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他とは違う、君への想い。

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他とは違う、君への想い。

1 - 可笑しな2人

♥

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2024年03月20日

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strg/青と壺の話です。

この小説は以下の内容を含みます、

【受けに対しての暴力表現(加害欲)】

・殴る等過激なものでは無く、無理やり押さえつけたり、多少いたぶるような感じです。

※エロなしキス有りです。つぼ浦を虐めるだけの話です

ご本人様とは一切関わりはありません。

スクショ等転載などしないで下さい。

同性愛の含まれる内容です。

感想貰えると嬉しいです、

━━━━━━━━━━━━━━━




いつからだろうか、

あの男の全てを手に入れたいと、そう思い始めたのは。


ーー最初は目で追うだけだった、

あの男、つぼ浦匠を見つけたら自然と目で追っていた。

それに気づいたのは、同僚に突然「いくらつぼ浦が心配だからって見すぎだろ。」と笑われた時だった。その時初めて自分が無意識のうちにアイツを目で追っている事に気づいた

確かにまた面倒事を起こさないかと心配だからと云うのも本当だが、特殊刑事課の面倒事、尻拭いは全て俺がやらなければいけないのが面倒くさいというのが正直なところだった。

だがそれ以上に、そんな事を考えることも無く自分がつぼ浦匠という存在をただ理由も無く見つめているという事実があったのだ。

意識をし始めてから自然とつぼ浦を避けるようになっていた、特に理由もないがそうした方がいいと思ったからだ、 元々頻繁に会うような仲ではなかったし、特別仲がいい訳でもなかったのでお互い気まづくなることもなかったが、本署や現場で偶々出会った時は腹の底からふつふつ何かが湧き上がる感じがした。

それが怒りから来るものでは無いことは理解していたが、逆に何なのか分からずイラつきもあった。つぼ浦は変わらず、どこかダルそうな態度をしながら犯人と話していたり、上司のキャップに舐めた態度をとっていた。


あーつまんない。

ある日突然ストンと心に落ちてきた言葉に驚く、何がつまらないんだ?別に毎日出勤して犯人捕まえて、上手い飯食べて退勤時間になったら家に帰る。充実した毎日を送っているはずなのに、何故か物足りない自分がいた。

「青セン何してんスか」

ブツブツと考え事をしていた自分の目の前に音もなく近づいてきた男を睨みつけてしまう。相手は睨まれた事に気づかずに俺の顔を覗き込んで来た

「くそ、顔がよく見えないな」

「当たり前だろ、何を今更言ってんだ、 」

俺は鬼の顔を擁したヘルメットを被ってるので見えるはずもなかった。研修中でも外すことなどほぼ無く、俺の素顔を知ってる人は殆ど居ない、ため息をつきながら 目の前に来た男を見て苦虫を噛み潰したような気分になる。警察官とは思えない明るいアロハシャツに目元がよく見えない色つきサングラスを付け、オマケにサンダルを履いているその男こそが俺が今1番会いたくない男、つぼ浦匠が俺の前に居た。 だけどつぼ浦はいつもの元気がなく、オマケに血だらけだった、

「 お前、、なんだよその格好。」

「あ?なんスか、別にいつもと同じ格好すけど」

「そんな大怪我して何がいつもと同じ格好だよ、何したの」

怪我ぁ?と言ったつぼ浦は自分の体を見始める、つぼ浦の体は腕や足に擦り傷や血の固まった後があってとても痛々しかった。だがそれ以上に気になったのは巻いてある包帯が真っ赤になっていた事だ。

応急処置として包帯は巻いてるようだが、 傷を負ってからそう時間が経っていないようで、白い包帯からは鮮やかな赤色の血が滲んでいた。あまり気にしていなかったが、スンと鼻を凝らすとほのかに鉄の匂いもしてきた。

視線を下げていくと脚が 震えていることに気づく。立っているのも辛そうだった、

「それつらいでしょ?その感じだと病院も行ってないよね?送ってやるからちゃんとそれ治してもらいな。」

俺が運んでやるからと言いながら近づくと、つぼ浦は無言で俺から逃げるように後ずさった、その様子に眉間に皺を寄せる。 いつもなら怪我すると痛い痛いとデカい声で苦しそうにする男が病院に行きたがらない事に不審に思いジッと見つめる。

