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病み
🔰です
⚠️捏造注意
「せらお、、、」
いつもはハスキーな声で大きく叫びながら呼ばれる名前は、今は小さく弱々しい声で呼ばれた。
『なぁに?』
隣で膝を抱えながらソファーに座る恋人は少し落ち着きがなく、前後に揺れている。
「おれさ、やっぱだめだ、なんもできん、。」
いつもなら光で充ち満ちていたその大きな瞳はいつしか、俯きがちで自信なさげな瞳に変わっていた。そして今回は目に涙を浮かべながら。
『どーしたん。なんかあった?』
雲雀がこうなったのは2ヶ月ぐらい前。いろんな出来事が一気に起きちゃって、それは彼を酷く苦しめるものばかりだった。
「なんかおれなんもできんくなった、。おれには奏斗みたいなムードメーカーになることもできんし、、、。」
そういう彼は下ばかりを見て顔に髪がかかる。
目の下に隈。下がった眉。噛み締められた唇。
そんな横顔を眺めていた。
「アキラみたいなトーク力もなければセラおみたいな運動神経もない、。唯一おれの取り柄だった歌は今では歌うこともできん、」
「“そんなおれに価値なんかあるんかな、”」
あぁ、どうかそんなことを、自分を否定するようなことを言わないでくれ。心の中ではそう叫んでいるのに、言葉にして伝えることはできない。きっと伝えてしまえば雲雀は数少ない理解者を失ってしまう。少なくとも俺は永遠に雲雀の理解者でありたいと思っているから、いつも慎重に言葉を選ぶ。
『不安になっちゃった?』
「ん、」
雲雀を苦しめているのは主に2つ。
1つはアンチ。もう1つは歌だ。
💬『バカなんだから出しゃばったりしてほかのメンバーの場面潰すの辞めたら?』
💬『歌だけが取り柄のくせにほかのメンバーに迷惑かけないでよ。』
💬『ぶっちゃけVOLTACTIONに渡会はいらない。』
なぜそんな冷たい言葉がつらつらと並べられるのか、どこをどう見て、なんでそう思ったのか理解できない(理解できないというかしたくもない)言葉が書き込まれている。
今すぐにでもぶっ殺してやりたい。凪ちゃんに特定させて奏斗と俺でそんなことを言った奴らを潰すことは簡単だろう。でもきっと雲雀はそんなことを望まない。心が優しいから。
彼は腕を傷つけていた。
アンチの冷たい言葉を受け止め、腕にその証を刻んでいたんだ。それに気がついた俺は奏斗に相談してみるとまあ、話し合いというかなんというか、雲雀の家にみんなで凸って事情聴取した。その時はみんなで雲雀を慰めながら一晩を明かしたんだっけ。
その日からはみんな雲雀に大好きなことを伝えることも増えたし、理解しようとお互いに支えたんだよね。
まぁ、結局雲雀の腕には新しい傷も増えてくばかりであんまり効果はなかったみたいだけど。でも雲雀がよく泣くようになって、傷つけた時は誰かしらに伝えるようにして甘えることができるようになった。
最年長だけどいちばん弱いのがかわいいんだよね、
不謹慎だけど、雲雀が追い詰められるほど俺らを頼ってくれるから正直うれしいんだぁ。最低だけど、VOLTACTIONのみんなってやっぱ何かしらを抱えてるから少しおかしいんだよ。
そして、彼は上手く歌を歌えなくなったというのだ。聞いてみたけど何が上手くないのか、俺には全く分からなかった。でも分からなくても、それが今の雲雀を苦しめているのはよく分かった。
“歌を歌う時の雲雀はそんな焦った顔をしない。”
解釈違いだらけ🙏