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💡視点
お盆。ヒーローであるオレはお盆にもいくつかの仕事があった。その1つが墓参り。今まで守ってきた方々のご家族の墓参り。これだけは何回やっても慣れない。亡くなった人、オレの救えなかった人に手を合わせる。
「こんにちは」
声をかけられたので少し驚きつつもこんにちは、と返す。これも毎年。
ヒーローを始めてオレが間もない頃、助けられなかった少年がいた。この人はその母親の方だ。オレはあの少年をずっと忘れられない。
ヒーローになって4回目の任務。少し慣れもできて来た頃。オレは初めて1人で任務に赴いた。頑張ろう、なんて意気込んで。
この任務は集落にKOZAKA-Cが出現、住民の避難と対処に向かえ、との事だった。今思えばこの任務を1人で、というのはおかしい事だった。元はメカニックのオレを無理矢理ヒーローにさせるくらいには今も昔も人手が足りなかったのだから仕方がないが。
まず住民を避難させてKOZAKA-Cの対処をした。オレが着いた時にはもうかなりの被害が出ていて、文明があまり発達していないこの地域は崩れている家も多くあった。KOZAKA-C自体は数も少なく強くなかったので難なく対処できた。が、逃げ遅れた住民が多かった。ヒーロー本部から離れた地域ということもあって到着が遅れたのだ。
「助けてください!!息子が…!!」
「分かりました、今行きます」
その家はもう半壊状態でどこに人がいるのかも分からなかった。
オレのメカを使って最大限の救助活動を行い他の人は順番に助けられていた。ここで最後だった。
なんとか入れる入口を探し中に入り、救助活動を行う。すると崩れた家の瓦礫に挟まる腕が見えた。その時分かってしまったんだ。
これはもう助けられない。
それでもオレは一生懸命に助けようとした。しかしやはり助けられることはなく、瓦礫から体を出せた時にはもう死んでいた。
オレは覚えている、鮮明に。
「息子さんは助けられませんでした。大変申し訳ありません。」
そう言った時の母親の顔は暗く、絶望に染まった物だった。その時は沢山責められたし罵声も浴びせられた。だがそれで良かった。そうじゃないと納得できない。
今となってはもう何も言われることは無いがおそらくオレのことを良く思っている訳ではないだろう。でも次は助けるよ。オレはみんなのスーパーヒーローだから。