コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「おまえ、とことん外道で気に入ったぞ。弱い者いじめが大好きなのは余も同じ。冥土の土産に生き地獄を見せてやろう。本当の地獄に落ちたあと、余が見せた地獄に比べれば天国だと思えるくらいのな」
「そんなこけおどしにおれがビビるかよ!」
「人間には奪う人間と奪われる人間の二種類しかいないとおまえが言っていた動画も見たぞ。余の前ではおまえは奪われる人間だ」
「おれの何が奪われるってんだ?」
「とりあえず歯だな」
「は?」
余は右の拳を間男の減らず口めがけて叩き込んだ。吹っ飛んだのは間男の体だけではなかった。間男の歯も床に散乱している。当の間男は痛みに悶絶して、口を押さえながら転びまわっている。
そこへ蹴りを入れて、瑠奈のそばまでまた吹っ飛ばした。
「参った。謝るからもうやめてくれ」
ようやく力の差を理解して、間男が土下座した。代わりに、瑠奈が食ってかかってきた。
「ひどいことはやめて!」
「パパを毒殺しようとしてたくせに、どの口がそれを言うの?」
「もうケンカしないで!」
「勘違いするな。ケンカなどしていない。余は弱い者いじめをしてるんだ。自分たちはさんざんそれをしてきたくせに、まさか余にやめろとは言わないよな」
余は間男の方に向き直る。
「誰かに助けを求めるなら今のうちだ。おまえを助けてくれそうなやつはもう誰もいないのか? いるなら呼んできてやるぞ」
「いる。おれの妻子だ。一家の大黒柱のおれが殴られたのを見て、妻も娘もどれだけ悲しむことか……」