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夏のビーチ。照り付ける太陽の光を遮るようにパラソルが5つほど並び、その陰の中にテーブルが5つとチェア10つがある。そのすぐ隣では、妖精たちが出店セットと大型の日除けテントを組み立てて海の家の準備をしている。
ムツキは着替えさせてもらい、いつものビジネスカジュアルの姿から、薄紫の無地のラッシュガード、くるぶしまでの黒のレギンス、膝上丈の黒のサーフパンツ、サングラスに橙色のビーチサンダルという出で立ちでバッチリと着こなしていた。
「ムツキ、かっこいい……。ムツキ! 私はどう?」
「似合っているけど……なんでスク水?」
ユウが選んだのは、旧々型と呼称されるタイプのスクール水着だった。詳細を記載するととてもとても長いために割愛する。ムツキの目から見て、紺色の水着はユウの白い肌や金髪によく似合っていた。
「だ、旦那様、妾はどうだろうか?」
「あぁ、きれいだぞ」
ナジュミネが選んだのは、露出を抑えた真っ赤なタンクトップビキニである。ムツキの視線を釘付けにするなら露出をもっと増やしてブラジリアンビキニのようなものにすべきかと彼女自身悩んだが、新婚旅行の話の一件や、訓練並みに泳ぎたい気持ちもあって、過度な露出を避けた形になったようだ。
「ムッちゃん、どうかなー?」
「おー、リゥパらしくて、かわいいぞ」
リゥパが選んだのは、薄緑色のホルターネックのビキニと黄色地に緑の植物を描いたパレオ、大きめの麦わら帽子だ。若干スレンダーな体型に合わせた上で、パレオで足のチラ見せ効果を狙ったようだ。ムツキの視線が上へ下へと動く様を見て、彼女はご機嫌である。
「私とサラフェはどうですか?」
「サラフェは別に……」
「2人ともよく似合っているぞ」
キルバギリーが選んだのは、上が薄い灰色のハイネックビキニ、下が濃い灰色のボーイレッグだった。ハイネックビキニにはフリルやレースがあしらわれており、露出よりも女性らしい可愛らしさを前面に出す一方で、下をボーイレッグという短パン型にして若干スポーティーな雰囲気も出している。
ただ、ムツキは水着よりもロボットが海に浸かって大丈夫なのかの方が気になっており、また、夏の暑い日差しを思い切り受けて、表面が熱くなっていないかだけが心配だった。まるで、炎天下の海に車を出してしまい、車の心配をしているお父さんのようである。
一方のサラフェが選んだのは水色のミニスカートワンピースタイプで、さらに肩の上から白いレースの上着を羽織っていて、彼女は白い大きめの帽子を頭に載せている。自身の幼児体型を気にしての選定なのか、上部の露出はないが、スカートより下から見える脚は褐色ということもあって健康美を演出する。
「……ありがとうございます」
サラフェは誰にも聞こえないような小さな声で呟いた。
「ダーリン♪ ユウとお揃い? だよー♪」
「おー、かわいいけど、うん、なんでメイリまでスク水なんだ……?」
メイリもまたユウと同様のスクール水着ではあるが、新型のスクール水着である。なお、ムツキは違いが分からない男のため、スク水という認識しかない。ただ、ユウとは異なり、メイリの大きな胸が目立って、露出が少ないながらも魅力的な出で立ちになっていた。
「ところで、コイハは着ないのか?」
ムツキがいつも通りのコイハを見て、不思議そうにそう話しかけると、彼女は少し恥ずかしそうに答える。
「いや、戦闘時の防具や防具を着けるための下着ならともかく、普段、服を着ないのに、なんで水着を着るんだよ」
「それもそうか……」
コイハが恥ずかしがっていたのは、最初タイサイドビキニでも付けてみるか、と考えていたものの、普段隠さない部分を隠すことが逆に卑猥に思えてしまい、急に恥ずかしくなってやめたことを思い出したからだ。
「さて、全員がムツキにお披露目したところで、誰が一番かな?」
ユウがここで爆弾を投入しようとする。ムツキに一番を選ばせるというのだ。女の子たちは思わず、ごくりと喉が鳴る。
「あー、えーっと……みんなそれぞれ素敵で……」
「素敵で? もちろん、みんなが一番はダメだよ?」
ユウが釘を刺す。もちろん、ムツキの表情が固まる。彼はその後、暑い中で冷や汗をだらだらとかくことになった。そして、静かに口を開く。
「う、うーん……本当にみんなが一番だからな……こ、困るなあ……」
「……たまには悩め♪ たまには少し困れ♪」
ムツキは正直に困ると伝えて回避しようと思ったが、ユウには効かず、彼女がずずいと彼の前に近付いて、笑顔で意地悪なことを言ってくる。
彼が実際にどう思っているのかと言えば、本当に甲乙つけ難し、順位つけ難しといった考えであり、全員が全員の持ち味を活かした素晴らしい着こなしだと思っている。
「……ふぅ……分かったよ。じゃあ、本気で選ばせてもらおうか……」
ムツキは真剣な眼差しになり、ユウを見つめる。彼女はドキッとして、数歩後ろに下がった。
「だ、誰……?」
ムツキはそれに応えるように再び口を開く。