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せせり
127
#暁山瑞希
ねる
2,253
あれから何回巻き戻ったのだろう。
何回司くんの血を見たのだろう。
もう数えるのも辞めてしまった。
──8月15日土曜日 午前10時
類はベッドの上に寝っ転がっていた。
目は虚ろで、泣いた跡が何筋もある。
「……はぁ…」
体感1ヶ月程巻き戻された。
それなのにまだ、司くんを助けられない。
「……痛みだけが、終わりだけが、」
「答えだとは、思えなくて……」
ふとぽつりと呟く。
ピコンッ
『類ーーー!!起きてるか!?』
『待ち合わせ遅れないようにな!!』
「……司、くん…か…… 」
「…なんで」
「なんで、司くんが……」
顔を両手で覆って、また涙が流れた。
最近涙腺が弱い。司を見る度に涙が出そうになる。
「……っ、…」
涙を袖で拭って、ベッドから起き上がり、出かける準備をする。
「…うん。いつも通り。 」
全身鏡で自分を見て、息を整え、靴を履いて玄関のドアを開ける。
「…っ」
朝の日差しが眩しい。司の事で忘れかけていたが、今は8月の真っ只中。
病気になりそうなほど眩しい日差しと、夏の水色をかき回すような蝉の鳴き声が聞こえる。
「…あっっつい…」
汗がだらだらと流れる。
「お!類こっちだぞ!」
──嗚呼。何回この司くんを見ただろう。
「……おはよう、司くん。」
いつも通りに。笑って司くんに駆け寄る。
「ああ!おはよう!」
司が満面の笑みで類を見上げる。
……元気だ。楽しそう。
「……司くん。ちょっと、公園で時間潰さないかい?」
「え?カフェ行くんじゃないのか?」
「…ちょっと、公園の気分で…」
「そうか!まあ類の言う事ならいいぞ!」
公園のベンチに2人で腰を下ろす。
子供たちが楽しそうに走り回っている。
「……元気だねぇ 」
「…だな!子供の体力は計り知れん!」
ベンチの背に体重を預けながら、子供たちを眺めている。
「…最近、暑いねぇ。」
袖で汗を拭って、呟いた。
「本当!暑いよな!少し涼しくなってほしいものだ! 」
「ふふ、本当そうだよね。」
顔を上にあげて、空を仰ぐ。
…綺麗な青。綺麗な雲。五月蝿い蝉の声。
……司くんの死。
類の頭の中はそれだけ。表には出さないが、心臓はバクバクしていた。
午前11時
──残り1時間。
今日こそ、今度こそ。
司くんを、守るんだ。
キャラクター紹介↓
天馬 司
男 20歳 172cm
・声がデカい
・ナルシスト気味だが、仲間思いで優しい
・類とお付き合い中
・8月15日12時に死んでしまい、司が死ぬと8月15日10時に戻る
・巻き戻ると、司の記憶は消える
神代 類
男 20歳 182cm
・少し変わり者の高身長男子
・野菜が嫌い(食べるなら死んだ方がマシ )
・司とお付き合い中
・司が死ぬことを何とかして逃れようとするが、いつも助けられない
・巻き戻っても、記憶が残る
つづく
コメント
1件
うわっ……第5話、めっちゃ重い……でもそれがいい……! 類ちゃん、もう何回もループしてるんだね。体感1ヶ月も。 「なんで司くんが……」ってとこ、涙腺やられたわ。 “今日こそ”って決意するんだけど、毎回助けられなくて、でもそれでも諦めない類ちゃんの強さと脆さが心に刺さる……。 次こそ、今度こそ、成功してほしいな🔥