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俺が団体病室に入って数日が経った。気づけばもう、他の4人と仲良くなっていた。
「ねね蒼弥」
「ん?」
「学校からの宿題でさここの、この一番の問題わかんないんだけど、教えてくれない?」
「おぉ、いいよ。まず…」この病室の中では生徒が5人で先生がいない、まるで学校のようだった。
「あ、じゃあ2人のそれ終わったらトランプしよーぜ!」颯乃が言った。
「お、しよしよ!」
「あ、この問題もう終わるから先準備しといて」
「りょーかーい、んじゃ、ババ抜きすっか!」
「いえええええい」
「えっと何人だ、あかりもいるから、6人か」今日たまたまあかりも来ていたのだ。
「あ、私この課題やらなきゃ行けないから次からやるよ」
「おけおけ」となり5人でババ抜きをすることになった。颯乃がトランプを配り始めた。ちょうどその時誰かが入ってきた。
「颯乃くん?」颯乃を担当している看護師の柳瀬さんだ。
「はい」
「学校の先生来てるよ」
「…!!」颯乃の表情はいつものにこにこ、チャラチャラしたようなものでは無く、何を考えたのか分からないがどこか怯えてるように見えた。俺はどうしても我慢できず、声をかけてしまった。
「……颯乃?大丈b」
「うっさい!!!!!……話しかけてくんな。」颯乃が手に持っていたトランプを勢いよく投げた。俺は分かってはいた。颯乃に何かあってこうなっているのは分かっていた。声が出なかった。颯乃の顔はいつもとは違う、何かを警戒している猛獣のようだった。これで颯乃との関係が壊れてしまうんじゃないかと心から不安になった。色々考えてるうちに颯乃が静かに話し出した。
「柳瀬さん。そいつら帰して貰っていいっすか。あと一生顔を見る気は無いと。来るな永遠にって言っといてください。」
「わ、わかったわ」 と言い走って出ていった。
病室の中は静まり返った。2、3分ほど経って颯乃が立ち上がった。その後、静かに病室を出ていった。おれはしばらく塞がっていた声帯を開けた。
「なぁ、誰か颯乃に何があったか知ってる?」俺がそう言うと3人とも首を振り、空が話し始めた。
「毎回、学校関連の人が来るといつもあんな感じになるんです、だからみんないつも聞けなくて…」
「蒼弥、ごめんね。何も知らないのに颯乃が、」
「ほんとだよ、蒼弥にまでってどーいうこと!?」どうやら結衣は腹を立てているようだった。
「あぁ全然気にしやんといて。しゃーないから」
「やっぱ蒼弥は優しいねぇ、あかりちゃんも完璧とか、もう言葉では表せないぐらい最高、推しカプだわァ」と美亜が話を盛り上げようとする。
「えぇ…///そぉ?照れるなぁ(,,- -,, )」あかりはもうデレデレだ。
そんなこんなで話してるうちに鐘が鳴った。
お昼の時間だ。ここの食堂のご飯はそれなりに美味しいので3食いつも楽しみにしている。ここは患者だけでなくその関係者も無料なのであかりも楽しんでいるらしい。
「食堂行こかぁ」と一言放った後、5人で食堂に向かった。
「今日何食べよーかなぁ」
「あっそうそう、めっちゃ前にね、ここの裏メニューの親子丼食べたの。メッッチャ美味しかった」
「え何それ私も知らんのやけど!?えなんて言えばいいの!!」
「それは秘密🤫」
「ええええ教えて教えて教えて」
「私も食べたぁい」
「食堂のおばちゃんなら教えてくれるよ」
「えっマジ?おばちゃあぁぁぁん」女子組で会話が弾んでいる中、俺は1人でメニューの看板を眺めていた。すると混んでいたせいか、誰かの方が当たった。
「あすいません」
「こっちこそさーせん」あれ、この口調。どこかで……と思い振り向くと、やはり颯乃だった。
「!!」お互いにしばらく目を合わせ続けていた。しばらくして颯乃が声を出した。
「蒼弥、良かったら一緒に食べねぇ?」
「あ、うん、食べよ」こうして俺らは一緒に炒飯定食を食べることになった。
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「あのさ、蒼弥。」
「ん?」
「さっきはうっさいとか言っちゃって、……ごめんな。」
「?、あー、さっきのか。全然気にすんなよ俺になんだから笑」
