テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あれからイッシュ地方ではかなりの大ニュースになっていたらしい
子供達や捕まっていた女性達はそれぞれ孤児院や支援を受けて暮らすことになったとか
ホーズキだけは、アザミが気にかけアザミが引き取り暮らすことにしたらしい
イッシュの方では、犯人を捕まえた人間を探す俗に言うヒーロー探しのようなものをしているがジプソが上手いこと動いてくれていたのか、サビ組の名は一度も上がらなかった
──コンコン、
「やっぱここだろうね」
病室のドアを開けて、アザミとジプソが姿を現しカラスバの近くに立つ
アザミはあの後ホーズキを止める際にかなり苦戦したらしく、足を折ってしまい松葉杖生活を余儀なくされている
「姉さ〜ん、全部終わったよ」
シオンに声をかけるが返答は帰ってこない
その事実にキュ、と唇を紡ぐ
「…カラスバ、改めてありがとう。本当にありがとう。」
「ええよ、別にシオンの願い叶えただけや」
カラスバの方を見たかと思うと、頭を深く下げる
「…あの日姉さんの家に行けば何か手掛かりがあると思って姉さんの家に行ったんだよ
そしたらさ、毒が大量に出てくるわでさ
多分だけど、あの毒に少しでも抵抗する為にあの毒より強い毒を毎日自分で調合して飲んでたみたい」
その時ふと、頻繁に咳き込んでいた事を思い出す
それに対し溜息をつき「また…気づかんかった」とボヤくカラスバ
「でも姉さんアンタの事本当に好きだったのか、アンタから貰ったものは大事に置かれてたよ」
その言葉に目を見開き、「ははっ」と笑う
「あー…ほんまあいつは…」
『私結構重い女なんです。好きな人の1番になりたいし、1番想われたい…寝ても私の事考えちゃうくらいカラスバさんの記憶に残りたい』
あの日言っていた言葉の通り、カラスバは寝てもシオンのことを考えるほどシオンに囚われてしまった
「……お前、この先どうするんや」
「それは………」
カラスバの言葉に何処か悩んでいるような表情をするアザミ
「行く宛てないんやったら、サビ組来や」
「えっ?でも私……」
「サビ組は半端もんが集まるとこさかい」
そう話すとグッと唇を噛んだ後「お世話…なります。」とまた深く頭を下げるアザミ
「何から何まで本当にありがとう。
この恩は一生をかけて返すよ。」
「それなら尚更はよ足治しや。足治ったらたっぷり働いて貰うさかい」
「うん、ありがとう。カラスバ」
しばらくするとアザミはジプソに連れられ病室を去っていき、病室にはカラスバが1人残った
「……シオン、はよ起き。リザードンらも心配しとる。勿論…オレもな」
しかし返事は帰ってこない
おおきな病室にカラスバの声とピッ……ピッ……と一定のリズムを刻み鳴る機械音が響く
『カラスバさ〜ん!!デートしましょっ!』
『あれ、もしかして拗ねてるですかぁー?』
『雪だー!!ふわふわ〜!!』
『──好きです、カラスバさんのこと』
シオンと出会ってからの思い出が頭を埋める
太陽のような眩しい笑顔
いつも手を引いて、前を歩いてくれた
ポケモン勝負の腕もどんどん上がっていったシオンとの勝負は全力で戦えて楽しかった
教えれば教える程強なってく、シオン
最後のメガシンカ対決なんかはいつも盛り上がる
『ペンドラーほのうじゃくてんのはずなのに〜!!また負けた!!』
『まだまだっちゅーことや。もっと強なり』
『…いつかその顔歪ませますから!!』
『その前にお前の顔が歪むかもやな』
『言いましたね〜!?』
「…オレの顔、歪ますんやろ。」
そう呟くカラスバの顔は既に後悔と悲しみで歪んでしまっていた
しかしその顔を見せたい人間は目覚めない
返事もしてくれない
「頼む…お前が好きなんや…っ」
『──もし私が居なくなったら私以上に好きな人を見つけて好きになって欲しいって思うんです。』
「お前以上に好きになる女はおらん、お前以上に最高な女は居らんのや
…お前しか…おらんのや、」
病室にカラスバの悲しそうな声だけが響いた