テラーノベル
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「若井ッもうやめて!」
僕の手を掴みながら声を荒らげる涼ちゃん
どうしたらいいか分からなくて固まってる元貴
傍から見たら地獄絵図だろうな笑
「離してよッ!!」
精一杯の力で僕は抵抗する。僕の命の次に大切なカッターを取られないために
「なんで僕から奪おうとするの?なんでよ…なんで!?」
答えなんてとうに分かっている。僕にこれ以上自虐行為をして欲しくないからだろう
これ以上僕に傷が増えて欲しくないのだろう
「落ち着いて…若井のためだから」
涼ちゃんも怖いだろうに。なのに少し引きつった笑顔で僕にじわじわ近づいてくる
僕は抵抗を辞めた。正気に戻ったのだ
あぁ…またやってしまった。また迷惑をかけてしまった
「ごめんなさい…ごめんなさい泣」
いつから始まっただろうか僕の過度な自虐行為は
自虐行為をする度に元貴と涼ちゃんに止められて、怒られて…
でも…やめられないんだもん。自分で自分を傷つけないと不安になるんだ
カッターで切ったあと、真っ赤な血が流れてきてくれることを嬉しく思ってしまうんだ
だって血が出てくるってことは生きてるってことでしょう?
心は腐っていても、身体は嫌でも生きてくれてるってことでしょう?
真っ赤な血。それは僕が生きているっていう証
「若井…落ち着いて。 なんにもできなくてごめんね。辛い思いさせちゃったね…」
元貴が謝ってくる
元貴のせいじゃないよ?と言ったら元貴は楽になるだろうか。僕という重荷から解放されるだろうか
ごめんね。こんな僕がいるせいで活動休止させちゃって。ごめんね
「手当しようか」
涼ちゃんが救急バックを持ってきてくれている
なんで僕なんかに優しくするの?
なんで見捨ててくれないの?
なんで1人にしてくれないの?
今はただただ貴方たちの優しさが僕には痛くてたまらない
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