の子もドキドキしていたのを覚えている。
外ってどんなところなんだろう。
「アオゾラ」って、どんなのかな。
アオイソラ?ソラってなぁに?
植物は、雑草以外に何があるの?
管理人が居ない時に聞こえた、そんな会話がまだ記憶に残ってる。みんな外に期待してた。ただ、大人の奴隷の人達はみんな死んだ顔をしていた。当時の私にはそれが不思議で不思議で仕方なかった。外に出るまでは。
外は瓦礫だらけだった。それは厄災の魔女「カサンドラ」の仕業だったけど、私達子供の奴隷はそのことをまだ知らなかった。そこはアジトの中より殺伐としていて、外に期待してた子達は皆寂しそうな顔をしながら素直に歩いていた。空は青空とは程遠い、少し黄色を帯びた曇り空だった。私だったか、年下の子だったか、でも誰かが大人の奴隷に聞いた。
「あれはソラなの?」
「違う、あれは呪いの前兆。」
その言葉がどういう意味は結局聞けずじまいだったけど、当時の私はこの後起きた悲劇の前兆だったのだと、そう感じた。
小さな男の子が、そこら辺に落ちていた小石を拾っていた。それは私達は見たこともないほどキラキラしてて、宇宙を閉じ込めたみたいに輝いていた。その子は、もう掠れてほとんど聞こえないような声で、「これきれい」と言っていた。私はそれに酷く不安を感じた。
「おこられるよ」
「ばれないよ」
そういいながら彼はポケットに石をしまった。私にはその不安を説明できなくて、彼の言葉を信じて少し遅れていた列に走って戻った。彼は新しい住まいに着くまで、ずっと幸せそうな顔でポケットを触っていた。私は拭いきれない焦燥感に襲われながら、同時に彼のことを羨んでいた。私達には手に余るほどの美しいものだったから、それを羨んでいたんだと思う。でもそれは、悲劇への引き金となった。彼が拾ったのは小綺麗な石じゃない。ましてや宝石なんかじゃない。あれは魔物の角の破片だった。
目的地まではあと数百メートルぐらいだった。突然後ろから遠吠えが聞こえてきて、振り返るとたくさんの魔物の群れが襲いに来ていた。あとから知ったことだけど、あの群れは男の子の魔物の角の破片は仲間のものだったらしい。それを盗んだ彼を追いかけていたのだ。子供たちは突然の恐怖で動けず、管理人たちは奴隷を置いて先に逃げた。皆に走ってと叫んでも、足がすくんで動けない子がほとんどだった。そんな中大人の奴隷の人達が、私達の肉壁になってくれた。彼彼女らの背中は大きくて、不安に駆られていた子達も少し落ち着きを取り戻した。そんな子達に私はもう一度叫んで、急いで地下へ駆け込んだ。私を最後尾にして、皆が一斉に降りだした。一番後ろだった私だけが、大人の人達が魔物に食い殺される様を目に焼き付けた。こうして大人の奴隷は全員死に、私は奴隷達の最年長になった。男の子は、折檻の後出血多量で、死んだ。
14の頃、私はネータと呼ばれるようになった。それまでは髪を結ってたから、リボンちゃんって言われてた。ネータは少し訛った管理人がコインをそう呼んでたんだって、満面の笑みでそう言われた。率直な名前より、皆その不思議な響きに惹かれたんだと思う。皆その管理人の訛りから名前を付けてた。特に私は一人目だったからか、皆から意味もなく呼ばれてた。ちっちゃい子たちが私の周りに集まって、ネータ、ネータって呼んでくれた。管理人たちは大人の奴隷が居なくなったせいで、買取手からの苦情が多く、滅多に私達の様子を見にこなくなった。そのおかげで、前よりも話しやすくなった。ちっちゃい子たちも頻繁に笑顔を見せてくれるのが、私は嬉しかった。前では考えられなかった光景が、現実になったのが嬉しくて。だから同時に恐怖した。もしまた、前の惨劇が怒ったとしたら。その事実が酷く恐ろしくて、夜な夜な隣の友達に相談していた。
「もし、またあれが起きたらどうしよう。」
「起きやしないよ。」
「それじゃ遅いよ。」
「ならさ」
逃げちゃおうよ、こんなとこ。
急いで準備をした。どうやら大きな取引相手が来たらしく、ほとんど管理人がそちらに行ったらしい。空前絶後のチャンスだったんだ。牢屋は手先の器用な男の子が開けたらしい。唯一私達の監視をしていた管理人は、力持ちな女の子がオトした。管理人達のリュックをひったくり、中に僅かな食料などを詰めていく。ほとんど死に物狂いだった。10歳以上の子にのみ具体的な事を話して協力してもらった。小さい子供は、事情は話さず外に出す。それが一番最善策だと思った。一番幼い子が私の服の裾をを引っ張った。
