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CP 緑黄
sxxn様の二次創作です
本人様と関係は一切ありません
この物語はBL要素が入ります
地雷の方や、BLやnmnmなどが分からない人は今すぐこの小説を閉じましょう
名前を変えて書いてあります
みこと→こはく
すち →とうや
お気をつけ下さい。
『勘違いも全部本当だったよ』
こはくside
「さっきの告白、受けるの?」
「とうやくん!見てたんだ」
とうやくんとの関係が少し変わったのは、俺が告白された日のこと。初めての告白で、とても嬉しかった。でも、相手のことが好きなのかは分からない俺は、とうやくんの問いにすぐに答えることはできなかった。
「…すぐに答えられないってことは、迷ってるんだね。でもさ、好きならすぐに答えられるんじゃないかな」
確かに。でも、俺は誰かを好きになったことがなかった。
「うーん、でも好きがどんな感じか分からないんだよね」
「だからすぐには答えられない。さっきの告白も、そう返したんだ」
もし仮に付き合ったとして、俺が相手のことがやっぱり好きじゃなかったって理由で振るのは相手に失礼な気がした。
そんな俺の言葉にとうやくんは少し不満そうな顔をして、何か呟いた。
「俺の方が、こはくちゃんのこと知ってるのにな」
「とうやくん、何か言った?」
気になって聞いてみると、すぐにいつもの笑顔にもどって「なんでもない」と言われてしまい、結局何を呟いたのかは分からなかった。
とうやくんと俺は幼なじみだった。元々家が近くて親同士も仲が良く、幼稚園の頃からずっと一緒だった。そしてとうやくんは昔からいつも笑顔で、何を考えているのかいまいち分からなかった。
「ねぇ、こはくちゃん。俺と付き合ってよ」
「え?」
何を言われたのか分からない。突然付き合ってだなんて急にどうしたのだろうか。でもやっぱりとうやくんの表情は変わらなくて、何を考えているのか分からない。
「よく知らないさっきの子よりさ、俺の方がこはくちゃんの好きなものだって、嫌いなものだって知ってる」
「こはくちゃんのこと、誰よりも理解してる」
「でも、ずっと前からこはくちゃんのことが好きでアタックしてたのに、こはくちゃん全然気づいてくれないんだもん」
知らなかった。とうやくんが俺の事を好きでいてくれていたこと。
「今まではこはくちゃんとの関係が告白したことで気まずくなったら嫌だったから、それなら告白しない方がマシだと思った。」
「でも、こはくちゃん告白されちゃうし、俺の方がこはくちゃんのこと好きなのに、知らない子に取られるなんて嫌だから」
「ちょっとまって、え?とうやくんって俺のことが好きだったの!? 」
まあ確かに距離は近いなあとは思ってたけど、あれって普通じゃなかったのかな。
「うん、そうだよ?」
驚きと戸惑いで俺は混乱していたから、そのあとのとうやくんの言葉の意味を理解できなかった。
「混乱してるだろうし、一週間お試しで付き合うって言うのはどう?」
「こはくちゃんの返事はその一週間後に聞かせて」
「え、あ、うん」
意味を理解せず、俺は適当に返事してしまった。
「よし、じゃあこれからよろしくね。こはくちゃん」
そして、俺はとうやくんと付き合い始めた。まさか初めての恋人が幼なじみだとは思わなかったな。まあ、仮だけどね。
一日目と二日目は普段よりも距離が近いなとも思っただけだったが、三日目から少しスキンシップも多くなった、というよりなんだかキラキラが増した。
「こはくちゃん」
急に名前を呼ばれたと思い振り向いたらとうやくんに顎クイされ
「ふふっ、こはくちゃん顔真っ赤。ドキッとした?」
と、意地悪そうに言った。
「むぅ…誰だってそんなことされたら照れるよ!」
そんなとうやくんにいつもまんまと照れてしまう俺。ほんとに、昔からとうやくんは人たらしだ。
そして四日目、五日目はいつも通りの日常が過ぎ、六日目にデートに誘われ、二人で予定を立て、六日目が過ぎ、七日目になった。そう、今日でお試し期間が終了ということなのだ。デートの後、返事をするらしい。
このお試し期間で俺の心境は大きく変化した。前まではとうやくんのこと一緒にいると安心する幼なじみだとしか思っていなかった。だが、一緒にいてとうやくんの行動にドキドキして照れてしまったりして、もしかして一緒にいると安心するのは俺がとうやくんのこと好きだからなのではと気づいた。だからもちろん、返事の答えは決まっている。
