熱と頭痛と日常と

渡辺に、頭痛と熱はセットのようなもの。今年は、頻繁にやってくる。

その上、先日は時差ボケで調子がおかしかった。

岩本は、そろそろ、頭痛と熱がやってくると思っている。

今年も、五大ドームのコンサートが出来る。気合いも入る。

だが、目黒を筆頭に、忙しい部類に入る。渡辺は、それでも、サウナに行くし、友達と食事にも行く。

上手く付き合っているようで、家に帰ると、シーツに包まり涙を流す。

岩本が思うより早く、頭痛も熱も、渡辺を脅かす。

だが、岩本は今、振り付けを考えている。負担になりたくない。だが、我慢にも限界がある、早く練習から、帰る渡辺を岩本は見ていた。

岩本ー翔太？

渡辺ーん・・。

岩本ーそろそろ、頭痛とか熱出すころじゃないか？

渡辺ーん。

岩本ーもう出てるのか？

渡辺ー大丈夫だ、ひかるは、気にするな。

岩本ー病院は？

渡辺ー仕事中に全神経使って、帰って来たら、ベッドから動けない。

岩本ーすぐ行く。

渡辺ーだめ！ひかるは振り付け考えなきゃ。

岩本ーじゃあ、目黒に・・。

渡辺ー忙しくして、やっと帰ってくるんだ、申し訳ない。

岩本ー翔太・・。

渡辺ー寝てればいい。

無理して、我慢する必要ないのに。岩本は、気になって振り付けどころじゃなくなった。

荷物を持って渡辺の家に向かう。寝てるのか、静かな家。

シーツを剥ぐと、いつものように赤い顔をして、小さく唸っている。

岩本ー翔太？

渡辺ー・・ばか・・なんで・・きた？

岩本ー病院行くから。

渡辺ーごめん・・。

ぐったり、渡辺は目を閉じて荒い呼吸をしている。

病院に着くと、大森さんにバッタリ会った。

渡辺の状態を見て、いつもの部屋に。と言われると思っていたが、先生に診察してもらいましょう。と言う。

岩本ーあの、どこか？

大森ー長時間、この状態であったなら、診てもらった方がいいと思います。

岩本ーお願いします。

いつもの部屋で、点滴と、頭を冷やしながら寝ている渡辺。

大森さんの話だと、相当、ガンガンしてるはず。目を開けるのも辛いだろうと。

岩本ー翔太、俺を呼べ。

渡辺ー振り付け・・あるだろ・・。

岩本ーこんなに酷くなって、仕事出来ないだろう？

渡辺ーだい・・じょぶ。

岩本ーじゃないだろ。

渡辺ー明後日、休みだから・・明日頑張れば・・。

岩本ー無理してくれるな。

そっと、渡辺の顔にかかった、髪を指で払い。頬を撫でる。熱い頬。今日は、１時間では、帰れないだろう。

岩本ー翔太・・翔太・・。

渡辺ー帰りたい。

岩本ー今回は、ちょっと酷いから、もうちょっとかかる。

渡辺ーんっ〜んっんっ。

岩本ー泣くな、頭痛が酷くなる。

岩本と手を繋いで眠っている。

２時間くらいかかり、帰ろうとしたが、渡辺は眠っている。

そっと抱き上げて車に運ぶ。

薬も、いつもとちょっと違う。

不安そうな顔をした岩本だが、大森さんは時差ボケもあったから、もう大丈夫ですと言ってくれた。

岩本ー薬がいつもと違いますが。

大森ー今までのは、もう効かないみたい。先生が診察して、今後この薬になります。

岩本ー分かりました、ありがとうございます。

翔太、帰ろうな？

渡辺ー・・。

岩本は、起きない渡辺が怖い。

家に帰って来ても、眠っている。ベッドに寝かせ、シーツをかける。

岩本ー翔太？

渡辺ー・・。

岩本ー翔太・・翔太・・。

渡辺ー・・んっ・・ひか・・る。

岩本ーごめんな、起こして。

渡辺ーどうした？

岩本ー起きないから、怖かった。

渡辺ーあぁ、家か？

岩本ーずっと飲んでた薬、変わったから。

渡辺ー何で？

岩本ーもう、効かないんだって。

渡辺ー今、何時?

岩本ー10時過ぎ。

渡辺ーひかる、ここ入れ。一緒に寝よう？

岩本ーどうした？大人しく寝るか？

渡辺ーんっ、ぎゅっとして？

岩本ーキスしていいか？

渡辺ーんっんっ。

今回は、さすがに弱っている。

岩本は、大事な宝物のように包み込んで眠った。