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桃色の夢も終わる頃。橙色の女たちが、夏は嫌だと泣いていた。泣いても泣いても去ってくれないハエが汚いかららしい。俺はとうとう気付いてしまった。突っ込ませたいのは俺じゃない、ハエのソフトクリームだと。ごめんなさいとは思わなかった。空の夏色を見上げるまでは。小便器から尿が外れた。身体は己を拒絶していた。
悲しいのなら悲しいと言うな。感情を表すのが文学だ。と誰かに怒られた気がしていた。夏に食われて死んだ時、俺は悲しいとしか言いたくなかった。人は悲しいと言う為に生まれてきたのだ。曖昧にしようが和らがない。鋭く深く、悲しい悲しい悲しい悲しい。お前の悲しむ顔も見たい。淡色の蜘蛛をゆっくり潰した。脳が砕ける感じが良かった。今怒っていいのは俺だけだ。
誰も知らない廊下の角、ひんやり陥る錯乱状態。希望のような花火に背を向け、無機質なイオンを見つめていた。はしゃぐ幼子、胸がえぐれるようだ。桃源郷なんか歌えない立ち姿になってしまった。ドミノのように倒れようがどうでもいい。改めて感じる、どうでもいい。骨は知らぬ間に折れている。楽しいだけで作った世界は、捨てたくなるのがお決まりだ。
足のくぼみの痛み、心を打ち立てて、見ないふりされた毒と、一緒に踊りませんか?なんて幻覚を突き立ててくる、テレビドラマの末裔かな、笑って死んでくれそうだな。
ほぼ見ない血の、燃え方。焦がれていたものの、消滅。独り言の尊厳、愛してる。懐古主義を蚕主義と馬鹿にしながら、変わっていく俺の、生物らしさ。愛は内臓の一部である。胸の重みに代えなどない。背中を焼いているのは己だ。俺は見ないふりなどしない。大嫌いだと発狂しながら、虫の気持ちで這い回る。牢獄の片隅で蝶が死んだ。裏返った羽は「物」だった。それでも存在するだけで良かった。幸せは、限りがあるから幸せと呼ぶ。
明暗の狭間で蠢く一瞬一瞬が、削ぎ落とされた羽でもがき続ける鳥が、溶けるように愛の口づけを交わすペンの先が、奮い立つようにバイアスをかけた名が、機械には到底知り得ない人間が、意味なんかなくていい生産を、生産を、生産をしたくて俺の全ては。
蝉が泣いている。俺にとっての7日間も壮大な人生の全てだ。今週末、瞳の色めきが先走り、心の香り、俺だけが覚えていればいい。宇宙と交わる煌めきが好きだ。蟻が発する黒艶もそうだ。感情は本物で、寂しさは永遠で、暗がりは騒がしくて、涙なんか最悪で、だから時間は過ぎて、楽しくもなって、夏の夢が終わったら、次は。