「ん、、?」

こいつ、今なんか、、、、

俺から脇腹を隠すように抑えた腕を勢いよく掴み離すように腕を引き剥がす。

「っ、、!」

痛そうに顔を歪ませるつぼ浦を横目で流し見ながらシャツをめくると、露になったつぼ浦の腹をみて思わず目を見開いて固まってしまった、

「お前、、これ、」

つぼ浦の腹には皮膚がただれた様な跡があり、それが火傷の跡だと気づく。よく見ると火傷してる部分はなにかのマークになっていた

「誰にやられた?」

「、、、」

「おい、誰にやられたかって聞いてんだよ。」

「、、青センには関係ないことですよ。」

つぼ浦は俺の腕を振り払い、よたよたと震える足で階段の方へ向かっていく

その後ろ姿を追いかけつぼ浦の肩を強く掴みそのまま勢いに任せて壁に押さえつけた

「ぁう”、、?!い”、、うぅ、、、」

壁に体を叩きつけられ、痛かったのか苦しそうに歪む顔を片手で掴み向かい合うようにして持ち上げる、

恐怖に怯えるつぼ浦の目が合う。

「そんな体でどこ行く気?」

「青、セン、、、」

「痛いの?なんともないって言ったよね?」

顔を抑えていた手を放しつぼ浦の横腹にグッと力を加えて押し込むとつぼ浦は面白いぐらいに鳴きだしてしまった。

「あ”ッ!ん”くぅ”、、!ぃや”ッ、ぁ”!!」

「痛いの?痛いんだ?なんで嘘つくわけ?」

開いた口から血と一緒に涎が垂れ、俺から逃れようと必死に押さえつけられている腕を引き剥がそうとするつぼ浦を無視して、さっきよりも強い力で腹を押す。

離せと泣き声に近い声を出す姿が面白かった

ほとんど怒りにも近い感情をつぼ浦に押し付けていくと、遂につぼ浦は大粒の涙をボタボタと零しながら嗚咽混じりの悲鳴をあげていた、

なんで泣くんだよ、

お前のために言ってんのに、

なんで黙っているんだ、

何故言わない?隠すメリットがどこにある?


「お前は俺の、」

俺の”もの”なのに、

そこでハッとする、俺は今なんて言おうとした?目の前でぐちゃぐちゃになったつぼ浦を見る

苦しそうに息を吐いてこちらを見つめるつぼ浦と目が合う。

あぁ、本当に最悪だ。

頭が殴られたように痛くなる、

周りの音が何も聞こえなくなる。自分の心臓の音が耳障りで、ドクドクと激しく動く心臓を手で握りつぶしたくなった。

最悪だ、最低だ、俺は。

強く掴んでいたつぼ浦の腕を放すとびっしょりと汗で蒸れた手袋が気持ち悪かった、

俺から解放されたつぼ浦はその場でぐったりとしてしまい、何か言おうと口を開いた瞬間、俺は 逃げるように階段を駆け上がり鉄と鉄が擦れたような不快な音をたてる錆びた重たい鉄の扉を思いっきり閉めてそのまま倒れるように座り込む。


熱い


ヘルメットを脱ぎ捨てると冷たい外の空気が熱くなった顔を刺激する

下から叫び声が聞こえ「匠その怪我どうしたんだよ!?」と聞きなれた声が響き渡った。 下から慌ただしい音とが聞こえ一緒に病院に行くぞ!と ひっきりなしに叫ぶ声とつぼ浦の声を聞き、荒くなった息を落ち着かせていく。

落ち着きを取り戻しつつ 外の空気を吸う。冷たい空気が鼻を通って喉に伝わってくるのを感じ、ヘリの方へと進み扉を開こうと顔を上げると窓ガラスにうっすらと自分の顔が写っていた。

「クソっ、」

最悪だ

吐き捨てるように呟き、自分の顔を隠すように外したばかりのヘルメットを勢いよく被りながらヘリに乗り込む、

警察署の仲間が大怪我をしたというのに、俺は最低なことをしたのに、

濁った窓ガラスに写った俺は気色悪い笑を浮かべていた。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「つぼつぼの怪我、最近噂になってる半グレの仕業らしいぞ。」

つぼ浦の怪我から数週間が経ちいつも通り銀行強盗をした犯人を検挙し終え、牢屋から出て直ぐに先輩のキャップから突然告げられる。

あの後すぐに俺は誰にも会わないようにヘリでパトロールをしていた。

あんなことをしたのだから、何か言われるだろうと思っていたのに、

つぼ浦にした事は誰にも言われなかった、

あいつ何も言わなかったのか?

