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水谷はゆっくりと目を開けた、少し立ったが攻撃が来ないからだ、目を開けて見たオロチの真っ赤な瞳からは涙が溢れていた

(伝統のヤマタノオロチって瞳が金色じゃ無かったか…?)

オロチの尾が絡まる体からは軋む音がしなくなり、段々と絡まりが緩んで行って最終的にはオロチ自身から水谷を地面に降ろした、その時のオロチの瞳は美しい黄金色に輝いていた

「…ありがとう」

水谷はそう言ってオロチの頬を撫でる、少し嬉しそうなオロチの瞳がまた真っ赤に染まるとオロチが急に奇声を上げて暴れ出した、

(俺には力不足だ…倒せない)

水谷はそう思って暗い顔をした、水谷の胸がグッと掴まれるような感じがしてとても苦しくて、今に殺されるような殺気と涙を流すオロチの真っ赤な瞳に奇声の所々に聞こえる「にげて」と言う声、殺したいのかそうじゃ無いのかわからない程だ、そして水谷は両手を広げると

「食えよ、俺の事」

そう言う水谷の口元は笑っている、オロチの瞳にはそんな水谷の姿が写っている

「苦しいんだろ?俺もだよ、お互い楽になろうぜ?」

その言葉を話す水谷の声は少し震えていて、目に涙が少し貯まっていた

「…俺は自分勝手で、弱くて、大して出来る事も無いし、迷惑かけるし、ハッキリ言ってさ、嫌いなんだよ、自分が」

その声の震えが強くなって、目には涙が今にでも溢れ出て来そうなほどに溜まっている

「でも…こんなんでも普通に生きて、夢追いかけて、友達作って、喧嘩して…勿体無いよな…全くだよ…」

いつしか声は泣きながら話していて途切れて居て、目からは一筋の涙が流れていく

「もう俺はこれからの幸せ全て手にした贅沢な人間だよ、だから最後は誰かを救って死にたいんだ、」

言葉を言い終わったらなぜか水谷の涙は止まり、優しい笑みを浮かべていた、そんな水谷にオロチは静かに近づいて、そっと口を開いた

「誰かの為に死ねるなら喜んで死んでや…」

「このバカ野郎がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

水谷の言葉を遮って鎌をフリ構える少女、死瀬霊が月に被っていた、その鎌はオロチの頭と体を2つに切り分けた

「し、死瀬…?なん…」

その時に水谷は頭を思いっきり叩かれた、後ろを振り向くと赤髪の少年、赤也炎が立っているが、いつもの笑顔じゃ無い

「このドアホが!何が死んでもいいだ!まだお前は救える人が居るのによ!何抜け駆けしようとしてんだよ!」

そう言って赤也は水谷の胸ぐらも思いっきり掴む、その目には涙がいっぱいに溢れている

「…今回は赤也の言う事に賛成だ、2度と死んでも良いなんて言うんじゃ無い、お前1人で後何人救えると思ってるんだ?」

この声の正体は冬海琥珀だ、いつもと変わらない声な気がするが、圧倒的に今の声は怒っている

「ほんっとバカなんだから!自分勝手とか弱いとか誰かを救って死ぬだとかほざくなよ!次同じ事言ったらぶっ殺すんだからね!」

「可愛い感じに怖い事言うなよ…」

そう会話する水谷の口元はとても優しい表情だった

「…ありがとう、次は…」

「春咲の番だ」

「ゲホッ…」

建物の中、春咲は血を吐いている、電撃をモロに喰らって内臓が傷ついたのだろう

「2対1なのに良くやるねー!そこは流石って言えるかな?」

「私達の合わせ技をここまで耐える人は初めて見ましたわ、少々実力の無さを感じますわ、不甲斐ない…」

(立て…!相手をよく見ろ…弱点を…勝ち筋を見つけないと…!)

もう動けない体を無理やり動かしてやっと立てるほどのダメージを喰らっている

「1人の女の子がここまでやるとはね…なんの為にそこまで出来るの?」

雷光は不思議そうに春咲の目を見つめる

「…不甲斐ない自分をもう見たく無いから、それ以外に理由はありません」

「不甲斐ない…?もう十分立派だよ、安心して死んで、ね!」

雷光は変わらない笑顔で手を春咲に向ける、その手から電撃が出て、また花で防ぐ、これを何回繰り返したのだろうか

「…はっきりと申しますわ、この状況から貴方は勝てないと思いますの、それでもやるつもりなのですか?体力も限界、内臓も傷だらけで人数差も実力もこちらの方が上、ここから勝てるとでも?」

「…限界、私もわかってますよ…ここからどうやっても負ける…」

地面に座り込む春咲に鬼斬は近づく

「それならば早…」

「それでも私は!限界と言う一言で…不利な状況だからと…負けを認めません!死ぬまで絶対に!2度と不甲斐ない自分を見ないためならば!」

そう叫んだ春咲は近づいた鬼斬をツタで縛り上げる

「わかりました…弱点はどちらかの行動不能ですね」

「花の針《フラワーニードル》」

春咲は鬼斬を吊るすツタに痛々しい針を生やす

「暴れない方がいいですよ、トリカブトの毒を針に塗ってあるので暴れるほど毒が体に回ります」

「…貴方、短時間で新しい技を作ったのですか…?」

鬼斬は口から血を垂らしながら笑っている

「…頭の回転は早いんですよ、戦闘に関することならば」

「…まさかこれを攻略されるとは思わなかったよ、ちょっと舐め過ぎたかもね」


次回 episode10 一緒に





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