テラーノベル
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すっかり日が暮れて、僕たちは旅の目的地である山頂の展望台にいた。見上げれば満天の星空、見下ろせば街の夜景が美しく広がっている。
「うわあ……綺麗だなぁ……」
寒さに少し肩をすくめながら夜景を見つめる駿斗の肩に、僕は持ってきた自分の上着をそっと掛けた。
「あ、ありがとう、空大。あったかい」
「風が冷たいからね。ほら、もっとこっちおいで」
僕が腕を広げると、駿斗は躊躇うことなく僕の胸にすっぽりと収まり、僕の服の袖をぎゅっと掴んだ。中学生のあの桜の廊下で僕が求めていた「俺も空大と一緒にいたい」という想いが、今、最高の形でここにある。大人になり、世界がどれだけ広がっても、駿斗が一番に頼り、帰ってくる場所は僕の隣だ。
「空大、今日は連れてきてくれて本当にありがとう。来週は俺が計画立てるから、また二人でどこか遠くへ出かけようね」
駿斗は僕の目を見つめ、濁りのないガラス玉のような美しい瞳で真っ直ぐに微笑んだ。
「うん、約束。来週も、その次も、これから先ずっと、全部僕が隣にいるよ」
絡め合わせた小指に、お互いの体温が優しく伝わる。キスがなくても、言葉を荒らげなくても、僕たちの絆は誰よりも深く、強く結ばれている。重すぎる愛と、それを当たり前のように包み込む優しさ。僕たちはこれからも、二人だけの特別な日常を重ねながら、一緒にたくさんの景色を見にいくんだ。街の灯りと星々の輝きに照らされながら、駿斗は夜空に浮かぶ丸い月を見上げ、僕の腕の中で小さく呟いた。
「……月が、綺麗だね、空大」
その言葉の本当の意味を、こいつが分かって言っているのかは分からない。だけど、僕の胸の奥は、これまで感じたことがないほどの温かい熱で満たされていった。(完)
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