舌打ちをしそうになるのをぐっと堪え、

はぁ、、と返事にならない声をだすとキャップはずいっと顔を寄せ眉間に皺を寄せながら「気にならないのか?」と口を開きジッとこちらを見つめてきた、

「気になるに決まってるじゃないですか、ただ突然過ぎてびっくりしたんですよ、」

「あー、それは悪かった。でもこれは早く君に伝えておこうと思っていてね、ほら、らだおくん、君は特殊刑事課の対応課だからね。 」

貴方が勝手にそうしたんでしょうと出てきた言葉を飲み込み、ははっと笑い声をかわりにだしキャップの次の言葉を待つ。

「あまり他言しないで欲しいと言っていたがね、犯罪者の情報は共有しておかないといけないから上官と君には事情を説明しようと思ってな。」

「あぁ、なるほど。他言しないでというのは、、どういう事ですか?」

「アイツのことだ、屈辱だったんだろう。まさか自分が半グレに焼き入れされるとは思ってなかっただろうからな。」

「焼き入れ、、」

焼き入れは相手を懲らしめたり、罰する時にする行為。

それを半グレという、正義という言葉からかけ離れた存在に警察官という立場もありながらされるという事はどんなに屈辱的だったろう、

つぼ浦匠という男は平気で人にバットを振りかざす男だが根が腐ってる訳では無い。

アイツにも正義という心はあるし、善悪の区別がつけるられる男だ、

「まぁ、アイツもやり過ぎる所があるからな、今回も犯人を刺激してしまったらしく、自業自得と言ったらそうなんだが、、まぁそうも言ってられない事が起きてしまったからな。」

ふぅとキャップは息を吐き牢屋の中で暴れる犯人を見つめ始めた、その目はゆらゆらと小さく揺れながらも真っ直ぐとその先にいる人間を捉えていた。


キャップから聞いた話によると、

つぼ浦は銀行強盗をしようとしていた犯人3人を1人でいつもの調子で対応していたらしい。

が、それが相手の気に触ったのか、突然殴られ怯んだ隙に手錠を掛けられそのまま山奥の空き家に連れてかれ、その後は拷問に近い行為を数分された後に「俺達が出会った記念に」と言われ腹に焼きを入れられそのまま放置されたという話だった。

別に珍しい事では無いが、ここまでする犯罪者は殆ど居らず直ぐにその半グレ達は指名手配になったがあっという間に捕まっていた。

そして被害者であるつぼ浦匠はあの日病院に連れてかれこっぴどく救急隊の人達に説教をくらっていたらしい、

「何故直ぐに病院に来なかったんだ」

「理由はなんとあれ、こんな大怪我を自分でどうにかしようとするのは良くないことだ」

とにかく想像以上に怒られたらしく、普段嫌がる点滴や注射も素直に受け入れていたようだった。

その後は救急隊の許可がおりるまでは安静にしてろと入院を余儀なくされていたが、

「それだけは嫌だ」と駄々をこね入院は免れたが様子見ということで、

監視の元自宅待機となり、今も大人しく自宅で療養しているようだった。

「あの火傷跡、、もう消えてっかな、、、、」

噂だと署長がつぼ浦の為にレーザー治療と光治療を勧めたらしい、

腹に半グレのシンボルマークが付いてる警察官が居るだなんてあってはならない事だ。きっともう消してしまっただろうと思っても、あの時みた太陽にやけた健康的な肌には似つかわしくない、 ただれた皮膚に異様な程に真っ赤に腫れ鉄と焦げたような独特な匂いや痛さに苦しむつぼ浦の顔が頭から離れずにいた。

「あー、、、、ほんとどうしようもない奴だな、、俺は。」

片手で乱暴に自分の頭を搔いてその場にしゃがみこむ。

興奮したんだ。

俺はあの時

つぼ浦に対してどろりとした汚い感情が湧き上がって来たことを気づかないフリをしていた、心配したことは嘘では無い。大切な警察仲間が大怪我をした挙句に焼き入れをされたのだ、怒りなんて簡単に湧き上がる。

だけど、アイツが可哀想になればなるほど喜んでしまう自分が居ることを認めざるを得なかった、いつもは変に自信に満ちた大きな声を出して、希望に満ちた顔をして笑ってる姿に俺は心の奥底で妬んでいたのかもしれない。

