テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「げほっ」と咳をして窓を見下ろす。変わらない教室、授業風景。日々の平和を感じる。窓の外には積もった雪、しんしんと降る雪、辺り一面が白く染められ、ケーキのようであった。
授業では、数学をしていて「方程式」を学んでいた。
突然だが、私は恋をしている。数学の授業をしていようが、大好きな音楽の授業をしていようが、好きな人を考えてしまいこれっぽっちも勉強になりゃしない。
好きな人とは齢が1つばかり違うため、会う機会が少ない。そのためが、会う度に心臓がいきなり音を立てて動き出し、顔が赤くなってしまう。
想い人とは、仲が良く、友達であった。相手も、私のことを友達として見てくれていた。だが、いくら中が深まっても、「良い友達」としか認識されないのも辛いものだ。
もういっそ、友達のままがよい。私はそう思い、ずっと友達として接していた。
私の思いなど関係なく、想い人の卒業は迫る。あと1年と、短くなってしまった。
そんな春、新たに制服を身にまとった、初々しい仕草で新入生が入学した。私には、初めての後輩ができ、すこし誇らしくなった。敬語を使われることには慣れかなったが、皆、仲良くしてくれていた。
新入生が入学してからの月日の流れは今までの2倍にも感じた。
季節は初夏に差し掛かった。可愛い後輩もでき、私は充実した日々を送っていた。いまだ恋心は明かさず、友達として想い人と接していた。
またまた季節はすぎ、残暑に差し掛かる。猛暑のジリジリとした暑さは消え、夜は涼風が吹くようになった。
私の地域では、残暑に夏祭りが行われる。今年も、幼なじみの少女と屋台を回っていた。すると、目に入った見慣れた影、可愛らしい女性の姿。私はその光景を理解するのに時間がかかった。いや、理解したくなかったのであろう。私が見てしまった物は想い人と可愛い後輩が、手を繋ぎ歩いているところである。
たちまち気分は下がり、悲しさが心を襲う。あとから知った話だが、その時はまだ付き合っていなかったようだ。
その翌週、そのふたりがお付き合いを始めたという話は瞬く間に広まった。
あの時、思いを伝えていたらと今でも後悔している。その翌月、2人は別れてしまったようだが、私はまだ、想い人に思いを伝えられていない。この気持ちは、永遠に伝わることはないであろう。
また季節は冬へと戻り、雪がしんしんと積もる。今年は、青葉が見えぬほど積雪した。
ワインが注がれるように、冬の空は一瞬で夜空へと変わる。日々の過ぎ去り、季節の移ろい、全てが早く感じる今、わたしはこの曖昧な気持ちを伝えず、想い人と過ごせる時間を終わらせようとしていた。
あぁ、一刻も早く思いを伝えたかった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!