「ほんま?」
「当たり前やん」
「ありがと…」颯乃はさっきの言ってしまったことに深く落ち込んでいた。
「颯乃、ちょっと聞いてもいい」
「今度はなんでも怒らない。いいよ」
「この、今入院してるのと学校のことって何か関係あるのか?」
「ハハッそんなん関係しかないでw」
「ちょっと話聞いてもいい?」
「お詫びにってことで話したるわ」
(ブウォ-ンブンブンブンブンブゥゥゥウォォォォン)都会ではよくあるバイクのエンジン音。それを鳴らしていたのが俺、颯乃みたいなやつだった。
当時俺は高二、青春?というかなんというか、満喫してたんだよ。ヤンキーの身で、w
まあ今考えるとそもそもそんなことしてなかったらこうはならなかったんだけどねぇ、まあもう過去には戻れやんしな、しゃーない。
高二の9月ぐらいかな、言うて俺も来たばっかなんよ結局。9月ぐらいに元々仲間やったヤンキーと喧嘩したん、屋上で。いかにも漫画の世界やろ?そこで勝ったら完璧なんやけどな、俺はギリギリで負けてしもてん。だいたい30人ぐらいやから30対1?マジでふざけとるよなぁ。それでバコンバコン殴るわ蹴るわ。俺も傷だらけやったなぁ懐かしい。それで最後の一人をシバいたと思ったん。だけどあと一人おってな。そいつが3Dプリンターで作った銃、最近そんなんも作れるんよ、そいつが作ったその銃で俺の頭パーン撃ってきてん。普段やったら本物ちゃうしよけれるはずなんやけど、安心してたんか、怪我で意識ぼやぼやしとったんか、よけれやんかった。それでしかもたまたまいた場所が屋上の崖っぷちやったん。だからパーン打たれてそのまま落ちてった。7階建てやで軽く20mぐらいあったんちゃう?垂直落下や。今生きてることが奇跡やでほんまに。もうヤンキーは懲り懲りやな。
「こんな感じや、まあざっくりとやけど。」
「どういう流れかは分かった。でも、それがなんで先生と、?」
「あーそういうことな、んーとねその俺が落ちた時にパーン撃って来たやつが先生のお気に入りやったんよね。だからちゃんと対処してもらえやんくて。しかも学校は隠蔽するし。俺は、2週間やったかな、ずっと寝とってん、んでその間に結局俺を誰が撃ったかってなったんよ。その時に………脅されて俺の彼女、んまぁ元カノなんかな夏海っていうんやけど、夏海が撃ったことにされたん。それで夏海が急に失踪してもうて。俺の親は、母親だけなんやけど。俺の医療費のためにめっちゃ働いてくれて、せやけど働きすぎてもう………会えへんくなったんよな、体壊してそのまま……」颯乃の顔には徐々に涙が伝って行った。
「ごめんな、こんな話深堀しちゃって」
「いや、全然ええんよ。だってわけも分からずにあんなキレられたら嫌やもんなw俺こそごめん」
「俺ら友達、いや家族やから。そんなん気にしやん」
「家族、なん?」
「嫌やったら友達な」
「いや家族」
「家族や、仲間仲間」
「蒼弥はどうかわからんけど、俺はもう長くないん。だから残りの間だけでも一緒にいてな」
「んまあ俺も同じやけどwとりあえずおれる所までずっと一緒にいよ。……うし、病室戻ろか」
「戻ろ」こうして俺らは炒飯定食を食べ終えて食堂を出て病室に向かった。
俺らは長々と話していたので気づけばみんな戻っていた。颯乃が喋りだした。
「みんな、ごめん。俺周りのこと考えず自分のことだけしか考えてかなった。これからは気をつける。だから、また仲良くしてくれる、、?」
「何言っとんねん」美亜が吐き捨てるように言う
「え」俺は思わず口にしてしまった。しまったと思いつつも黙り込んで話を聞き続ける。
「ええに決まっとるやろ許さないと思うなよ」
「もおおおおややこしいってぇぇぇやめろよぉぉ」俺は思わず大声で言ってしまった。周りを見ればみんな大爆笑だった。美亜がツボりながら喋り出した。
「とりあえずwwwwwwwアッハッッwwwwとりまこれからも仲良く行こwwwwwハァwwwwまじ笑い死ぬwwwヤバぁいwwww」
「これからもよろしくな」
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭
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