きっとこの時からだろう、俺がアイツに対して「恋愛」という感情とは別のドロドロで真っ黒な「支配欲」 という感情を持ち始めたのは、俺は可笑しくなってしまったのだろうか、

、、

、、、、

もうどうだっていい、ただアイツの全てを俺のモノにしたい。

心も、身体もぐちゃぐちゃにして、汚したい。


ズボンの脇ポケットから乱暴にスマホを取り出す、

アドレス帳を開きつぼ浦匠のメールを探す。 この街ではメールより電話や無線で仕事の報告や連絡、会話などを基本的にしているので、メールを使う人はほとんど居なかった。

下の方へ進めていくとつぼ浦の名前が目に入り直ぐにそのアドレスに文字を打ち込んでいく。


あー、もうどうでもいいや、気を遣うとか馬鹿らしい。


もう一度痛みで歪むつぼ浦の顔が見たい、

どこにぶつければいいか分からない欲望を俺はただ強く拳を握ることしか出来なかった。


━━━━━━━━━━━━━━━

真っ暗な空間に寂しく電子音が小さく鳴る。

段々大きくなる音に不快感を覚え目を覚ます。

一体どれくらい寝ていただろう、

身体にはまだ疲れが取れていないのか、鉛のように重く感じる身体を無理矢理起こし、周りを見渡す。

見慣れた天井に壁、ここは自分の家だ。

一応アパートの一室を借りているが殆ど警察署で過ごしている為、なかなか帰ってくることが無かった。物も殆ど無ければ埃の被った家具が置いてあるぐらいの質素な家で、

ベットから少し離れた 机の上にはジリジリと音を鳴らし続けるスマホが1つ置いてあった。

「クソ、、うるせぇ、、、」

目覚ましなんてかけたか?と思いつつ、重い体を無理やり動かしスマホを手に取る。目覚ましを止めようとスマホの画面を開いて目を丸くして固まった、ロック画面には「青井 らだお」と書かれた名前のメールが1件届いていた。

あの日のことを思い出す、

犯人に不覚にもボコされた俺がやっとの思いで本署に帰りいつもの場所に向かおうと廊下を歩いていくと、 ど真ん中でピクリとも動かない青センがいた。

何をしているんだと不思議に思い声をかけたが、青センは俺を見るや病院に行こうと言うので咄嗟に後ずさってしまった。

痛みよりも、怪我の原因がバレるのが嫌だったからだ、

そのあとは、、

考えるのを辞めよう、もう過ぎたことだ。

そう思いながらも1件のらだおと書かれたメールを開く、

メールの長さは1文程で「体調良くなったら俺の家に来て。」と一言書いてあるだけで、その下には青センの住所なのか数字が添えられてるだけだった。

青白く光る画面を見つめる、

はぁーと溜息をつきながら頭をがしがしと乱暴に掻きむしる、もう今は何も考えたくない。

自分はメンタルは強い方だと思っていたが、あの時の事はさすがの自分でも堪えたらしく、あれから数日経っても疲労が取れずにいた。そしてなりより情けないことが外に出ることが出来ないことだ。

怖い

外から聞こえる些細な音でさえ体が無意識に反応してしまう。特殊刑事課のエースとも言える俺が情けない、メールの返信をする気にもなれず、スマホを持ったままベットの上に体を預けるように勢いをつけて座るとベットはギシッと小さく悲鳴をあげる。

そのままずりずりと自分の膝を抱へ頬を埋める。

こんな気持ちが初めてでどうしたらいいか分からなかった、一人でいることは慣れっこのはずなのに。ここ数日は気絶するように寝ているだけだったからこんな風に考える事も無かったから無意味なことばかり考えてしまう。

「あーー、、ちくしょう、、、最悪だ、、」

自分はこんなにも弱かったのかと思い知らされてる気がして段々イライラしてきた、

人肌恋しいと思ったのはいつぶりだろう。

そう思いスマホへ視線を動かす、引き寄せられるようにスマホを取りポケットへ突っ込む。医者に着せられたダサいシャツを脱ぎ捨て、壁にかけてあるアロハシャツをひったくり羽織る。

「つぼ浦匠はこんな事じゃ落ちぶれないぜ」

自分に言い聞かせるように言い

扉に手をかけ思いっきり開けると、暗い部屋に入ってくる突然の光に目の前がクラクラする。

暖かい風を全身で受け自然と顔が緩むのを感じ怪我人とは思えない勢いでつぼ浦匠は走り出した。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

