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第六節:フリーク特区のお化け屋敷:後編
その1
ここからバーナム・いおりの回想シーンになります。
1980年のアメリカフリーク州にて。
バーナム・いおり(当時4歳)が両親に連れられ、入居条件である歴史直視型お化け屋敷の看板に向かっていた。
そのお化け屋敷とはアメリカの51番目の州の
フリーク州にある歴史直視型お化け屋敷「ジャッジメント・デイ・USA〜 クリストファー・アンド・ネイティブ・アメリカンズジャスティス」であった。
店員たちはバーナム知事の親戚であることを知り、淡々と説明するのでした。「バーナム知事のご親戚ですね?どういったご用件でしょうか?東京フリーク区に一年以上お住みの方はお化け屋敷を受けるのが免除になりますが…」
いおりの父親「親戚に会いに行くのですが、せっかくの機会ですし、アメリカの歴史を学びたくてお伺いさせていただきました」
店員「わっわかりました…そうですよね?
ですが、一つ忠告があります。フリーク州に住む住人たちは白い目で見られることを嫌います。他にも、彼らはラベルで判断されることも嫌うので相手に敬意を払った呼び名で呼ぶようにしていただければさようです。それから、フリーク州とこのお化け屋敷については決して一般社会に口外しないようにお願いいたします。一般社会に住むノーミーたちに口外したとしても理解はされないと思いますので。」
そうしてお金を払い、両親たちと一緒にお化け屋敷の中に入るのだった。
1492年のキューバ島(当時はイスパニョーラ島と呼ばれていた)と書かれている看板を見た。
いおり「クリストファーって誰なの?」
いおりの母親「エスパーニャ人でね、当時新大陸に赴いて多くの先住民の方を虐殺してしまったの。でも彼にとってはエスパーニャ王国のため、神様のご加護のためでもあったのよ」
クリストファー人形がピンソン三兄弟人形と一緒に新大陸にたどり着いた時。
現地の熱帯植物が放つスパイシーな香りや、タバコの煙といった匂いが漂っていた。
クリストファー人形「ここがバーラトか…オスマン帝国領土に行かなくてよかったぁ…黄金と香辛料のありかを探って、キリストのありがたい教えを広めよう」と模索していた。
バーラトはインドの自国名であり、エスパーニャはスペインの自国名であります。
その国々の方々に対する敬意を込めてそのように呼ばせていただきました。
クリストファー人形の心の声「イサベル女王陛下殿…フェルナンド国王陛下殿…そなたたちのおかげです…」
その時タイノ族人形たちが珍しい白い肌の人々を見てはありがたくタイノ族の伝統工芸品やゼミ彫刻をクリストファー一行に送っていた。
※タイノ族のゼミとはカリブ海の先住民族タイノ族の信仰において、神聖な存在や祖先の精霊、およびそれらを象徴として作られた聖なる偶像、彫像のことを指します。
タイノ族は、自然界の力や祖先の霊であるゼミが、人々の生活や自然現象(豊穣、健康、天気など)を支配していると信じていました。
彫刻には木、石、骨、綿など、さまざまな素材で作られ、動物や人間の姿を模したものがあります。
クリストファー人形の心の声「ここにいる先住民どもは土地の所有に関する概念がないのか…彼らは『みんなのものだよ』と言うけど、先住民どもの持ってる物を欲しいと言えば、彼らは『いいえ』とは言わない….けど私が欲しい物はこんな物ではない、黄金なのだ….」と苦悩を抱えていた。
クリストファー人形と仲間たちが十字架などの宗教的な品々を贈り返していた。
クリストファー人形「これは『十字架』と呼ばれていてな、真ん中に人がおるだろ?イエス・キリストと言うのだよ。彼は色んな人々の罪を背負って処刑されたお方だけど、愛と平等を教えてくれた。つまりこれを持って神様(ゴッド様)に祈りを捧げれば救われるという教えだよ」と
クリストファー人形の心の声「これは国王陛下、女王陛下のためだけではない…神様のためでもある…神様のためにこの土地を手に入れる…!」と野心が燃えていた。
次のフロアではクリストファーの2度目の新大陸到着の日だった。
死体特有のアンモニアのツンとした刺激臭が混ざったような強烈な悪臭が漂っていた。鼻がヒリヒリさせるような感覚だった。
1度目の到着の時に残していた仲間たちの人形がナビダード要塞の近くで多量の血(血糊)が流れる程の出血で無惨に殺され、一部の仲間たちの人形の中には海で溺死した者までいた。
ナビダード要塞はすでに焼かれる光景まで再現されていた。
いおり「うっ…これが死体の匂い..何だか生々しいね…」
いおりの母親「このまま前へ進みましょう?これが人間の犯した過ちだと…歴史は繰り返すことがどう言うことか理解できるわね?」と
クリストファー人形「何てことだ…ここで仲間たちがいとも簡単に殺されるとは…新たな植民地を手に入れねば…ポルトガルに先を越されてしまってはいかん…!」と葛藤していた。
次のフロアでは
クリストファー人形が1回目の出航の後エスパーニャに帰還した後の出来事だった。つまり、2回目の新大陸到着前の回想シーンだった。
クリストファーの仲間たちが人形飢えや金銭目的、物資目的、性目的でナビダード要塞にいながらもタイノ族の女性人形、金品などを略奪するなどの蛮行を繰り返していた。
