TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する



洗濯して掃除して、車で10分の所にあるパート先へ出勤する。電化製品の物流センターで、ピッキングの仕事だ。


10時から16時まで、お昼休みを挟んで5時間の勤務。


「おはようございます」

「おはようございまーす」

「おっはようー、今日は寒いね」

「おはようございます、あれ?それ、新しいネックレス?いいね」

「おはよう、今日は朝からおばあちゃんが転んじゃって大変だったわ」


ゾロゾロとガヤガヤと20代後半から60くらいまでの、幅広い年代の主婦ばかりの仕事場だ。ロッカーからエプロンを出して準備をする間も、みんないろんなおしゃべりをしている。


でも、私だけには誰も話しかけてこない。朝のおはようございますだけは誰に言うともなく声を出すけど、それ以外はほとんど話をしない、というか話に入れない。


ハンディスキャナとリストをもらって、注文された商品を集めていき、箱詰めして荷札を貼るまでが一連の作業だ。台車に商品を集めながらでも、あちこちでおしゃべりに花が咲いている。


そんな中で私だけは、黙々と仕事をこなしていく。真面目だからとかそんな理由ではなく、話す必要がないからだ。話しかけても聞こえてないフリをされる、これが学校だったらイジメになるのだろうか?


事務的なことは事務員さんから直接連絡があるし、それ以外は余程のことがない限り、話す必要もない。みんなと協力してやらなければいけないという仕事ではないから、一人でもこなせる。それは助かっている。


お昼休みも、スマホでもいじっていれば一人で過ごせる。スマホがなかったら、車にでもいればいい。


出来上がった荷物を、運送会社ごとの台車に乗せて次のリストを取ろうしたら、さっと横から取られた。


「あー、駒井さんは仕事が早いからこっちの5枚綴りのリストをお願いしますね」


「あ、はい…」


名前を呼ばれて、私は時間を確認した。

この時間から5枚はキツイ。二人で分ければ余裕だけど。


___えっと、誰か…


周りを見たら、ささっとみんなが離れて行った。


___ダメか


こんな感じになってしまった理由は、わかっている。仕事を始めて最初の頃、ランチに誘われた。そこで話題になったことに、私が同調しなかったからだ。みんなが噂していたことだけど、知らない人のこととはいえ非難するようなことが言えなかったのだ。仲間意識が強い女の職場では、自分の色を出してはいけないとあの時思い知った。


それから、以前にも同じような仕事をした経験があったので、要領よくこなしてみんなの前でセンター長に褒められたことがあった。ここに長く働くベテランの人にとっては、とても鼻についたんだろう。


気がついたら、私の周りには誰も近づいてこなくなっていた。


なんとなく苦しい職場だと思うけど、辞めることはできなかった。子どもたちも大きくなってきて学費や生活費が心もとなくなってきたからだ。


___お給料はちゃんともらえるから、我慢しなきゃ


呪文のようにそう唱えながら、リストに従って商品を揃えて、淡々と仕事をしていく。


商品棚を挟んだ隣の通路から、ボソボソと話声が聞こえてきた。


「……なんだって」

「えぇーっ!ウソ!」

「でしょ?笑えるよね?」


あははと笑い声が聞こえてきた。


___何の話であんなに楽しそうなんだろう?


私が声を出して笑ったのはいつだったか、思い出せないくらい笑っていないことを思い出した。









この作品はいかがでしたか?

24

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