銘くんに女装をさせたい霊音くん
これがこの二人の日常
「銘くん!一生のお願いだからこの服着t…」
「嫌だが?」
部屋のソファーで食後のおやつを食べていたとき。メイド服を持った霊音がそんなことを言い出した。
ちなみに今日のおやつは霊音手作り100%のタルト。なんでこいつはこういうところだけは上手いのだろうか。
タルトを口に詰め込みつつそんな頼みは即効お断りして、そのままタルトを食べ進める。
「んむ、というかこの前も一生のお願いだからとか言って似たような服着せてこようとしただろ」
「違うよぉ!前回のはミニスカメイドだけど、今回はロングスカートだもん!」
「変わんねぇよ」
ミニもロングもメイド服の時点で変わらないと思う。
というかこいつはなぜこんなにも俺に女装をさせようとしてくるのか。どこに需要があるのか全くもってわからない。
まぁ、需要があるのはこいつだけなのだろうが。
「お願いだから~!メイド服着てよ~!」
「嫌だよ。あ、タルトおかわり」
「銘くんって僕のこと配膳ロボットか何かだと思ってるよね!?」
文句を言いながらもすぐさまおかわりを出す霊音。
こういうところはさすがだとは思う。だから配膳ロボットのように扱ってしまうのだが。
「ほら、出したんだからこの服を…」
「断る」
出されたタルトをかっさらいながら、バッサリと頼みを断る。
「なんでよー。おかわり出してあげたんだから着てよー」
「ばーか。これは賄賂でも何でもねぇんだから着るわけねぇだろ」
おかわりを出されたからといって、こいつのために着るのだったら死んだほうがマシだ。
「絶対着ないから。おら、さっさと捨ててこい」
「ひどい!!いくらかかったと思ってんのさ!」
「知らん」
子供のように駄々をこねている霊音を蹴りながらコスプレ衣装を処分させるために部屋から退出させる。
毎日のようにどこからか霊音がコスプレ衣装を出してくるので、もうこの会話にも慣れてしまった。いや、慣れないほうがよかったのか?
「う~…捨てなきゃダメ?」
「あ?捨ててこねぇと燃やすぞ?いいのか?」
「ウッ…捨ててきます」
さっきまでの話が一週間前の話。
今は処分させたはずのメイド服が目の前の机に置かれている状況。
今更燃やしとけばよかったよかったと思ってももう遅く。この服をどうしようかと頭を抱えてしまう。
「……」
霊音には言えないが、絶対に言えないが、普段似たような服ばっか着るので着たみたいという気持ちはほんの少しあった。
畳まれていたメイド服を机の上に広げてみる。
自分が散々嫌がるので、なるべく露出が少なめなシンプルロングスカートのメイド服。フリルが満遍なく散っていて、こんなにフリフリだと動くときに邪魔じゃないのか?と思う。
服のタグを見てみると、自分にぴったりなサイズ。ちなみにサイズは一回も教えたことはない。
「なんでわかるんだよ…」
霊音は知らないはずなのにサイズを知っていることに恐怖を覚えたところで、いざ着てみることに。
だが、着てみようにも女性ものの服は着方がわからない。数分ほど試行錯誤しつつようやく着れた。
初めて着てみて思ったのは、案外スカートって重いんだな、という感想。
もう少しスタイリッシュな服だったり、ミニスカであれば軽いのだろうがなんせロングスカート+フリルがたくさんあるということで、結構スカート部分が重い。
そんなことを思いつつも鏡の前でくるくる回る。
あいつのことだから絶対に似合わないやつは買ってこないのだろうが、ちゃんと似合っていることに軽い怒りを覚える。
クッソ、霊音のドヤ顔が目に浮かぶ…
この姿は見せられない、というか見せたくもねえ。
もう満足したので霊音が帰ってこないうちに着替えることにする。
というかまだ霊音は仕事の時間なので会うことはないだろう。カメラが仕掛けられてなければ大丈夫(フラグ)
……大丈夫、だよな?
雑な終わり方でごめんなさい。
まぁ、銘くんのこの後はご想像の通り
部屋に銘くんの悲鳴が響き渡ったそうです
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