「ネータ、何してるの?どこにいくの?」
「……ここじゃないところ。喜んで。きっと「アオゾラ」が見えるよ。」
あの時、私達がアオゾラも、きっと見えるはずだ。
年長者が、それぞれ年少の者を連れて走り出す。あの時と同じよう、私を最後尾にして。瓦礫に躓きそうになった子は担ぎあげ、半ば引き摺る様に逃げた。外は夜だったが、あの様に雲の帳は降りておらず、燦々と輝く月がそこにはあった。やがて雑木林が見えてきて、急いでそこに駆け込む。
「……ネータ!ここで、もう平気?」
「多分まだ。もう気付いてるだろうし、大人相手じゃ簡単には振り切れない。」
「はぁ……みんな!まだ歩くよ!」
「はーい!」
こんな状況でも子供達の声は元気だった。
そこに、一つの銃声が木霊した。
「この音って。」
「折檻の音だ、あいつらが来たんだ!」
銃声から急いで離れる。とはいえ先程言った通り、大人から簡単に逃げ切れる訳が無い。一人の子供が捕まってしまった。こめかみに銃口を向けられ助けられる状況じゃなかった。引き金には指がかかっている。
「ネータ!!!」
私に向かって、泣きながら手を伸ばすあの子を見捨てるなんて出来なかった。蜂の巣になって死ぬと分かっていても。年少の子を奥に逃げた友達に向けて放り投げ、踵を返した。後ろから必死に制止する声が聞こえる。馬鹿な事をしている。こんな事をして助かる確率は低い。この後逃げる為なら私が残っていないと。そんなこと頭で分かっていても、割り切れるわけないじゃない。
突然、空が光った。月のように優しく包み、癒すような光ではない。禍々しく、貫くような光。それに何故か管理人達は怯んだ。その隙をついて、無理やりあの子を引っ張って抱え走った。直観的に嫌な予感がした。子供たちに叫びながら走り続ける。そのすぐ後に、耳を破壊するような凄まじい音と、体を吹き飛ばす豪風が私達を襲った。木の方向に勢い良く突っ込んだが、幸い私も抱えた子も無傷だった。あの突然の衝撃が知りたくて、仲間と合流したあと、みんなで見に行くことにした。何があるか分からないから、今度は私が先頭で。
そこは凄惨な現場だった。
「ネータ?何があ__」
「来ちゃダメ。」
「え?」
「何があっても絶対、来ちゃダメ。」
そこには、管理人達の。いや、もう断定もできないほどぐちゃぐちゃになったただの肉塊がそこに存在していた。地面はえぐれ、焦げている。まるで天災だ。管理人達から折檻の際に聞かされた、あの人物のよう。
「カサンドラ……」
ボソリと私がそうつぶやくと、みんな怖がってそそくさと戻ってしまった。折檻の度に言われていれば当然だ。そこからずっとずっと歩き続けたが、林を抜けることは叶わず、そこで一度眠ることにした。これが夢だったら、朝起きてあるのが、あの冷たい空間だったら。そんな思いを抱えながら泥のように眠った。
「ネータ!ネータ!」
子供たちに引っ張るように起こされた。奥では友達が上に指を立てている。つられて上を見た。
真っ青な、空だった。
思ったより長いし重かった!!!!日常パート書きすぎましたね。いや日常パートがあるから絶望があるんだろ。だとしても長すぎるよ(情緒不安定)
子供達は孤児院行ったり掃除屋として一緒に働いてたり色々ですねー。ただし全員と連絡はとってる。ミュエンとして今は名乗ってるけど、ネータって言われたらちょっと幼めの笑顔で「なぁに?」って言うんだそうに決まってる。ネータは「お姉ちゃんって言ってるみたいでかわいい!」って思って採用しました。ねーたんって言ってるみたいじゃないですか???あと管理人を粉々にしたのは間違いなくカサンドラ本人です。本人魔力のせいで知らん間に厄災起きたりするけど、これに関してはカサンドラが狙って殺してます。なんでだろうね?(過去編で答え合わせ)
ちなみに生き残った管理人から子供たちの居場所を教えろと言われて、揉み合いになった末土手っ腹刺されて瀕死になるミュエンさんとかはこれまた別のお話。()