この光景を見たタイノ族の族長人形が仲間たちを率いて、クリストファーの仲間たちに向かって戦争を仕掛け、血を流しながらも泥沼化していた。タイノ族人形たち「我らの土地を侵略する野蛮人どもは…この手で滅せよ!!」
クリストファーの仲間たち「未開な部族どもなんて、簡単に始末できるわ!!」と言うお互いの正義が衝突する雰囲気だった。
次のフロアでは途轍もない緊張感を漂う空気が迫っていた。
船員人形「クリストファー提督!!彼らは反乱を起こしそうです!!」
クリストファー人形「くっ…これは植民地を手に入れるチャンス!!今すぐ軍隊を率いて、彼らに我らの実力を思い知らせてやれ!!」
船員人形「はっ!!」
一方でタイノ族人形たちが「ここは我らタイノ族の土地である!!野蛮な白人どもは自然界の全てのゼミ様たちの怒りを買った!!今すぐ殺して見せしめにしろ!!」
こうしてお互い大義名分掲げていた。
タイノ族人形たちはマカナと言う平たい刀剣のような棍棒を使用したり槍や弓矢を使う者までいた。
一方でエスパーニャ軍側は当時最先端だった鉄製の甲冑(モリオンという兜を使用)、剣(レイピアやアーミングソード等)、クロスボウ(弩)等を使用。
戦争に発展して、タイノ族人形たちは圧倒的な最新兵器の前に無惨に血まみれ状態に倒れていた。
クリストファー人形「これだけでは終わらぬ…今度は彼らに黄金のありかを吐かせるか…」と
次のフロアでは天然痘などの疫病にかかって亡くなっていくタイノ族人形たちが目に映っていた。その光景は全身がイボのように腫れていた。
クリストファー人形たちエスパーニャ軍一行は見せしめのため、タイノ族たち人形の手首を切断。
いおりが地面に触れて、嘔吐した。
いおりの父親「これが人間の醜さだってことを決して忘れないでほしい…一緒に共有し合おう…人間は過ちを何度も繰り返すように、歴史というのは同じ争いを繰り返す…これが人間の本質だ」
いおりの母親「過去から何を学び、自分の内面とどう向き合うか…未来にどう繋げて行くか、一緒に考えよう…」と。
クリストファー人形「さあ黄金のありかを吐け!!」
タイノ族人形「黄金?何のことだ?!!そんなの知らん!!」と口を割らなかった。
そのようにして次のフロアへ向かった。
そして次のフロアでは
クリストファー人形は牢獄に入れられていた。
新大陸での杜撰な言動がエスパーニャのフェルナンド国王陛下に知られたことで、逮捕されたのだった。
クリストファー人形「私はただ…植民地を手に入れて、キリストと言うありがたい教えを広めたかっただけなのに、なぜ捕まらねばならんのだ…」と見る影もなくやつれた姿で嘆いていた。
一方でヴィヴァルディの曲の「四季より冬」が流れていた。
骸骨と亡霊化したタイノ族の人形たちが「なぜこの土地にいるだけで、殺されなければいけないのだ!!この痛み、この歴史を決して忘れるな!!」と
最後の出口の文章では『このお化け屋敷は…特定の人種や宗教を批判するために作られた訳ではありません。支配の正義と守る正義の両方の視点を見ていただくためのテーマでもあります。つまり、主役と悪役は…いません。この歴史をただ単に学ぶだけでなく、真実から目を背けずに….自分の内面と深く向き合って…このアメリカフリーク州に住んで下さい…合格おめでとうございます。』と書かれていた。
ここで回想シーンを終わります。
完全神「オーッホッホッホッホ!!!!それで親戚の家に向かったと?もちろんアメリカでも日本と同じように世間体ではバーナムをペテン師一族扱いされていると?」
いおり「もちろんそうです。日本、アメリカの一般社会だけでなく、世界中の一般社会から見ても私たちバーナム一族とアメリカフリーク州に住む親戚のバーナム一族はペテン師扱いされていますから…」
完全神「摩訶不思議ですねぇ。でも実際行ってみると東京フリーク区やアメリカフリーク州の住人たち全員生きやすいし多様性に満ち溢れているから搾取とは違うと?」
いおり「ええ、さようでございます。ところでご存知ですか、アメリカフリーク州でのお化け屋敷の経営者については?」
完全神「いいえ、存じ上げていませんね」
いおり「それはクロイ家という日系アメリカ人が建てた物で、黒井家の親戚一族なんです。
お腹が空いていませんか?もしよろしければ
夕食には最高級のレストランに行きませんか?あなたのお好みのメニューがあるかもしれませんので?」
完全神「ええ、構いませんよ?」
完全神の心の声「オーッホッホッホッホ!!一切ブレてない…一体何なんだこの大人の対応力は…?!これが本物のフリーク…」と冷や汗をかいた。
コメント
7件
うわあ、これはかなり重くて考えさせられる回でしたね…。お化け屋敷という形で、アメリカ先住民に対する植民地支配の歴史を「両方の視点」で描く構成が印象的でした。特に、4歳のいおりが嘔吐するほど生々しい再現と、それでも両親が「目を背けずに向き合え」と伝えるシーンが胸に刺さります。完全神との会話で見せるいおりの「一切ブレない大人の対応力」も、この壮絶な幼少期があったからこその強さなんだなと腑に落ちました。重いけど、歴史とどう向き合うかを考えさせられる、巧みな構成だと思います。