『のみほしてよ、のみほしてよダーリン…』
錬金術の授業中、頭から離れない曲を曖昧に口ずさむ。
ふとクルーウェル先生の顔をみるとぽかんと口を開けていた。
なんだと思っているとため息をつきながらこちらに寄ってくる。
「お前はそれを理解しているのか?」
先生はあたしにそう尋ねる。
『…ぇ?なにがです』
またもや先生がため息をつく。
「理解していないならその曲を口ずさむのはやめておくことだな。」
『はい…?いやですけど。』
Bad girlとか言われるんだろうな、と考えつつあたしは否定した。
「Bad girl .」
「大人しく教師の話を聞け、仔犬。」
『はーい…』
ほらな。案の定言われた。
「怒られてやーんの」
ぷぷぷ、とペアのエースにからかわられた。
『お前カスやな』
『だからモテないんだよ』
へへ、と言い返した。
「ユウになにがわかるんだよ〜だ。」
うーむ…全部知ってるんだけどな。
『…すき。』
「っはぁ!?」
顔を真っ赤にしてあからさまに同様した。コイツ、おもしろ。
「Bad boy !! 大声を出すな!」
先生に怒られてる。おもしろ。
『へっへ〜、冗談に決まっとるしょ』
『学習した?エースクン ♡ 』
「ぁー、もぉ…」
エースはしゃがんで顔を手で覆い隠したまま。
目を合わせてやろうと、無理やり手を剥がそうとしてもどうにもならない。
『おもしろ笑』
『…エースのそーゆーところ、あたしは好きだよ』
耳元でそう囁くと、ぼっ、と首まで赤くした。こんな風にわかりやすいところ、可愛いんだよな〜…
.
『すーぱー すーぱー…』
別の日、懲りずにまた口ずさむあたし。
あたしは偉いので、話を聞く時にはちゃんと目を見ます。
…先生怒ってら笑
説明が終わったあと、ズンズンとこちらに近づく。
「なにが悪いか分かるか?」
『う〜ん… 口ずさんだこと?そうでしょ』
「違う。」
『え、ちがんですか じゃあわかんないす』
口ずさむのはいいんだ、と言いたいところだが空気を読んでやめておいた。
「選曲だ、仔犬。」
「口ずさむならもっとカジュアルな曲にしろ」
『はーい…』
カジュアル…とは…
「また怒られてる」
『っちょエース耳はやめてってぇ…』
隣にいるエースに耳元で囁かれた。
この曲者め!!
「この前の仕返し~」
『耳だけはほんとにぃ~…』
.
少し経って、
「オレ、ユウの知らないことなんてないからね」
『うそつけ 知らないことだらけやろ』
にやりと笑うエースにまだ少しだけ赤い顔で話す。
「そんなことないしー?」
『じゃあ、あたしの好きな人わかるの?』
そんなのいないけど。
「オレだな。」
『違いマース』
「そんな照れんなって笑」
『ご満悦のようでなによりですー』
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