デートの行き先はもうすぐクリスマスのこともあり、イルミネーションにした。色とりどりでとても綺麗だが、夜だからとても寒い。
「こはくちゃん、手」
「ん、手?」
急に手を差し伸べてきたから手を握ると、とうやくんが恋人繋ぎにして自分のポッケに入れた。
「へっ?と、とうやくん!?」
「いいじゃん。誰も見てないよ」
「いや、そういう事じゃなくてっ!」
誰も見ていないと分かってなくても、恥ずかしいよ。
「だって、今日で最後だから」
どうしてそんなに悲しそうな顔するのだろう。まるで必ず振られてしまうと分かっているような表情をする。俺は決して、断るような素振りをしていないはずだし、返事はもちろん受け入れるつもりだ。でもやっぱり、とうやくんの考えていることは分からなかった。
それから夜ご飯を食べて、最後に絶景スポットへ行き、いよいよ告白の返事をすることになった。周りに人はおらず、まるで貸切状態だった。
「こはくちゃん。返事決まった?」
「うん」
二人の間に少しの沈黙が流れる。
「…この一週間で、俺がとうやくんのことどう思ってるか分かった」
「俺、とうやくんのこと…」
「ごめん、こはくちゃん。勘違いさせちゃって」
…え?急になに?とうやくん、なんでさっきから苦しそうな顔してるの。俺、何かしたかな。勘違いって何?俺の返事のこと?まだ俺、伝えられてないよ、とうやくんのことが好きってこと。
「とうやくんのこと好きだよ」
「こはくちゃんは勘違いしちゃってるだけだよ。俺のことが好きなんだって」
とうやside
「こはくちゃんは勘違いしちゃってるだけだよ。俺のことが好きなんだって」
「勘違いって?」
こはくちゃんは純粋だから、こんな俺のことが好きだって勘違いしちゃう。
「俺が仕組んだの、こはくちゃんが俺の事好きだって勘違いさせるように」
「最初はどんな手を使っても、こはくちゃんに俺のものになればいいって思った。だから勘違いするように仕組んだ」
「でもやっぱり、本当にこはくちゃんのこと、好きだから。こはくちゃんを俺の事本当に好きになって欲しいって思った」
こんなこはくちゃんの純粋な気持ちを利用して勘違いで好きになってもらったって、ダメだって思ってしまった。ほんと、俺ってどこまで我儘なんだろう。
「勘違いなんかじゃ…っ」
「違うよ、こはくちゃん。こはくちゃんは純粋すぎて気づかないだけ。こはくちゃんのことドキドキさせるようにして恋してるのかもって思い込ませたりした!」
「こんな形で好きになってもらったって意味ないんだよ!」
ついこはくちゃんのことになるとあつくなってしまう。少し声を荒らげたように言った俺をこはくちゃんは少し驚いたあと、冷静になって言葉を発した。
「ねえ、とうやくん聞いて?」
「とうやくんが俺に何をして勘違いさせるようにしたかなんて、俺にはわからない。でも、俺はとうやくんのこと、見るだけでドキドキするようになった」
「だからそれは…っ」
「聞いて。俺、昔からとうやくんを見る度にドキドキしてた。でもそれは、とうやくんがかっこよくてモテるからだって思ってた。だから俺にはとうやくんがいつもキラキラして見えた」
「でも気づいたんだ。とうやくんに告白されて、自分の気持ちと向き合って、このドキドキはとうやくんが好きだからなんじゃないかなって」
「だって、とうやくん以外にどんなことされても、ドキドキしないよ」
「とうやくんはこのこと、勘違いだって言った」
「でも、俺からしたら、勘違いも全部本当だったよ」
「だから、俺がとうやくんのこと好きって気持ち、勘違いじゃない」
嬉しい気持ちと驚いた気持ちと本当なのか不安な気持ちが混ざって、意味わかんない。だけど、こはくちゃんの目をみたら、本当なんだなってわかった。だって、こはくちゃんは俺の目をまっすぐ見ていて、その目からその言葉が嘘偽りないこと、十分に伝わってくる。
ほんと、ずるい。ずるいよ、こはくちゃん。
「俺じゃ、だめなんだっ」
自分の情けなさに泣きそうになるのを耐えながら出た言葉はマイナスな言葉だった。
こはくちゃんに告白した理由、ほんとはもう一つあったんだ。
「俺がこはくちゃんに告白したのは、こはくちゃんのことを諦めたかったからなんだ」
そう俺が言うと、こはくちゃんは驚いた顔をして、悲しそうな目をしていた。
言うつもりなんてなかった。だってこはくちゃんが俺のこと振ってくれると思ってたから。
「だって、おかしいでしょ?男が男を好きになるなんて」
