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3 - 大好きなのに 。 1話

♥

72

2025年03月28日

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嘔吐表現あり 注意です 。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


私 こと 、雨宮雫 は体が弱いです 。

治らない病気にかかっています 。

ずっと 、人に迷惑かけてばかりでした 。

付き合って4年目の 、大好きな恋人にも 。


雨宮)っけほ 、けほ …

??)大丈夫 … じゃないよね 、


そう声をかけてくれたのは 、

同棲している恋人 、なるせ 。

彼は夢を追っている 。

なのに 、私のせいでそれに時間を割けなくて 。

もう 、こんなの嫌だ 。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


ある日 、医者から告げられた言葉 。


医者)… 雨宮さんはもう 、長くないかもしれません 。


驚いた 。

でも 、

これでもう誰にも迷惑を掛けずに済む 。

という気持ちと 、

彼を置いて行ってしまうことになるのか 。

という気持ちが混濁して 、言葉が出ない 。

涙も 、出なかった 。

なのに彼はわんわん泣いて 。

こんなに愛してくれている人を置いて行ってしまうんだと 、 怖くなった 。


成瀬)… 雫 、

雨宮)ん 、なぁに ?

成瀬)いっちゃ 、ぃやだよ …


私の姿を見る度 、

声を聞く度に涙ぐんで 。


雨宮)っ …


私まで 、泣きたくなる 。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


日記をつけることにした 。

遺書代わりの日記 。

その日にあったこと 、

不安なこと 、

全部書いて 。

見つからない場所に閉まっておく 。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


1ヶ月が経ったある日 、薬の副作用で吐き気が止まらなくなった 。


雨宮)っう゛、お゛ぇ…


食べたもの全部出てきちゃって 。

上手く栄養が取れなくなっているらしい 。

そんな私の不安を取り除くように 、

彼は背中をさすってくれている 。


成瀬)…… 俺が 、代わってあげられたらいいのに 。


そう言う彼の表情を見ずとも 、

どう思っているかは痛いほどに分かった 。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


2 、3ヶ月経った頃 。

余命宣告を受けた 。

残り3ヶ月の命らしい 。

享年26歳になりそう 。

その時も彼は 、声を押し殺して 、

私を不安にさせないように泣いて 。

でも 、もうしんどかった 。

日に日に動けなくなっていく感覚が 、

壊れていく心が 、

食べられなくなっていく食事が 、

彼の優しさが 、

痛かった 。


雨宮)… なるせ 、

成瀬)どうしたの ?

雨宮)私 … 死にたい 。なるせに迷惑かけ続けたまま死ぬのなら 、今死んだ方がいい 。


そう 、俯いたまま言った 。

数秒間返事が無くて 、

彼を見上げる 。

その悲しげに 、苦しげに微笑んだ表情が 、

いつまでも忘れられない 。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


もう 、残り時間が少ない 。

人生への後悔は無い …

って言ったら嘘になるけど 。


雨宮)… 最後に 、家見て回りたい 。

成瀬)…… 最後とか言わないでよ 、


怒られてしまった 。

彼に体を支えられながら 、

リビング等を見て回る 。

あちらこちらに 、

私の貼った付箋やメモ書きが残されている 。


雨宮)捨てなよ 、これ 。

成瀬)…… そうだね 、捨てなきゃね 。


悲しげな声で 、そう言われた 。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


いつもより体が冷たくて 、動かしずらい 。

私はきっと 、

今日死ぬんだろうな って 、 分かった 。

だから 、いっぱい彼に笑顔を見せておく 。

前々から言っていたことがある 。


雨宮)死ぬ時は 、笑って見送ってね 。じゃないと安心できないよ 。


ちゃんと約束 、守ってくれるかな 。

私の手をずっと握っている彼 。


成瀬)…… しずく 、

雨宮)ん 、

成瀬)好きだよ 、ずっと 。大好き 。愛してる 。


ああ 、

大きな目に涙いっぱい貯めて 。

泣いちゃだめだよ 。

力を振り絞って腕を持ち上げ 、

彼の目元の涙を拭う 。


雨宮)ゎたし 、も … あいして 、るよ 。


良かった 。

最後に 、とびきりの笑顔見せられて 。


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