プロローグ
2XXX年。人類は大きな進歩を遂げ、今では空に車が飛ぶのが当たり前の未来都市となっていた。 だが、時というのはあまりにも残酷で、人々があんなに夢中になっていた物はすぐに飽きられ、社会的な物価の維持が出来なくなってしまっていた。そんな時に政府は考え、そして実行した。娯楽という名の、戦争を。
彼らの言い分はこうだ。
特殊なリングを通して、人を強化し、その人同士で戦わせ、どちらかが戦闘不能になるまでやりあう。なんとも悪趣味だが、娯楽に飢えていた哀れな人間達はその活動を大きく支援した。
ある会社は自社の製品の売上を伸ばすために、その強化された人間を戦わせ、製品をアプローチさせた。すると、その商品は大ヒット。過去最高売上をたたき出してしまったのだ。それをみた他社も同様なことをして、政府のこの活動は大きな反響を呼んだ。
だが、特殊なリングには大きなデメリットがあった。それは、人のトラウマを呼び覚ますという一種の副作用であった。ならば、トラウマがない人間を使用すれば良いと考えるかもしれないが、これがタチ悪く、トラウマが辛ければ辛いほど、人間はリングと共鳴し、威力を発揮する。
しかも、リングは限られた人間しか使いこなすことが出来なかった。トラウマは強度だが、精神力が弱い人間がこのリングを使用すると、脳を破壊しかねない。だから、『娯楽』を提供する人間はトラウマが強度であり、かつ、精神力が一般人よりも強い人間が適任なのである。この特殊な人間の事を民衆は『娯楽蝶』と、呼んでいる。『娯楽蝶』はどのような過去を経て、戦場に立っているのかは本人と雇い主しか知らない。『娯楽蝶』のお互いの信念を賭けた命懸けの戦いが今、始まる。
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