雲ひとつない快晴に若干のイラつきを覚えながら、青井らだおはパトカーを走らせていた。

暑さに耐えれず、ヘルメットを助っ席に置き、犯罪が起きない平和なロスサントスの街中を意味もなくぐるぐるとパトカーを走らせ怪しい人物を見つけては声かけるという作業を繰り返していた。

「あっつ、、」

申し訳程度の冷房に腹を立てながらとめどなく溢れる汗を拭う、このロスサントスでは考えられない平和な時間がただ流れていくだけだった。

「やっぱヘリにすれば良かったなあ。」

誰に聞かせる訳もなく、火薬と汗の匂いでいっぱいになっているパトカーの中でブツブツと呟く、今日は本当に暑い。

もう帰るか、最近寝てなかったし。

そう思い、無線を繋ぎ退勤することを仲間に伝えた。

車を1度脇に止める。マップを開こうとズボンのポケットからスマホを取り出そうと伸ばした腕が止まる。

誰かがこちらに向かって走って来ていた、

目を細めてじっと走ってくる人物を判別しようと目を凝らす。100メートルぐらい離れていたがすぐに誰だかわかった。

「つぼ浦、、」

アロハシャツを風になびかせながら走ってくる男は、数日間の自宅療養を余儀なくされていたつぼ浦匠だった。

ていうかなんで走ってんだよ、まだ外出ちゃダメだろ、

何か急用でもあるのかと思い車から降りると、いつの間にかつぼ浦は俺の目の前まで来ていた。

「あ?お前 誰だ?テメェなんで青センのパトカー乗ってんだよ。」

ついこの前まで大怪我をした人間とは思えない声に若干押されつつ、つぼ浦の頭を軽くこずく。痛っと小さく鳴くつぼ浦を無視して、助っ席からいつもの鬼のヘルメットを取る。

コイツ本当に人の顔を覚えられないな、

「俺だよ、青井らだおだよ。」

「あ?青センこんなとこで何してんスか、」

「今日暇だからパトロールしてたんだよ、ていうかつぼ浦こそ、こんな炎天下の中しかも怪我人が街中走ってんのよ。」

「何って、青センが呼んだから来たんですよ」

「は、?」

思わず声が出る、確かに呼んだがそれは昨日の夜送ったメールだし、まさか返信も無しに来るとは思っていなかった、

走ってくるとかマジか。

「え、じゃあ俺の家来る?」

「別にいいですけど」

「いいんだ、」

同じ警察署の仲間として信用してくているのか、危機感の無さに眉を顰める。

あんなことがあったのに簡単に人の家に来れちゃうんだよね、お前

「もう退勤して帰るとこだからさ、乗りなよ。」

はぁと重たいため息をつく俺を不思議そうに見ながら助っ席の方へと座るつぼ浦を確認し、自分の住むアパートへと車を走らせる

「身体はもう大丈夫なの?」

少し車を走らせてから助っ席に大人しく座っているつぼ浦に問いかける。

赤に変わる信号を見てスピード落としこちらを見つめるつぼ浦の目を見る

サングラスから除く柔らかく乾色の眼が太陽の光に反射して青く淡く輝いていた、

「もうとっくに治しましたよ」

「署長に勧められたやつはやったの?」

ピクッとつぼ浦の体が小さく反応する、

聞かれたくなかったのか、分かりやすく反応するつぼ浦に思わず笑ってしまう。

途端につぼ浦の眉間にさらにシワがよってしまう、何笑ってるんですかと不貞腐れた声が聞こえたが信号が青になったのでわざと聞こえない振りをして車を走らせる、



「お前さ、なんで来たの」

声色を変えずに聞かれる。なんで来たか、そんなの質問者本人に呼ばれたから以外に答えなど無かった、

「呼ばれたから来ただけですけど」

「ふーん、」

さっきからこの男はなんなんだ、それよりなんであの事知ってんだ、

署長に焼入れの話をした後にレーザー治療を勧められた。

勿論自分としてもこの火傷跡は消したかったので断る理由なんて無く了承したのだが、怪我が治るまではやらない方が良いと言われ、定期的に診察をしながら様子見となっていた。

数週間の診断の元、やっと医者からの許可がおり、先日治療を終えたばかりだった。

火傷跡も怪我も含めてあまり人に知られたくない話だったが署長がこの男に話したのだろうか?

