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マジで好き。タイトルが2人の歌ってる歌詞なのも好き。
ほんとに大好きです😭💕 あの、それで相談なんですけど、こちらの物語のリメイク版というか、自分好みに書き換えて見てもいいですかね、参考みたいな感じなんですけど、、
・VTA時代捏造
・でびらびが付き合ってる(左右明記なし)
・👻🔪と🐙🌟が付き合ってた(左右明記なし)
・死ネタあり
・本作品は二次創作であり、ご本人様とは一切関係ありません
・本編中ライバー様のお名前は伏せません
<👻🔪side>
「ほ、星導!?」
「お前今まで何しとったんや!」
ライとカゲツの視線がここにいるはずのない1人の男を捉える。薄暗い視界の端で必死に彼の姿を追った。
見たいのに、見たくない。俺の葛藤を他所に、星導はのんびりと戦場に長い足を踏み入れてきた。
「その話は後でもいいですか?それよりこれがKOZAKA-C?不思議な生き物ですね、地球のものとは思えません」
「ちょ、近づくな!」
ライが声を張り上げたと同時に星導が歩み寄った先にいた一匹が瓦礫を星導目掛けて振り下ろす。しかし彼は戸惑うこともなく、左手に提げていたカバンを頭上に掲げた。
ガンッ!!
難なく受け止めた瓦礫をカバンの角で叩き落とし、勢いをつけたまま真横に振りかぶる。モロに直撃したそいつは吹っ飛ばされ、瓦礫に頭から突っ込んだ後消滅した。
「やっぱり敵対してるんですね、油断は出来ないか」
振りかぶったままの体勢を元に戻した星導の左手に提げられたカバンを見る。彼の衣服と同じ形の星を住まわせたそれは傷一つ付いていなかった。
「なんだあれ、っうわ!」
「だから目ぇ離すな言うてるやろ!」
ライを取り囲んだKOZAKA-Cの大群にカゲツが再びクナイを投げる。しかし、風を切るそれが届くよりも前にライの周囲のKOZAKA-C全員が吹っ飛ばされた。
異質な色の触手を月光の下でてらてらと光らせ、人ならざるシルエットでライの元までやってきた星導が飛んできたクナイを8本のそれで叩き落とす。音を立てて地面に落ちたクナイたちを拾い上げ、カゲツが星導を指さしながら声を上げた。
「おま、なんやそれ?!」
「気持ち悪っ!めっちゃ強いじゃん!」
「ちょっと!今悪口聞こえたんですけど!」
怒りつつ次々と襲いかかってくるKOZAKA-Cを触手で殴り、縛り、放り投げて消滅させていく。
一切見えていない背後の敵すら触手で応戦する姿を見て、希望が隠れかけていた2人の目に輝きが宿った。
「すごいよ星導、オレらよりずっと早い!気持ち悪いけど!」
「気持ち悪いは余計だろ!それよりなんなんですかこいつら、無限に湧いてくるんですけど!」
「だから困ってるんだよ!」
「このままやと星導もぼくらと同じや!」
「なるほど、なら一思いに喰った方がいいですね」
左袖のファスナーをつまみ、一気に下げる。大きな白い歯の奥に広がる終わりのない深淵を見たライが興奮しながら声を上げた。
「出た!宇宙直結のデカい口!」
「え?そんな呼ばれ方されてるんですか?」
「やれタコ!ぼくもう倒れそうやぁ!」
「はいはい、足元気をつけてくださいね」
そう言ってカゲツの方を見た星導の顔に飛んできた瓦礫が直撃する。その瞬間、人間の皮膚からは出ないであろう陶器が割れたような音が辺りに響いた。
ギョッとする2人の前で整った顔の右半分が割れ落ちる。内側から現れた宇宙そのものを携えて左腕を持ち上げると、星導は突如耳をつんざくような叫び声を上げた。
「なんやぁ!?」
「うるっさ!」
