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ルル
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【原作の展開】> 『監獄のデザイア』第八章『群狼の侵略(集団転校生篇)』。
監獄学校『ディスペア』に、他国から突如として送り込まれた「凶悪犯罪者の精鋭グループ(集団転校生)」。
原作では、彼らは校内の各派閥を武力と奸計で瞬く間に解体・吸収し、学園を新たな血の暴力で塗り替えようとする暗殺者集団。
影の支配者ルシアンは、この混乱に乗じて転校生たちと既存の生徒たちを互いに惨殺させ合い、監獄学校の人間関係と組織を完全に壊滅させようと裏で糸を引く惨劇の章であった――。
【ルシアン視点の実際】
「……なるほど! 青春ものの王道『転校生がいっきにやってきた!』イベントか!」
俺――ルシアン・ヴァルハイトは、掲示板に貼られた「黒き群狼の襲来(※転校生一覧)」という血濡れた文字の羊皮紙を見上げ、爽やかにうなずいた。
灼熱の夏季補習(※校内全体の気温を冷房並みに下げて過ごしたサマーバカンス)も無事に終わり、新学期が始まった監獄学校。
そこにまさかの「集団転校生」という激アツ展開だ。
(まあ『黒き群狼』とか書いてあるけど、要するに『新学期になってクラス替えや他校からの編入生が一気に増えて賑やかになる』っていうラブコメ定番のイベントでしょ! 監獄学校は相変わらず二次元っぽいカッコいい二つ名をつけるなあ)
相変わらず脳内お花畑な俺は、殺伐とした暗殺者グループの殴り込みを「賑やかな新学期のクラスターイベント」へと全自動変換していた。
しかも、その集団転校生たちの中に可愛い女の子の転校生が何人か混ざっていたのだ。
(むむ……! これはラノベでよくある『転校生ヒロインの登場で主人公たちの絆が試される』展開か!? だが俺の愛は揺るがない! アイリスちゃん一筋だ!!)
俺が一人で脳内お花畑の決意を固めていると、転校生グループのリーダー格と思われる強面(こわもて)の男たちが、殺気をバリバリ放ちながら俺たちのデスクに近づいてきた。
「おい……そこ(アイリスの席)の弱そうなモブ。今日からこの席は俺たちの――」
男がアイリスちゃんの肩に手を置こうとした、まさにその瞬間。
俺の脳内で「アイリスちゃんに気安く触るなセンサー(※無意識のラスボス気圧)」が臨界突破で炸裂した。
「……君たち、転校初日から人の席を横取りしようとするなんて、お行儀が悪いよ?」
俺は至って爽やかに、クラスメイトとして優しく注意した……つもりだった。
だが、その背後に現れたのは世界を数秒で滅ぼせるレベルの圧倒的暗黒オーラ。
「ひ、ひぃぃぃぃっ!!?(物理的に呼吸が止まる圧)」
強面の男たちは顔面を蒼白にし、白目を剥いてその場に卒倒した。
「えっ!? 大丈夫!? 転校初日で緊張して貧血になっちゃったのかな!?」
俺が慌てて心配していると、横で命からがら生き残ったミーナちゃんが泡を吹きながら突っ込んできた。
「アイリス正気!!? あの転校生たち、他国で一個師団を壊滅させたっていう伝説の暗殺集団だよ!? なんでルシアンが一言喋っただけで全員泡吹いて全滅してんの!!?」
「え? みんな長旅で疲れちゃったのかな? 保健室に運んであげなきゃ」
「威圧感で脳のシナプスが焼き切れただけでしょ!!! 会話が通じない!! 集団転校生が一瞬で『集団入院生』になったんだけど!!」
ミーナちゃんは頭を抱えて廊下の隅へ避難していった。
急な環境の変化は体調を崩しやすいからね、わかるわかる。
【原作の展開との対比(シェイド&ジローの解釈)】
その頃、校舎裏の暗闇。
「シェイドの旦那……新手の暗殺集団(転校生)五十名、ルシアンの兄貴の前に立って三秒で全員精神崩壊(キャパオーバー)しましたわ……!」
関西弁の情報屋ジローは、ガクガクと全身体を震わせながら報告していた。
「あ、あのルシアンの兄貴が放った『一撃』、一体どんな恐ろしい精神破壊兵器ですの……!? 敵の脳を直接沸騰させる古代の禁呪ですか!?」
「フフフ……甘いな、ジロー」
暗闇から現れたシェイドは、冷徹な笑みを浮かべてメガネを光らせた。
「ボスは……『他校からの侵略者』という概念そのものを、ご自身のテリトリー(アイリスちゃんの周囲)から物理的に排除されたのだ。転校生という名の敵勢力を一瞬で無力化し、生き残った者を『アイリスちゃんの手下(パシリ)』へと再洗脳されるおつもりだ……!」
(『無茶苦茶や!!!』)
ジローは心の中で声が枯れるほど叫んだ。
(ただの『アイリスちゃんに触ろうとした不審者を、無意識のブチギレ殺気で気絶させた』だけやろがい!! どこが再洗脳やねん!! ただの超絶束縛彼氏の威圧や!!)
