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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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では続きどうぞ♪

















「ここでいい、?」


男は目の前にある扉の前で立ち止まり、

ゆっくりと俺を降ろしながら話しかけてきた。

さっきまでギシッ…と歩く度に軋む音をたてていた廊下が静まり返り、

廊下に居た花魁や遊女達も、いつのまにか皆消えていた。


「あぁ、ここで大丈夫だ。本当に、すまない、、、」


今日はこの男に散々助けて貰ってばかりで何だか申し訳なく、

目の前に居る彼の顔を、どうしても見れなかった。


「全然大丈夫ですよ、あ、えーっと…あのっ

突然だけど、良ければ貴方の名前、聞いてもいいかな、?」


突然、目の前の男がそう言った為、俺は驚き、

下に向けていた顔を上にあげた。

俺は今まで名前を聞かれた事は無かった。

他の男達や客は俺の身体だけをただ求めていたから。でも、

この男は他の奴らとは違う気がする、…いや、絶対に違うと思った。

彼は少し口角を上げて「やっぱりダメかな、?」と、

少し目を逸らしながらもそう俺に言った。とても優しく、

少し小さい声。けど、なんだかさっきよりも弱々しい声で俺に言う為、

思わず笑いが零れてしまった。


「あっははははっ!」


「えっ….!?な、なんで笑うのさっ…!///」


少し恥ずかしそうに慌てている彼。

彼の驚いた顔はとても面白いと半分はそう思い、

もう半分は、彼の事をつい可愛いと心の中で思ってしまった。

あまりにも自分の考えている事に驚き、思わず彼から顔を背ける。

彼は何をしているんだ、と思うような感じで首を少し傾げ、

俺を見つめてきた。


「あ、すまんすまん。つい….」


少し咳払いをしてまた彼の方へと顔を向けた。

背が自分よりも遥かに高い為、俺は上を見上げるような感じになった。

そうして己の口を開く。


「俺の名前はナワーブ・サベダー。呼び捨てで構わない。」


そう彼に告げた。


「ナワーブ……ナワーブか、…いい名前…..」


俺の名前を呼んだ彼は優しく微笑み、顔がほのかに赤くなっていた。

そして目には一瞬、いや、少しだけ、

黒曜石のように暗かったあの瞳の中に、

僅かにハイライトが入っていた。


「…俺にアンタの名前、教えて欲しい。」


つい彼に言ってしまった。でも、どうしても彼の名前を知りたかった。

なんだか知っておかないといけないような気がしたのと、

彼にまた会いたいと、心の何処かでそう思ってしまったから。


「いいよ、教えてあげる。」


微笑みながらそう言い、俺に顔を近ずける。

近ずくにつれて、俺の顔が段々と赤く染っていき、

心臓はドッドッドッドッ…と速く脈を打つ。

そして、俺の耳元で彼は言った。



「僕の名前は、ノートン・キャンベル。」









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❦ℯꫛᎴ❧


𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭

(続く)

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