咄嗟に耳を塞いだカゲツとライに襲いかかろうとしていた大勢のKOZAKA-Cが突然の星導の行動に動きを止めて怯む。その一瞬の間に伸びた触手が何十体ものKOZAKA-Cの体を縛り、大きく開いた左腕の口に次々と吸い込んでいった。
「残りはこっちで十分です」
その言葉と同時に戦いの跡が残る地面が割れていき、その間から不気味な宇宙が顔を覗かせる。逃げようとしたが既に遅く、その場にいたKOZAKA-C全員がブラックホールのようなそれに吸い込まれて姿を消した。
星導が来てからのKOZAKA-C討伐はあっという間だった。まさにヒーローのようなその姿に、俺は言葉を失ってしまった。
<🐙🌟side>
宇宙が蠢く轟音もやがて止み、だだっ広い荒れ果てた空き地に静寂が訪れる。落ちた顔のパーツを拾い集めて修復している数分間、再びKOZAKA-Cが現れることはなかった。
「…よし。目、ここで合ってる?」
オトモと協力してバキバキに割れていた顔を元に戻し、左腕の口を閉じながら周囲を見回す。ここが都市部じゃなかったのが不幸中の幸いだろうか。
「もう来ないところを見ると、恐らくあの中で分裂を繰り返していたんでしょう」
「星導ぇ!お前めっちゃ強いじゃん!」
「急にタコなった時はビビったけどな」
身体中を巡っていたアドレナリンが切れたのか、途端に2人が静かになる。つい先程まではしゃいでいたライが突如大きく前後にふらついた。
「…やっと……終わ、った……」
一気に力の抜けた体が糸の切れた人形のようにその場にどさりと崩れ落ちる。それを合図に先程から座り込んでいたカゲツも眠るように意識を失った。
どこか幼い顔立ちで目を閉じるライの元まで歩み寄り、彼が持っていた名前の分からない電子端末を操作して本部に連絡を入れる。
「こちらDytica。負傷者2名、意識無し。直ちに救護要請をお願いします」
通信を切って端末を握る左手を下ろす。離れた場所で攻撃を受けたまま動こうとしない彼の元へゆっくりと歩いていく。
片膝を立てて力なく項垂れる彼の右半身は瓦礫の下に埋もれており、隙間から大きな血溜まりが今も尚広がり続けているのが見えた。
「…間に合わん。置いてけ」
「間に合わないことぐらい見て分かりますよ。白狼の貴方が失敗なんて、何か考え事してました?」
「お前のこと、考えてた」
目元を覆う仮面のせいで表情は見えないが、隙を作ってしまったということは何か都合の悪いことを考えていたんだろうなと察する。
小柳くんの血色感の無い口元を見つめていると、ふいに俺のオトモが彼の周りをふよふよと漂い始めた。それを合図に口を開く。
「…それより、小柳くん」
俺がこう呼んでも、彼は呼び方が違うことに対して過剰な反応を示さなかった。もしかすると怒るほどの体力さえもう残されていないのかもしれない。
「俺ね、貴方のことそんなに嫌いじゃなかったんです」
ひび割れていた仮面がぱらりと落ち、光を失いつつある小柳くんの目がゆっくりと見開かれる。自分の周りを浮遊するオトモと無言で自分を見下ろしてくる俺を目線だけで交互に見つめていた。
「まあ初対面でいきなり閉じ込めてきたのは許しませんけど。それでも今思えば案外楽しかったかもな、なんて」
「……晶」
「はい、ショウですよ」
「どこ行くの」
突拍子もない言葉に目を丸くする。俺を見上げる彼の瞳は僅かに潤んでいるようにも見えた。
「俺がさ、ここで死んだらさ…お前は俺から…離れるんだろ?どこ行くかだけ、教えろよ」
「遠い宇宙まで。って答えたら…小柳くん、どうするんですか?追いかけてきますか?」
淡々と会話を進める。今更俺じゃない何かを演じるつもりはないし、恋人ごっこの幕ももう下ろしたはずだ。意地でも追いかけてくるんだろうなと思いながら小柳くんの返事を待っていると、彼の唇は意外な音を奏でた。
「いい、の?追いかけても」
