まだ、愛の知らない君たちへ
断言しよう。君たちは恵まれていない。
何度もそれから逃れようと、目を背け、足掻いただろう。そんなことは無駄である。
しかし、美しいな。
愛という神と等しく科学的根拠で示せないモノを信じるなんて。
俺には考えられない。それも人間にとっては信仰せざるべく強く根付いたものなのだろう。なんて美しい生物なのか。
本当に愛しているのかどうかは分からないくせに、行動や言動で示せなど、なかなか残酷なことをしやがる。
え、俺は愛を信じていない?
いいや、まさか。ああ、言い方が悪かったな。自己暗示だよ。俺は愛を信じたくないのに信じてしまうから、せめて、言葉だけでもって。この世が愛で溢れて欲しくないのだ。
なぜ?なぜってそりゃあ、
殺しには不必要だからだろう。
愛があれば殺しを躊躇する
躊躇すれば判断を損なう
判断を損なえばターゲット逃す
ターゲットを逃せば……
ああ、ゲームオーバーだ。
分かっただろう、殺しに道徳は要らない。特別な身体能力も、愛情も劣情も、特別な感情なんて必要ない。
必要なのは、ただ、執着心と死を恐れないことだ。
先程は愛を知らない君たちは恵まれないと言ったが……訂正する。
愛を知らない君たちは、死神に恵まれているよ。
すごく、懐かしい夢だった。
母さんと父さんが俺の誕生日に一緒に川の字で寝てくれる夢。俺の1年の中で1回しか来ない特別な日だけ、寝てくれる。
無意識に目から大粒の雫が落ちてくる
そうか、俺、まだ。
「潔くん」
「……ぁ」
俺の相棒が涙を拭ってくれた。
「いつもごめん」
「別に。そないな感情、はよ捨て。一体いつの夢を見てはるん。殺しに感情は必要ないって言うとったやん。」
「そうだよな。分かってるんだけど、」
「君にはまだ未練がある。殺しには不向きや。もうやめたらええんちゃう?」
「いや、やるよ」
「だって俺、期待に応えなくちゃ」
「…………………はあ」
「頑張りすぎも、良くないで?君が僕を救ってくれたように僕も君を救ってあげたいんやけど…期待………ねぇ、」
「じゃ、新人の訓練しなくちゃいけないから、もう行くわ」
「行ってらっしゃい」
俺はすごい昔、親に売られ、この業界に足を踏み入れた。
売られてすごい憎いはず、悔しいはずなのに、なぜか幸せな夢ばかり見てしまう、
それは俺がまだ未熟だからだと思う。
愛なんてものを、まだ、信じているから
時折死にたくなる時がある。それでもまた生きたいと思う。それはまだ死を恐れているから。死と向き合っていないから。
俺はいつだって中途半端だ。
こんな俺を、だれか、救ってくれる人はいないだろうか。
コメント
4件
すき
まーって!!!おまえー!!!!!! おひさすぎる🥹🥹🥹🥹🥹🥹🥹 短いんだけど闇があって、、まってましたって感じ…らぶーーーー❤️❤️