この作品はいかがでしたか?
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わたしはあの子と同じ誕生日だった。
10月28日。
あの子の名前は…
Nakamuくんだったかな
あの子の家はお金持ちで
お父さんは有名なパティシエだった。
一方わたしは自分の誕生日と言えず
あの子の誕生日パーティにいった。
パーティにはあの子のお父さんがつくった
美味しそうな料理がたくさんあった。
もちろんお父さんがパティシエなだけあって
ケーキは手作りらしかった。
あの子は幸せそうに笑っていた。
わたしにはなくて
あの子にはあるもの。
いつも友人に囲まれて
優しく天使のように笑えるあの子にあるもの。
それはあたたかいかぞくと
めぐまれた才能だった。
わたしにもし
ああいうふうな才能があったなら。
わたしはかぞくにあいされていただろうか。
否,愛して貰えただろうか。
わたしが窓辺に出ようとした時
あの子は階段の踊り場にいて。
それで。
嗚呼、
祝福された天使は空をとべるだろうか?
わたしは天使の背中をおした。
とべなかった。
天使はおちてしまったんだ。
わたしの手によって。
突き落とされて。
ただ、
恐怖心や罪悪感は
1ミリたりともわたしのなかにはなかった。
天使はとべなかった。
とべなかった天使は
そのまま階段からおちて、おちて、おちて。
腕や足は醜いほどに曲がっていて。
まるで潰れたケーキのようだった。
悲しいバースディ
嘆きのバースディ
10月28日。
わたしの、あの子の誕生日。
とべなかった天使の命が尽きた日。
ハッピーバースディ。
ハッピーバースデイNakamu。
神様。
あの子がもし生まれ変わることがあったら
私と関わることがないような。
すてきなばしょにしてください。
ハッピーバースデイ。
ハッピーバースデイ。
コメント
1件
ハッピーバースデイ〜