「え?」
「だってお前、俺のこと…きらい、だろ」
全て言い切る頃には彼の両目は限界を迎えていて、まばたきをせずとも透き通った大きな粒がボロボロになったヒーローコスチュームに落ちてシミを作っていた。
「なんでそんなに弱気なんですか、いつもみたいに俺の手なり首なり触手なり掴んで『逃がさない』って言えばいいじゃないですか」
「…晶じゃない赤の他人のお前を…俺が追いかけ回す権利、どこにもないじゃん」
「……呆れた、アレは虚勢だったんですね」
「だからもう……やめる。でも、お前のこと見れないのは嫌だから…どっか行くなら教えて」
「…俺はここに残ります」
顔を上げた彼から視線を外し、背後を振り返る。力尽きて倒れてしまった2人の同期を見つめて静かに言った。
「彼らがヒーローを辞めない限り、俺はずっとここにいます」
「…!」
「案外近くにいるでしょ?だからそこまで不安にならなくていいんですよ」
「なんで、ほしるべ、」
「結局、俺を1番よく知っていたのは小柳くんでした」
傾き始めた月をバックにぽつりと呟く。妙に冷たい夜風が俺の前髪を靡かせ、彼の瞳を奪った。
「エナドリが好きなところ、タイムキープが苦手なところ、包丁や珈琲のイントネーション…貴方が指しているのは俺じゃないのに、どこか俺に通ずるところがあったんです」
「…は………そ、っか」
「もしかすると俺は本当に……いえ、こんなことを言っても辛いだけですね」
「……」
「…口数、減りましたね。まだ話したいのに」
これは本音だった。しかし彼からの返事は帰ってこない。本音に限って聞いてくれないのはもう慣れっこだった。
「貴方との生活は偽物だらけだったけど、貴方が晶にかける想いは本物でした。こんなに愛される晶が羨ましいぐらい」
彼にここまで愛されている晶に俺も会ってみたい。俺じゃないけど、きっと俺みたいな人なのだろう。
ふいに胸がぎゅっと苦しくなる。もし彼の愛が晶ではなく俺に注がれていたら、俺のことを愛してくれていたら…俺も彼を好きになっていたのだろうか?
「ね、小柳くん…俺、嘘でも嬉しかったよ」
話しかけてくれて、面倒見てくれて、笑ってくれて。それがたとえ俺を通じて別の何かに注がれたものだったとしても、それでも俺は嬉しかった。
彼と一緒にいる俺は、記憶を失う前より鮮やかに生きているような気がしたから。
「愛してくれてありがとう。次は誰でもない俺を…“星導ショウ”を、愛してくださいね」
僅かにぬくもりのある頬を包み込み、そっと口付ける。誰にも気づかれないように、こっそり、こっそりと。
2人だけの秘密にしよう。手放してしまった君に、そう誓った。
「見てください、今日は月が綺麗ですよ」
俯いたまま動かなくなった小柳くんの横から煌々と輝く小さな衛星に手を伸ばす。月光のような彼は遥か昔、誰かと月を見る約束をしていたらしい。
「うさぎが跳ねていそうですね。クレーターを動物に例えるなんて、人間は想像力が豊かで嫌いじゃないです」
実際月にうさぎはいないし、もっともっと先の空間には何も存在しないのだけれど。それでもそこに確かに在る蒼き月光が、あやふやになってしまった輪郭を優しくなぞっているようで。
それはまるで俺の頬を何度も撫でてくれた小柳くんの、気が遠くなりそうなほど永遠を生きる愛のようで。
「やっぱりうさぎっているのかも」
何も分からない頭に片手を添え、そっと手首を折る。7月7日、またここで巡り会える祈りを込めて。
「ぴょん、ってね」
スクロールお疲れ様でした!
これにて終幕となります。本当に諦めきれなかったのはどちらだったのでしょうか。
今後も気ままにつ🅰️の話を書いていけたらなと思っております。沢山のいいね、本当にありがとうございました!