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 私がジークフリート殿下の恋人であるという妄言を、まさか信じたのだろうか。

 こちらへ突きつけていた剣を、ゆっくりと下ろしたテオドア様。

 私──の身体に憑依している殿下は、それを見て、ほくそ笑むように目元を緩めた。


「ジークにこう褒められたことがあるでしょう。お前はよく弁えているところが利点だ、と」


 それは、全く称賛ではないのでは……。


「……っ!」


 ……しかし実際にそう褒められたことがあるらしく、はっと目を瞠るテオドア様。

 殿下はそんな彼に自ら歩み寄り、息のかかる距離で少し踵を上げる。

 そして身体を強張らせたテオドア様の首元で──すっと息を吸った。


「ジークが死んだからといって、例の計画が立ち消えることはありません。──お前は引き続きあの者たちの動向を、監視しなさい」


 ほぼ吐息の音で、厳かに囁いた*****************

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嫌われメイドですが、王子殿下の恋人役になりました

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