テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「私も行きます、リサ様はここにいて下さい」
カタッと椅子から立ち上がったルードは、玄関へと向かう。
「あの! 私も行きます」
ギュムッとルードの袖を掴んだ。驚きと困った表情を浮かべてこちらを見るルードに私はお願いした。
「危険です。ここにいて下さい」
「一緒に行きます」
ブンブンと、ルードは腕を振る。絶対に離しません。
ブンブン ギュム
ブンブンブンブン ギュム
ブンブンブンブンブンブン ギュゥゥム
4回繰り返すと、はぁぁぁぁぁという長いため息とともに諦めたのかルードが承諾した。
「わかりました。ただし貴女は離れた場所にいること。いいですね?」
コクリと頷いて、私が手を離すと、ルードはマルのお母さんに北東の畑の位置を確認していた。
「少し遠いですね」
そう言うと、ルードが外に出たので私も後について外に出た。
ピィィーーー
笛を取り出し、ラーファを呼び出している。でも、ここじゃ大きくなるには少し狭いような。
「失礼しますよ?」
そう言われ、え? と思った瞬間私は彼の腕の中におさまった。
あぁぁぁぁぁ! そうだ、私、風の魔法は使えないから乗るにはこれが必要だったー!!!!
「風の精霊よ」
トントンと地面と空を蹴って屋根の上に飛び上がる。
「ラーファ、よろしくお願いします」
ラーファが魔力を貰おうと近づいてくる。
「あ、魔力は渡せるので私が!」
少しでも、何かお手伝い出来ないかと思って提案すると、
「助かります」
ルードはすぐに返事をくれた。そもそも私が行くと言わなければこの手間は発生していないだろうし、ごめんなさい。
「ラーファ、私の魔力でいいかな?」
ピッピッ
私のところに飛んできたので指で嘴に触れる。
大きくなったラーファの背に乗り、街の北東へと向かった。
何故か頭をぴーちゅんにつつかれながら。というか、いたの?! ぴーちゅん。
彼は何度も何度もつついてきた。イタイ。
ーーー
「あそこですね」
上空から見ると林のそばの大きな畑が広がっている場所に大小合わせて五匹のトレントがいた。
周りに十人ほどの魚人さんがいて、トレントと直接戦っているのはアリスとあと一人。あれは昨日見た、クレス王子。それに後方にも誰かいる。あれは水の乙女とあの時もう一人いた男の人だ。
「水の魔法でしょうか、アリスト様の身体能力が上がっているみたいですね」
前線で戦う二人は、トレント五匹の動きに全て対応出来ている。
「あとは、決め手の火が欲しいところなのでしょう、急ぎましょう」
ルードがまた私を抱き抱えた。
えっと、ここから?
「風の精霊よ」
バンジージャンプよろしく、急降下です!
わぁぁぁぁぁぁぁぁ
どうか、アリスに見られていませんようにっ!
そう思いながらルードという名前の命綱にひっしと掴まってしまった。
コメント
1件
「ルードの袖を離さないって決めた時の、ブンブンギュム…って擬音がめっちゃ可愛くて好き! 必死さが伝わってきて思わず笑顔になっちゃった🥺 それでいて、急降下のシーンはバンジージャンプって比喩がぴったりでドキドキした! アリスに見られてないか心配する主人公の気持ち、すごくわかる…ああいう時って絶対見られてる気がするもんね(笑) 今回も素敵なエピソードありがとうございます、れんさん!」
エコ

169
#初心者
ゆいぽん
799
月白
2,332
月城 蓮桜音
34