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あぁぁぁぁ…好きです…… 続きが楽しみです!!(( (初対面なのに…すみません…)
では続きどうぞ♪
「ここでいい、?」
男は目の前にある扉の前で立ち止まり、
ゆっくりと俺を降ろしながら話しかけてきた。
さっきまでギシッ…と歩く度に軋む音をたてていた廊下が静まり返り、
廊下に居た花魁や遊女達も、いつのまにか皆消えていた。
「あぁ、ここで大丈夫だ。本当に、すまない、、、」
今日はこの男に散々助けて貰ってばかりで何だか申し訳なく、
目の前に居る彼の顔を、どうしても見れなかった。
「全然大丈夫ですよ、あ、えーっと…あのっ
突然だけど、良ければ貴方の名前、聞いてもいいかな、?」
突然、目の前の男がそう言った為、俺は驚き、
下に向けていた顔を上にあげた。
俺は今まで名前を聞かれた事は無かった。
他の男達や客は俺の身体だけをただ求めていたから。でも、
この男は他の奴らとは違う気がする、…いや、絶対に違うと思った。
彼は少し口角を上げて「やっぱりダメかな、?」と、
少し目を逸らしながらもそう俺に言った。とても優しく、
少し小さい声。けど、なんだかさっきよりも弱々しい声で俺に言う為、
思わず笑いが零れてしまった。
「あっははははっ!」
「えっ….!?な、なんで笑うのさっ…!///」
少し恥ずかしそうに慌てている彼。
彼の驚いた顔はとても面白いと半分はそう思い、
もう半分は、彼の事をつい可愛いと心の中で思ってしまった。
あまりにも自分の考えている事に驚き、思わず彼から顔を背ける。
彼は何をしているんだ、と思うような感じで首を少し傾げ、
俺を見つめてきた。
「あ、すまんすまん。つい….」
少し咳払いをしてまた彼の方へと顔を向けた。
背が自分よりも遥かに高い為、俺は上を見上げるような感じになった。
そうして己の口を開く。
「俺の名前はナワーブ・サベダー。呼び捨てで構わない。」
そう彼に告げた。
「ナワーブ……ナワーブか、…いい名前…..」
俺の名前を呼んだ彼は優しく微笑み、顔がほのかに赤くなっていた。
そして目には一瞬、いや、少しだけ、
黒曜石のように暗かったあの瞳の中に、
僅かにハイライトが入っていた。
「…俺にアンタの名前、教えて欲しい。」
つい彼に言ってしまった。でも、どうしても彼の名前を知りたかった。
なんだか知っておかないといけないような気がしたのと、
彼にまた会いたいと、心の何処かでそう思ってしまったから。
「いいよ、教えてあげる。」
微笑みながらそう言い、俺に顔を近ずける。
近ずくにつれて、俺の顔が段々と赤く染っていき、
心臓はドッドッドッドッ…と速く脈を打つ。
そして、俺の耳元で彼は言った。
「僕の名前は、ノートン・キャンベル。」
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❦ℯꫛᎴ❧
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭
(続く)