________花ちゃん
「仁花ちゃん」
「…っ、は、はひっ!?」
「大丈夫?何だかボーッとしてるみたいだけど…」
「ぁ……す…すみません、」
____清水先輩の、小川のせせらぎのような綺麗な声に、思わず我を取り戻す。今は休み時間で、部活の連絡事項があるからと態々教室まで清水先輩が来てくれたのだった。
せっかく来てもらったのに、こんなにぼけっとしてしまっては清水先輩に失礼だろう。しっかりと話を聞かなければ、と意気込んだ。
「________…うん、このぐらいかな…伝えることは」
「ありがとうございますっ」
「……ぁっ!!潔子さーん!!!!
お、やっちゃんも!」
連絡事項も伝えてもらい、清水先輩が戻ろうとした時…階段の方から、田中先輩がドタバタと走ってきているのが見えた。
「田中先輩、」
「こんな所で会うなんて奇遇っすね!やっちゃんも! 」
「…」
ひょえ、清水先輩が氷の様な表情に…!!!
「くぅ……冷たい視線もしみるぅ〜っ!!」
……そういえば、田中先輩は清水先輩のことが好き……なようだけれど。
“好き”というのは、どういう感じなんだろうか。今日、練習の後聞いてみよう…嫌でも、私なんかが聞いていい事なのだろうか……?
そんなことをぐるぐると考えているうちに、休み時間が残り1分程なことに気がつく。あれ?そういえば次は理科室だって友達が言ってたような……
「すいませんっ、次移動なので…!」
土下座したいような気持ちで…いや、半分土下座のような体制になりながら、理科の教科書やノートを持ち、廊下へ飛び出した。
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