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目の前が真っ暗で、恐怖ばかりが身体を蝕んでいった。
──いや、正確には、真っ暗なんかじゃない。ただ俺が、目の前の状況を受け入れまいと目を瞑っているだけのこと。その行動に、意味があるのかはわからない。俺が今、何故目を瞑っているのか。それはわからない。
ただ、どうしても知りたかった。
手はどうしてかベトベトとしているし、俺は何かを片手で掴みながら、誰かの上へと馬乗りになっているようだ。一体俺は、またどんな間違いをおかしてしまったのだろう。
震える心を抑えながら、ゆっくりと瞼を抉じ開ける。
「……は?」
その時、俺は心の底から驚き、バカみたいな声をあげた。
だって、俺が馬乗りになっていたのは、俺だったから。
口角を上までニンマリと持ち上げて、胸からは血を流し、水溜まりを作っている。
同じ顔、同じ背丈、同じ髪──。
いや違う。髪型は同じでも、髪色が違う。
俺は赤みがかった黒髪をしているが、目の前の人物の髪色は青みがかった黒髪であった。
ならば、これは一体誰なのか。
考えて考えて、結局は最初から分かっていたはずの答えへとたどり着き、吐きそうになった。俺はただ、それを受け入れたくなかっただけだったのだ。
「……つかさ……?」
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