「……ジロー、倒れた転校生たちに配るための『アイリスちゃん手作り(という設定の)復帰祝いクッキー』の手配を急げ。ボスの深謀遠慮を滞らせるな」
「集団暗殺者をクッキーで懐柔かい!! ほんまこの学校狂っとる(泣)」
「くそっ……! これが……これが『群狼の侵略』……!!」
廊下の物陰から様子を伺っていた勇者アーサーは、滝のような汗を流していた。
原作通りの展開なら、凶悪な集団転校生たちによって学校が占拠され、既存の生徒たちが踏みにじられる絶望の展開になるはずだった。
だが――アーサーの【直感】が、信じられない光景を目撃した。
(な、なんだと……!? 国臣を恐怖に陥れたあの暗殺集団が……ルシアンが『挨拶』を交わしただけで、全員が一瞬で屈服し、膝を突いている……!?)
気絶から目覚めた転校生たちが、ブルブルと震えながらルシアンから手渡された「クッキー(※ジローが用意した高級品)」を、泣きながらありがたそうに食べていた。
「美味しいです……ルシアン様……アイリス様……!」
(しまっ……! ルシアンだ! 奴は外部からの侵略者すら一瞬で精神屈服させ、自らの『ピンク色の宗教(アイリス親衛隊)』へと取り込んでしまったのだ……!!)
ふと見ると、転校生たちに囲まれた中央で、ルシアンがアイリスと仲良くノートを広げていた。
「わあ、ルシアンくん! 転校生のみんな、すごく礼儀正しくて親しみやすい人たちだね!」
「そうだねアイリスちゃん! みんなで仲良く勉強しようね!」
(終わった……!!)
アーサーは絶望に打ち震えた。
(あの最悪の暗暗殺集団すら……ただの『アイリスちゃんの忠実なクラスメイト(モブ)』へと改変されてしまった……! ルシアンは『外部からの脅威』という物語の波乱すら、一人の少女を愛でるための日常イベントへと塗り替えたのだ……!!)
ルシアンがふと振り返り、転校生たちと談笑しながらアーサーへ爽やかな笑顔で手を振った。
(『外部の敵など存在しない。この学校の全ては俺とアイリスの箱庭だ』……そう言いたいのかルシアン……!!)
「くそっ……! 敗北だ……! 俺たちの正義(抗戦)では……奴の『全人類ラブコメ化計画』を1ミリも止めることすらできない……!!」
アーサーは壁に頭を打ち付けながら、悔し涙を流すのだった。
「ふぅ〜! 集団転校生のみんなともすぐ仲良くなれて、新学期も幸先が良いねアイリスちゃん!」
「うん! 最初はちょっと怖そうな人たちだなって思ったけど、みんなすごく優しくて……ルシアンくんのおかげだね!」
「俺は何もしてないよ! アイリスちゃんが良い子だからだよ!」
「ルシアンくんったら……///」
(いや〜、監獄学校の集団転校生イベント、みんなすぐにクラスに馴染んでくれてすごく良い雰囲気だったな! アーサーくんなんて新しい友達ができた感動で壁に頭ぶつけて泣いてたし、本当に温かい学校だなあ!)
自分が無意識の圧で凶悪な暗殺集団を数秒で精神崩壊させ、強引に「アイリスちゃん親衛隊」へと再構築したことなど1ミリも気づかず、俺はアイリスちゃんと新学期の放課後デートを楽しむのだった。
コメント
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読了しました!今回も最高に面白かったです。「凶悪暗殺集団がルシアンの威圧で一瞬で全滅」→「集団入院生」→「アイリスちゃん親衛隊としてクッキーを美味しそうに食べる」という流れがもう完璧で、ミーナちゃんのツッコミが全ツッコミの中で一番刺さりました。シェイドとジローの解釈違いコンビも安定の面白さです。アーサーが壁に頭を打ちつけて悔しがるシーンまで含めて、全人類がルシアンのラブコメ世界に飲み込まれていく構造が最高でした。続きも楽しみにしています!