テラーノベル
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慣れてなくて口調迷子かもしれないです問題とか作ったことないので
温かい目で見てください
弟、言が倒れたのは、あの日の午後だった。
突然のことだった。
帰宅途中の電車で意識を失い、すぐに救急搬送されたと連絡が入った。
診断は「進行性の難病」だった。
余命は、医師に「半年から一年」と告げられた。
言は、その場では笑っていた。
「心配しないで。まだやりたいことがあるから生きるよ。」
そう言った言の声は、強くて、けれどどこか儚げだった。
病室で過ごした日々は、ゆっくりと、そして確実に時間を刻んでいった。
言は普段通りの明るさを保っていたけれど、体は日に日に弱っていった。
その間、言は僕に何かを遺そうとしていた。
何を書いているのか聞いても、
「まだダメ。また今度!」
と言われて、僕はそれ以上深く訊くことができなかった。
ある日。家で洗濯物を取り込んでいると電話が鳴った。
見慣れた番号。それは
「病院」だった。
一瞬、時間が止まった。
そしてすぐに、胸の奥がざわついた。
手が、震えてる。
それでも受けなきゃいけないことは、わかってた。
耳に受話器を当てると、
無機質な病院の事務的な声が聞こえた。
「……ご家族の東 言さんが……本日、午後2時37分……息を引き取りました」
その言葉の意味が、最初はうまく入ってこなかった。
だけど、受話器の向こうが静かになるのと同時に、
心の中に、ゆっくりと冷たい波が押し寄せてきた。
「……はい……」
それだけ答えるのが精一杯だった。
喉が詰まって、呼吸ができない。
言葉を返そうとしても、声が出なかった。
受話器を耳から離すと、
まるで世界から音が消えたみたいだった。
体の芯がスーッと冷えていって、
抱えていたバスタオルがふわっと落ちた。
弟が死んだっ、、、何度頭の中で繰り返しても、
どうしても現実として理解できなかった。
そこからは一瞬だった。
葬儀が終わって、花の香りも消えて、
弔問の人たちが帰って、部屋に一人きりになったとき、
やっと、音が消えた。
静かだった。
本当に、怖いくらい。
呼吸の音だけが耳に残って、
僕はキッチンに立って、意味もなく冷蔵庫を開けた。
言が最後に飲んでた飲みかけの缶コーヒーがまだ残っていて、
手に取った瞬間、体の奥から何かが崩れ落ちた。
床にへたり込んで、声も出さずに泣いた。
ただ、目から止まらないものが落ちて、
嗚咽の一歩手前で止まって、息が詰まった。
「なんでだよ……なんで……」
言ってもどうにもならないことを、
何度も何度も、こぼした。
言の机の上には、まだ書きかけのクイズノートが開いていた。
「この問題、あとで問に出す!」
そう小さく書いてあった。
もうその“あと”は来ない。
もう二度と、「兄ちゃん」って呼ばれることはない。
そんな現実が、最終的に僕を完全に砕いた。
後を追う。
そんな考えが頭を支配した。
そうすれば言のいる所へ行ける。また一緒に笑い合える。そんなことを考えていた時 、言の部屋の机の上に、小さな封筒が置いてあることに気づいた。
「問。絶対みて!」
そう書かれたメモと共に。
封筒の中には、言が遺したクイズ問題が三枚あった。
紙にはこう書かれていた。
【第一問】
「問が、僕に最初に作ってくれたお菓子はなに?」
問いに答えるだけで、涙がにじむ。
記憶が勝手に再生される。
中学生の頃、僕がバレンタイン前に一度だけ言のために作ったチョコクッキー。
焦げたけど、言は「最高傑作」と言ってくれた。
答えは「チョコクッキー」
紙の裏には、言の手書きの文字があった。
「あの時のクッキー。作ってくれて嬉しかった。ありがとう」
二問目を開く手が止まった。
全部読んだら、もう会えない気がした。
この三問が終わったら、言との最後の対話が終わってしまう。
でも、読む。
言がそれを望んだから
【第二問】
「僕が“もう無理かもしれない”って思って、問に言えなかった日。
問、気づいてた?」
……答えられない。
たぶん、あの日。
言がずっと笑っていた日。
笑顔だった。笑顔だったのに、どこか目が虚でその日は目が一回も合わなかった。
答えは:「はい。」
裏にあった一文。
「気づいてくれてたこと、ちゃんと分かってたよ。ありがとう」
封筒の底に、一枚だけ小さく折られた紙があった。
【第三問】
「最後の問題。これからの問のために必要な“言葉”はなに?」
答えは……すぐには浮かばなかった。
というか、浮かぶわけがなかった。
“これからの僕に必要な言葉”なんて、そんなの簡単に書けるわけがない。
俺は今も、何をどうしても、言がいない現実を完全には受け止めきれていないのに。
それでも、答えを書かないまま終わらせるのは、ダメだと思った。
手は震えていた。
だけど、空白のその余白に、俺はこう書いた。
「まだ見つけてない」
それが、今の正直な答えだった。
紙の裏には、言からの最後の言葉が書かれていた。
「無理に答えようとしなくていいよ。
見つけられない日も、見失う日も、あって当たり前。 でも、兄ちゃんが“言葉”を探し続けてくれるなら、
僕はそれで十分、嬉しいんだ」
俺は、紙をそっと伏せた。
そして、小さく笑った。
探し続ける…か
答えはまだ出てない。
でも、探すよ、言。
お前がくれた問いに、
僕はこれからの人生で、ずっと答えを探し続けていくから。
今朝も僕はキッチンで、言が好きだったケーキを焼いた。
窓から差し込む光の中で、僕は微笑んだ。
「これでよかったんだよね、言。」
言がいた場所に、今日も光が射している。
最後の問題の紙にはまだ見つけてないという言葉は消され、生きると書いてあった。
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