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1話です!
Scene 1:沈黙の部屋
スンリは黙ってドアを閉めた。
クリックという小さな音が、妙に響いた。
「ジヨンさん、少し……お話がしたくて」
ジヨンはソファにもたれかかり、眉一つ動かさずスンリを見た。
疲れ切ったように、だがその眼差しは氷のように冷たい。
「今、話すことなんてないだろ。リハ終わったばっかりだ」
スンリは微笑んだ。その笑顔は、どこか張りついたようにぎこちない。
「……TOPさんと、今朝一緒にいたの、見ました」
ジヨンの手が、かすかに動いた。それだけで部屋の空気が変わった。
「それがどうした。お前に報告する義務でもあるのか?」
言葉は鋭く切り込んだが、スンリは動じない。ただ静かに、淡々と、まるで業務報告のように言う。
「三回目です。最近、時間も場所も、だんだん堂々としてきましたね」
ジヨンは立ち上がった。
視線を下に置いたままのスンリと、真っ向から対峙する。
「いいか、スンリ。俺のやることに首突っ込むな。俺たちは……」
「グループです。仲間です」
スンリは、そっと声をかぶせた。「……でも、それ以上になれたと思ってました」
その瞬間、ジヨンの顔がわずかに揺らいだ。
冷たい仮面の奥で、何かがひび割れたような音がした。
「……何を言ってる?」
スンリはゆっくりと歩み寄り、ジヨンとの距離を詰めた。
その動きに威圧はない。ただ、沈黙が重くついてくる。
「僕、知ってましたよ。あなたがどんな顔で僕を見ていたか。TOPさんの隣にいる時とは違う、あの目」
ジヨンは息を呑む。怒鳴ろうとしたが、言葉が出ない。
「でも、もう大丈夫です」
スンリの声がやさしく沈んだ。「これからは……僕がジヨンさんを守ります。ここで、ちゃんと」
その“ここ”が意味する場所に、ジヨンは気づいた。
背後の扉はすでに鍵がかかっている。
窓は分厚いカーテンで覆われ、空気は妙に静かだった。
「おい、冗談だろ……?」
「いえ。冗談じゃありません。ずっと、こうしたかったんです」
スンリの声は敬語のまま、しかしその中に明らかな決意が混じっていた。
3話くらいからグロくなるかも
コメント
1件
待ってセリフの横に絵文字付けんの忘れてたごめん