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1話
登場人物
佐川 恵(さがわ めぐ)
高校1年生 女
主人公。父が楽器店を経営しているため楽器には詳しいし趣味で楽器を演奏するのが大好き。休日は店の手伝いをしている。茶色がかったセミロングが特徴
佐伯 綾斗(さえき あやと)
高校1年生 男
地下で活動してるバンドのギターボーカル。襟足が少し長くライブの時だけセットしている。学校ではバンドのことがバレないように立ち回っている。趣味は休日の作曲。作詞は苦手
柳田 桃(やなだ もも)
高校1年生 女
恵の親友。いつも明るく噂好き
その他登場ごとに紹介
___
入学して学校にも慣れてきた5月のある日、私はいつも通り授業を受けていた。現国の授業で先生が本文を読みながら教室を練り歩いている。
「__私が思うにインターネットは…」
歩いていた先生が私の隣の席の前で止まる。
「おい佐伯起きろー」
先生が持っていた教科書で佐伯くんの頭を軽く叩くが起きる気配は無い。クラスの皆がクスクス笑っている
(そういえば隣の席なのにまだ話したことないな)
そんな事を思いながらこの日の授業を終える。
「めぐ帰ろーー!!」
昔からの幼なじみのももが私のところに駆け寄る
「うん、帰ろっか」
ももと一緒に帰っているとももの口が開く
「そういえば最近クラスの女子に佐伯くん人気だよねー」
「ももってほんと噂好きだよねー私佐伯くんって寝てるところしか見たことないんだけど…」
「えーそれがいいんじゃん!ミステリアスーって感じでさー」
「そういうもんかなー…?」
首をかしげる私の顔をももが覗き込む
「めぐもさーそろそろ恋愛したらー?ずっと楽器に熱中って訳にもいかないでしょ?」
「んー…」
(恋愛なんてよくわかんないししようと思ってできるもんなのかな?)
___
今日は土曜日。週末は別の仕事をする父に代わって店番をしている。
「今日はお客さん少ないなー」
カウンターに突っ伏しながらぼやく。その時ドアのベルが鳴る。
「いらっしゃいませー」
すばやくカウンターの前に立ち姿勢を正す。しばらくすると商品を持ってさっきのお客さんがレジに来る。
「ありがとうございま…_」
ふと顔を上げるとそこにはマスク姿だけど確かに佐伯くんが立っていた。
「あれ?佐伯くん??」
それまでスマホを弄っていた佐伯くんが顔を上げ眉をひそめる。
「…?あんた誰。」
「ひどーい!隣の席の佐川!佐伯くんって楽器やるんだー」
私が何気なく言うと佐伯くんの顔から血の気が引いていく。突然、佐伯くんがカウンターに前のめりになって私を睨む。
「お前!絶対他のやつに言うなよ。」
「う、うん…わ、わかった…」
後ずさりしながら返事をする。
「そんなに、バレたくないの?」
怒られるのは覚悟しているが気になって聞いてしまった。すると佐伯くんは小さな声で答えた。
「俺が…ンドやってるってバレたら…」
「何がバレたら?」
そこで佐伯くんはハッとした顔をする。
「な、なんでもねーよ!」
そう言うと足早に店を出ていってしまった。
(変なひと…でもまたお店来てくれたらいいな。)