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ばさばさと紙が仕舞われる音と共に、先に先にと足音が遠のいていく。その中、他の人とは違う道に足を早める生徒が1人。目的の場所に辿りつけば担任に紙を押し付け、高鳴る心臓を抑えながら目的の場所へと電光石火の気分で駆け抜けていく。その途中途中で知り合いに出会っては挨拶を返していた。その挨拶は目的の場所、寮でも続いた。ひとつ違うとすれば寮では「おかえり。」といった迎えるような言葉が掛かる事だ。この生活は悪くないと俺は思っている。そんな事を得意気に思っていたら彼との集合時間は迫っていた。「やべ、」と軽く漏らせば他の奴らが「なになに」と興味津々で聞いてくる。いやぁ気になっちゃうよなぁ!わかる!でも今あんま時間ねーんだよなぁ~…。「あ、今日夕飯いらねーから!」危ない、1番大事な事を伝え忘れる所だった。そんな上機嫌な俺と打って代わり不思議そうなクラスメイトを背に自室へと出向いた。
遅いなあ、と思いながらも気怠げに羽を羽ばたかせる。下に居る幸せそうなカップルたちを見ていたら余計に会いたいという気持ちが膨れ上がる。いつからこんな事になってしまったのか、考えた所で無駄だとはわかっていながらも考えてしまう。これはきっと俺の悪い所だ。と眉を顰め、また下を見ていたらあの派手な髪が目に付いた。やっと見つけた。来てくれたという喜びと遅刻だと言う怒りを持ったまま彼に近寄る。ばさ、と夕焼けがよく映える羽で彼を後ろから包み込んでは「遅かったみたいだね」と怒りを露わにした。それを感じ取ったのか冷や汗をかきながら「これは違うンすよォ~、!」と言い訳が止まらない減らず口を塞ぐように唇を重ねてやる。突然の出来事に目を丸くし、頬を染める彼をわざとらしく口角を上げて見てやる。不満気な表情へと変化。相変わらず表情がコロコロ変わるなあと笑っていれば少し冷えた指が俺の唇に触れた。「何?怒った?」と問い掛けてみても何もいわず、ただただ俺の唇を触り続けた。「ちょっ、か、上鳴くん?」と困った様にまたも問い掛けてみれば先程の仕返しと言わんばかりに口角を上げた上鳴は答えた。「最近授業で習ったンすよ、鳥はくちばしが性感帯だって!」
「へぇ、そうなんだ。よく覚えてたね」
あの上鳴くんが覚えてるだなんて珍しいと思い褒めてやると得意げな顔で「まぁ俺なんで!」なんて抜かすから鼻でも摘んでやろうかと思ったが、なんだか違和感を覚え手を止めた。そう、その違和感というのは下半身にあったのだ。何が起こったのかわからず、自身の下半身へと目をやると、そこには少しテントを張った物が視界に入った。(コレ…俺感じてるって訳…??)と困惑しながらも見続けていると上鳴くんも不思議に思ったのか目線を下げ、「お」と小さく声を漏らした。
「あれれぇ、もしかして勃つ速さも最速なんスかァ?」
「…うるっさいなァ」
にやにやと俺を見詰めてくる彼に全身が熱くなるのを感じた。ああ、こんな早くから抱くつもりなんてなかったのに。でもこれは君が悪いんだよ上鳴くん。
ばさ、と大きく羽を広げれば少し乱雑にお姫様抱っこをしてやる。
「ちょっと、もっと上鳴君のこと大事にしろよなァ!」
「結局後からぐちゃぐちゃにされるばい、気にせんと」
そう言うと彼は何も言わなかった。これは…と思い顔を見てみると不満げに顔を赤らめていた。そんな顔されちゃあもっと俺の心を煽るだけなのにあ。