怒りが湧いてきたが自分の不注意のせいでこうなったのだから文句は言えないと思いつつ次会った時なんて言ってやろうか考えていると、突然車が止まった。

「どうしたんですか?」

「お前さぁ、、もっと危機感持とうよ。」

突然言われ思わず首を傾げてしまう、

事件のことを言っているのか?もしかして説教か?

四方八方から説教を毎日のようにくらっていたのに、また始まるかと思い、思わず青センの事を睨んでしまう。

ヘルメットをしていない青センの白くて綺麗な顔はすぐに眉間に皺を寄せていた、

「何その顔、」

「いや、お説教ならもう聞き飽きたっスよ。」


シンっ、、と急に音が消え車の中が静かになる

その瞬間ひたりと背中に嫌な汗が流れ、 青センの顔を恐る恐る見ると、眉間の皺は消え冷たい海のような青い目で笑ったコトが一度もなかったような顔で俺の顔をジッ見つめていた。

「説教ねぇ〜、、」

なるほどね、と言う青センに無意識に腰が浮く、

腕がキリキリと染みるように痛くなる、

守るように自分の体を両腕で強く抱きしめていた、

「怖いの?」

ギシッと椅子のスプリングがなる、

迫り来る影に何も出来ずに扉に追い込まれそのまま覆い被さる形で青センに肩を強く抑えられてしまった、

「お前さぁ、、前も俺にこうやって押さえつけられて怖かったんじゃないの?」

ズクズクと心臓が痛む

答えられずに、青センの視線から逃れるように顔を背ける

冷たく、それでいてイラついた様に言い放つ言葉を何も言わずに震えることしか出来なかった

「ねぇ」

呼ばれて吸い込まれるように青センの瞳をジッと見つめる

青センもまた同じように、ただジッと俺の目を見つめ返してきた

10秒程しか経っていないのに、酷く長く感じる静寂に次に何をされるか息をするのも忘れて身動きも取れずに静かに待っていると突然


「なんで来たの、」

表情も声のトーンを変えずにそう俺に問う青センの顔は何故か 泣きそうだった。

「あんな事されて、しかも俺に今と同じように押さえつけられたのに、なんでなの?」

「お前は賢いから、分かってたでしょ?俺の気持ちに。」

分かってたでしょ?その言葉が頭に響く。

気づいていた、

分かっていた、、

いつからだろう、青センの事が"分かった"のは。

俺はいつの間にか青センのコトが気になっていた、青センを見ると胸がきゅっと苦しくなり、首の後ろにじんわりと熱を感じていたけど、それがなんなのか分からずにいた。

恋だよそれは、

そう突然同僚に言われたことがあった、お前は最近恋をしている目をしているぞ。と、

俺は青センが好きなのか、そう思った途端に全身熱を帯びたような脳がチリチリと焼けるような感覚になった、でも青センからはいつもどろりとした、冷たいものを感じていた。

「お前は俺の、」

あの時言われた言葉も「愛情」とは別のものだって分かっていた。

それでも、

それでも青センが好きだ

メールが来た時、すぐに会いたいと思った、それに会わないと何故か青センが俺の前から消えちゃいそうで怖くて仕方なかった。

だから、

「青センのことが好きだから。」

今にも泣きそうな崩れてしまいそうな青センの白くて綺麗な顔に触れる、

びっくりしたように目を見開いて固まる青センに「好きです」と青センの目を見ながらさっきと変わらない口調で言う、

「は、はは、、ほんとお前さぁ、、」

「お前ほんとずるい。」

ははっと消え入りそうな声で笑う青センを何も言わずにジッと見つめる、

青センの腕が俺から離れ、青センは両手で自分の顔を隠していた。

ふぅーと小さく息を吐く青センは泣いている子供のように感じてしまう、こんな姿見たことないなと何故か得をしたような気分になる

長い沈黙に、ただお互いの息遣いがつたわるだけだった。

「ねぇ、」

青センが両手を顔から離したかと思うと俺をグッと引き寄せ強く抱きしめる。

普段はヘルメットをして触れられない髪が俺の頬を擽る、

それがなんだか嬉しくて、青センの背中に自分の腕を回して少しだけ強く抱きしめると、

ぽつぽつと青センはこぼすように話始める

「俺さ、お前のこと好きなのか分からない。」

「お前の事酷くしたい、お前の体も心も全部ぐちゃぐちゃにしたくて」

