zmem軍パロ 死ネタ
zmem死ネタばっかじゃねぇかって?
…………
作者特殊性癖持ちなんで許してください。多分近々zmemハピエン小説書きます。あとカッコにアルファベット付けるのめんどくなっちゃったんで誰のセリフかは何となくで察してください。
あとリクエスト等あれば御気軽に!
では、どうぞ……
『あ……花…咲いとる………』
今日はヤケに暖かい風が吹いていた。
だからふらふら〜と、だだっ広い庭を散歩していた。
…いつまで経っても軍施設の敷地内だとは思えない。広い花畑と、小さな池がいくつか、大きな木も沢山ある。そしてそのどれもが一つ一つ丁寧に整えられていた。
特に俺が気に入っているのは庭で1番大きな大樹の周りに薄いピンクと水色の花が咲いてるあの場所。名前は分からんけど、凄くキレイで、全く違う種類なのにまるで一緒に咲いてるのが当たり前だと言わんばかりに2種類の花が咲き乱れている。
……
…………それに…
それにあの場所は…
アイツのお気に入りでもあるから
「あ…」
「エミさん……」
お気に入りの場所に着くと
エーミールが大樹にもたれかかって本を読んでいた。エーミールの周りには色んな種類の蝶が飛んでいる。キレイな花畑も相まって
まるで…まるで御伽噺に出てくるお姫様の様だと思った。…こんな事エミさんに言えば、またいつものように頬を膨らまして怒るのだろうか。以前エミさんに怒られた時の事を思い出して、少し笑ってしまった。
それからしばらくエーミールと花畑に見惚れていると、エーミールの方が俺に気付いて優しく手招きをしてくれた。
それに少しドキッとして、顔が熱くなる。
でも、鈍感なアイツなら気づかないだろうと思って、アイツに駆け寄った。
「珍しいね、ゾムさんが庭来るなんて」
「おん、今日温かったから散歩しとってん」
「ふふ…そうなんですねぇ」
気が抜けているのかいつもよりふわふわした口調で喋るエーミールにまたドキッとしてしまう。ふと、エーミールのすぐ近くに咲いている水色の方の花が目に止まった。
その花にはエーミールによく似た小さな白い蝶が止まっている。
「…なぁ、エミさん」
「どうしました?」
「この花畑の花って…なんて言うん?」
「おや?あまり花には興味が無いと前言っていませんでしたか?」
「ん〜、興味は特に無いけど…ちょっと気になったんよ」
「ふふっ……まぁ、何かを知りたいと思う事は大切ですよ」
「こっちのピンク色の花はスイートピー、こっちの水色の花は勿忘草と言うそうです」
スイートピーはどっかで聞いた事あるなと思いつつ、水色の花の名前が引っかかった。
「わすれな…?」
「はい。勿忘草(わすれなぐさ)…変わった名前ですよね」
「なんでそんな名前なん?」
「さぁ…そこまでは知らへんなぁ」
「あぁ…でも」
「?」
「…花言葉って、ご存知ですか?」
「花言葉……?」
「えぇ、花には一つ一つ、その見た目や特性から言葉が付けられるんです」
「例えば…薔薇の花言葉は愛、たんぽぽは幸せ、桜は純潔、…とか」
「…じゃあ、スイートピーは?」
「スイートピーの花言葉は『門出』『別離』『優しい思い出』…などですね。」
「なんか…ちょっと寂しい花言葉やな」
「…そうかもしれませんね」
「じゃあ、勿忘草は?」
「勿忘草の花言葉は…」
「『私を忘れないで』…ですね」
「……もっと寂しいな」
「そうでしょうか?」
「だってなんか居なくなってまうみたいやん」
「もう、どっか遠くに行ってまうみたいな」
「…まぁ、確かに」
そこからしばらく沈黙が続いた。
それを破ったのはエミさんだった。
「……ねぇ…ゾムさん」
「…どしたん?」
「ゾムさんはもし、私が戦争や何かのトラブルで命を落としたら、私の事を覚えていてくれますか?」
「……っ!?」
つい驚いてエーミールの肩を掴んだ。俺の手は、少し震えていたと思う。
エーミールはきょとんとした顔で俺を見ている。
「…ゾムさん?」
「…二度とそんな事言うな……!」
「ふふ…ちょっと確認がしたかったんですよ」
「貴方が私の事を…ちゃんと覚えていてくれるのか」
「死なせへんわ…!!絶対に!!」
「…ありがとうございます。」
そう呟いたエーミールを俺は力いっぱい抱きしめた。エーミールは苦しいですよと言いつつ、俺の背中を優しく撫でてくれる。
