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Hayato×Jinto
Hayato side
コトリ、とひそかに音がした
揺れる買い物かご
とあるスーパー
箱に入った小さなお菓子をこっそり入れる
隣には真剣な顔をして野菜を選んでいる仁人が居る
肉と野菜と足りない調味料と
次々と迷いなくかごに入れていく
献立はもう決まっているようだ
俺が持っているかごの中身を確認してお菓子が目に入ったらしい
「戻してらっしゃい」
お母さんみたいな言い方をする仁人に思わず笑う
「いいじゃん、二人で食べようよ」
仁人は少し考えて
「仕方ないな」
と言った、 その顔は綻んでいた
仁人の好きなお菓子
本当は嬉しいんだろ
帰り道、早速箱を開ける
「帰ってからじゃないのかよ」
「いいじゃん、こういうの醍醐味でしょ」
はい、と差し出すと素直に受け取るんだから
素直に口に運んで
旨そうに笑うんだから
袋を持つのと反対の手を仁人の手と重ねてぎゅっと握る
「お前、外だぞ」
「いいじゃん、醍醐味、醍醐味」
そうは言いながら振り払いはしないんだから
揺れる買い物袋と
並んだ伸びた影
お菓子の甘さ
指先の体温
全部
何気ない日常 だけど
二人で居ることの醍醐味
fin.