「壊したい」

はぁー、、と苦しそうに息を吐く青センを静かに次の言葉をまつ、何故か俺の心は驚くほど穏やかだった。

「でも、俺はお前の事大事にしたい。」

手放したくないんだ、そう言って俺の肩に青センは顔を埋める。

「じゃあ、手放さきゃいいだろ。」

抱きしめたままそう言うと青センは俺から体を勢いよく離れなにかに弾かれたような驚いた顔で俺の顔を見てきた。

「え、いいの?」

「嫌じゃないの?」

「おう、俺はそんなに脆くないぜ。」

「いや、そういう問題じゃない」

俺の言葉に呆れたようなでも安心したような複雑な顔をする青センに思わず吹き出してしまう

「なによ。」

笑う俺にムッとした顔で俺の腰を引き寄せてくる

「ねぇ、こっちは真剣なんだけど、」

「あ?俺も真剣だぜ?」

そうだよね、いつも真面目だよね

子供をあやす様に言う青センに首を傾げてしまう。青センはまたため息をついたが愛おしそうに俺の顔をみる、

目をそらさず青センの顔を見つめていると、 ちゅっとリップ音が落とされる。

何が起きたのか一瞬分からなかった、

キスされたのか、遅れて今されたことに気づき顔が熱くなるのを感じる

青センの豆のできた細く骨っぽい手が俺の首元に滑り込んでくる、

思わず体が小さく反応してしまい恥ずかしさで頭が真っ白になる

「青セ、、」

言葉を言う前に青センにキスをされ開こうとした口を塞がれてしまう

くちゅっといやらしい水音が静かな車内に響く、

「ふっ、、ぅっ、んん」

息苦しくなりキスなんてしたことないから、どうしたらいいか分からずただされるがままに、青センに口の中を好き勝手いじられる、

長い間塞がれていた口が解放される、俺の口から垂れる銀の糸を、

青センは指ですくったかと思うとそのまま舐めてしまった。

「信じらんないって顔してる」

くつくつと笑う青センの腹にお気持ち程度の力で殴りを入れると、うっと小さく声が漏れていた。

コイツ意外とヤバいやつなんだな、

でも確かにサーマル見てるだけでヘリを操作できる変態だもんな、

勝手に解決して納得する

目の前でいたずらに笑う男と目が合う。

普段見れない青センの顔を見つめる、

少しぱっちりと開いた眼に目元にシワがあった、

常にヘルメットをしてて焼けないからなのか肌は真っ白で真っ青な瞳によく映えていた。

舐めるように上から下へと見ていると

「俺ばっか見られるのはズルくない?」

「はっ、、、?」

青センの手が俺のサングラスを取る、

色つきサングラスから見えていた青センの顔がクリアに見えた、

「へぇ〜お前、綺麗な眼だね」

初めて見たかもと呟く青センは愛おしいく俺の事を見つめてくる

チリチリと焼かれるような感覚になる、

冷たく感じるはずの目からは熱い視線を感じた

「ねぇ、もう1回キスしていい?」

黙ってすればいいだろ、、

いいよとも言えず恥ずかしくて何も答えれ無かった、

ぎゅっと強く目をつぶり「ん、」と小さく声を出すので精一杯な俺にも 「可愛い」と呟き優しく頬を撫でしっとりと柔らかい唇が重なる。

キスをした後に青センは何かを確かめるように俺をまた強く抱きしめ、動かなかった。

あぁ、きっと俺たちはもう戻れないんだろうな。

青センから向けられる気持ちはきっと俺とは違う、

それでも俺にその「気持ち」が俺だけにしか 向けられていないと考えると嬉しかった。

どんなに酷くされようと、きっと俺は青センに対する気持ちは変わらない。

俺も青センも、

もしかしたらおかしいのかもしれない。




ーend



(自我が喋ります⬇)

熱出したり、現実が忙しくてなかなか書けませんでした、、

元々文才も無いので、何回も書き直したりしてたらこんなに経っていて、正直完成諦めていたのですが頑張って書いたので感想聞かせて頂けると嬉しいです😭✨

投稿頻度は遅いですが、気長に待っててくださると嬉しいです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます🙇‍♀️✨

この作品はいかがでしたか?

15,726

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