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くたばれ片想い。

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くたばれ片想い。

1 - くたばれ片想い。

♥

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2025年11月20日

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︎ ︎︎︎︎︎














「ただいま」


誰も居ない部屋に帰宅の言葉を呟く。言うまでもなく、その声は誰も居ない家に虚しく響き自分の耳に返ってくるだけなのだが。そんなこと今となっては気にならない。戻った瞬間上着をハンガーに掛け、暖房をつけ、カサリと袋をローテーブルに置きカップアイスを取りだしリモコンを手に取る。この動作だって今更気にならないのだ。何より気になるのは·····。


『大人気ゲーム実況者、ガッチマンさんでーす!』

『こんにちはぁ』


ゆるゆるとした態度で挨拶をして手を振る好きな人。

キヨは買ってきたカップアイスを開けてスプーンを差し込む。そのまま掬い上げてはテレビに視線をやったまま口に運ぶ。


『今回はガッチマンさんに実況のあれこれをお聞きしたいと思いまーす!』


そこからガッチマンは色々な質問に答えていった。キヨはそんな様子に釘付けでスプーンの上で溶けたアイスがぽたぽたと机に落ちてもお構い無しだった。


『ガッチマンさんに最後の質問です!恋人は居るんですか?』

『·····えぇ、、居ますね。』


キヨはスプーンを取り落とした。唐突の衝撃を飲み込めなかった。否、飲み込みたくなかったのだ。好きな人に恋人がいる。こんなにも簡単な事実がこんなにも飲み込めないなんて馬鹿らしい話だった。机に落ちて溶けたアイスの水溜まりを作ってもキヨは気にしなかった。そんなことに気を取られるほど余裕は無かった。


キヨは徐に立ち上がりスマホを開く。そしてメッセージアプリを開き、とある人に連絡を送りながら部屋を後にした。





━━━━━━━━━━━━━━━





「いらっしゃい。見てくれたんだ?」


キヨは冬の寒さからじゃない虚ろな目を目の前の人物に向けた。


「あんなにアピールしてきたからね。見るに決まってる。」


恨みがましく目の前の人物──基、ガッチマンに目を向ければにこりと笑みを深めた。


「〝ソレ〟を伝えたかったの?」

「いや?ソレが何かは分からないけど、俺の実況スタイルを知ってもらいたかった。キヨずっと俺の実況スタイル知りたいって言ってたでしょ?」


どうやら〝ソレ〟では伝わらないらしい。ガッチマンは思考するように目を細めた後肩を竦め態とらしく否定を示した。キヨも確かにガッチマンについて知りたがっていたので押し黙った。


「········で、あれはホント?」

「あれって?恋人の話?」

「···そ。」

「それなら本当だよ。」

「·····そ。」


玄関先はどうも冷える。ただ、その冷ややかさは冬の所為だけじゃなかった。キヨは自慢の長身を丸く縮こめ、少しでも温もりを逃すまいと手を擦り合わせながらガッチマンと対峙した。瞼を上げることも億劫だったがこれだけは伝えようとしっかりとガッチマンを見詰めた。


「俺、ガッチさんのこと好きだよ。」

「俺も好き。」

「残念。俺とガッチさんの好きは違う。」

「·····え?」

「俺ね、ガッチさんと付き合いたかったんだ。」

「でも、もう恋人いるし、」

「うん、そうだね。」

「キヨ、なんで、」

「なんで?そんなの貴方のことが好きだったからだよ。」

「そん、な、」

「でもさ、ガッチさん。」


キヨはするりとガッチマンの手を掬いあげて、下がった体温を擦り付けるように握り込んだ。


「恋愛って早い者勝ちじゃないって思わない?」


キヨはにんまりと目を細めては息を飲むガッチマンを見詰めた。

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