男同士だからって何か言われるのは、別にいい。けれど、こはくちゃんが傷つくのは嫌だった。こはくちゃんをどんな事があっても幸せにできる自信なんてなかった。
「こはくちゃんを、傷つけちゃうかもしれない!絶対に幸せにできる自信なんて、俺にはないんだよ!」
「じゃあ俺はおかしいんだ」
「えっ?別にこはくちゃんはおかしくなんてなっ…」
「だってとうやくんが言ったんだよ?男が男を好きになるのはおかしいって。…でもいいかな。とうやくんも俺も、好きになったのがたまたま同性だっただけで、たとえおかしい同士だと思われても、心ない言葉で傷つけられても、俺はとうやくんのことを好きになったことを後悔しないし、幸せになれるって思ってるよ。」
「それに俺は、とうやくんと以外幸せになれる気がしないもん」
こはくちゃんの心からの純粋な言葉に嬉しすぎて泣きそうになる。どうしてこはくちゃんは、確信もないのにそんなはっきり欲しい言葉をくれるのだろうか。
「俺ってやっぱ、ずるいや。だって、このままこはくちゃんを好きで居続けて、これ以上苦しくなりたくなくて、ただ楽になりたかっただけだったんだ。だからこそ、こはくちゃんの真っ直ぐなその言葉に俺はとても自分が情けない奴なんだって思い知らされた」
「なんでこんなにもこはくちゃんが俺の事を好きでいてくれていて、言葉で伝えてくれているのに、俺は自分の事ばっかりでこはくちゃんから目を背けてるんだろう。こはくちゃんのこと、自分のものにしたいって、大好きだって思ってるのにっ」
いつもは出さないどうしようもない感情が溢れてしまって、俺の頬はいつの間にか濡れていた。
「俺、昔からとうやくんが何考えてるのか全然分からなかった」
「でも、俺のことでこんな取り乱すとうやくんを見て、最低だって思うけど、嬉しいって思っちゃった」
そうやってこはくちゃんは少し申し訳なさそうに複雑な笑顔を浮かべて、俺を抱きしめた。
「えっ?ねぇ、こはくちゃん」
「大丈夫。誰も見てないよ。誰もおかしいだなんて思わないよ」
その言葉を聞いて気がついた。こはくちゃんは、泣いている俺を隠そうとしてくれてること。
俺だって、分からなかったよ。こはくちゃんが考えてること。いつも何を考えて、何を思って、行動してるのか。どうしてそんなにさらっとかっこいいこと出来ちゃうのか。全部、全部、分からなかった。でも、それ以上に純粋に愛おしいって思ったんだ。ほっとけなかった。昔からおっちょこちょいで、誰にでもふわっと花が咲くように笑う君の笑顔をみて、誰かが君に惚れちゃうんじゃないか、心配だった。
「やっぱ、こはくちゃんには敵わないや」
こはくちゃんは、俺が思ってるより弱くない。俺より強かった。俺が、弱かっただけだったんだ。
俺が言ったあと、こはくちゃんは少し離れてしっかり俺の目を見て言った。
「俺も、とうやくんには適わないよ。だって、もし俺がとうやくんのことが好きなことを先に自覚していても、きっととうやくんみたいに告白する勇気なんてなかったと思う。」
「だって、本気で好きだからこそ、断られたとき辛いと思うから。さっきとうやくんは俺に告白したのは諦めるためだって言ってた。けどそれ以前に、告白する勇気がとうやくんにあって、俺に思いを伝えてくれた。」
「それってすごいことなんだよ。ありがとう。」
ほんと、そういうとこだよ。こはくちゃん。ばーか。そんなに優しくされたらさ、こはくちゃんのこと、もっと好きになっちゃうよ。
「…こはくちゃんのこと、離してあげられなくなっちゃうよ?」
「ふふっ、いいよ?別に。だって俺、とうやくんのこと大好きだからっ」
こはくちゃんはそう言い終わると勢いよく俺に抱きついた。
「わっ」
俺はそれを優しく受け止め抱き返す。
俺はこはくちゃんの花が咲くように笑う笑顔が好きだ。誰にでも分け隔てなく接する優しさが好きだ。他にも好きなところはたくさんあるけれど、俺は特にいつもおっとりふわふわしてるのに、しっかり相手の目を見てまっすぐな言葉で伝えてくれる、まっすぐなところが好きだ。こはくちゃんの全部が好きだよ。だから俺はもう、こはくちゃんを好きでいることを諦めない。
「とうやくん。どんなことがあっても俺の隣にいてね?」
あーあ。きっと今、俺の顔真っ赤だ。こんな顔、こはくちゃんに見せらんないな。せめてこはくちゃんの前でだけはかっこよくいたいから、俺はバレないように平然を装って言う。
「もちろん。俺も大好きだよ、こはくちゃん」
𝑭𝒊𝒏.