「エミさん…」
「はい?」
「どっこも行かんでや」
「ここにおって」
「…はい、勿論」
「絶対やぞ?」
「…えぇ」
「何処にも行きませんよ」
「ずっと…ずっと、ここに居ます」
……嘘吐き
何処にも行かん言うたクセに……
なんで
なんで自殺なんかしてん
アホミール
エミさんはあの日の翌日に自分の部屋のベッドで毒を飲んで死んでた。
見つけたのは俺だった。
エミさんの死に顔はあんまりにも幸せそうで
ただ
……ただ寝てるだけなんじゃないかって
他のみんなに止められるまで
ずっと泣きながらエーミールの身体を揺すり続けてた。
ベッドサイドに置いてある小さいテーブルには 遺書と
薄いピンク色と水色の2種類の花が生けられた花瓶が置いてあった。
遺書には自分が他国のスパイであった事、俺たちを騙していた事への謝罪
そして皆への感謝の言葉が綴られていた。
皆泣いていた。
皆の前では絶対に泣く事のないオスマンやトントン、グルッペンも…皆。
でも…多分俺が1番泣いていたと思う。
俺はあの花の花言葉を知っていたから余計に
あの薄いピンクの花は…「スイートピー」
スイートピーの花言葉は
『門出』『別離』『優しい思い出』
そして
あの水色の花は「勿忘草」
勿忘草の花言葉は
『私を忘れないで』
「そう言う事かよ……ッ!?」
俺は悔しさと悲しさでぐちゃぐちゃになりそうだった。
俺もエーミールの後を追おうか…
そんな事まで考えた。
「嘘吐き」
「何処にも行かん言うたクセに」
誰も居ない部屋でそう呟いた
『ここに居ますよ』
「ッ!?」
「えーみーる……?」
すぐ近くでアイツの声がした。
幻聴だろうか……
…ふと、締め切ったカーテンが目に止まった。
ここ数日ずっと塞ぎ込んで締め切っていたカーテン。
ふらふらと近寄ってカーテンを開ける。
眩しい光が入ってきて、思わず目を細める。
何も無い
やっぱり気のせいか
そう思いカーテンを閉めようとした瞬間
窓枠に何かが置いてある事に気づいた。
窓を開けてソレを手に取る。
「コレ……」
「スズラン…?」
白い小さな鈴の様な花を無数に飾り付けたキレイな花
スズランの花言葉はなんだろう
そう思った瞬間俺は走り出していた。
普段は滅多に入らない図書室の扉を乱暴に開け、花に関する図鑑や本を片っ端から手に取る。震える手でページを開きスズランの花言葉を探す。
しばらくして、 スズランについて詳しく書かれたページを見つけ、注意深く読んでいく。
スズラン(鈴蘭、学名: Convallaria majalis var. manshurica)は、スズラン亜科スズラン属に属する多年草の一種。狭義にはその中の一変種Convallaria majalis var. keiskeiを指す。学名のConvallariaはラテン語の谷(Convallis)に由来する[6]。君影草(きみかげそう)[7][8]、谷間の姫百合(たにまのひめゆり)の別名もある。
花言葉は
『幸福』 『純粋』
『ずっと前からあなたの事が好きでした』
ポタッ……と、水滴の落ちる音がする。
なんだ同じ気持ちだったのか。
だったら尚更、一緒に居てくれれば良かったじゃないか。
2人で…ずっと一緒に
……いや
優しくて律儀で責任感の強いアイツの事だ。
きっと
俺達を騙してるという罪悪感に耐えられなかったんだろう。
アレはアイツなりのケジメなんだろう。
解ってる
解ってるけど
…やっぱり
「ちゃんと…ッ!!言うてくれよ……!」
ちゃんとエミさんの口から
『愛してる』って言って欲しかったなぁ
『私の事を覚えていてくれますか』
「ちゃんと覚えとくよ、エーミール」
「死ぬまでちゃんと覚えとくから」
「やから安心しぃや」
「……愛しとるよ 」
はい、お疲れ様です。
作者の白猫ヤマトでございます。
いやぁ〜ちょっとスランプ気味かも知れませんね。 リハビリ頑張らんとなぁ…(遠い目)
では、また次の作品で
コメント
4件
白猫ヤマトさんの優しく切ない文体と世界、そしていつも添えられる花言葉に、心臓が鷲掴まれて泣きそうです。 いつも素敵なお話、ありがとうございます!
凄い泣ける作品です!花言葉とか全部が感動です!
小説で泣いたの初めてやわ笑😭 素晴らしい作品ををありがとうございます😊